「うん それが難しい 下手に力むとヘッドの返しが上手くいかないんだ」
「ふふふ それもタイミングだから 練習しかないわ」
神山はそう言われると 1球ずつタイミングを計りながら打ち込んだ
泰子は祐子の後ろで見ていると
「祐子さん だいぶ慣れてきたわ 大丈夫よ」
「わぁー 嬉しいわ ありがとうございます ふふふ」
「後はどんな状況でも 真っ直ぐに打てるようにすることね その後に
ドローボールやフェードボールを覚えると良いと思うわ 大丈夫よ」
「はーい ありがとう 褒められると励みになるわ」
3人は各自の課題に取り組みながら2時間ほど練習した
「さあ それでは食事にしようよ どう泰子」
「ええ いい汗をかいたわ ふふふ」
3人はタクシーで泰子のマンション近くにある寿司屋に入った
威勢のいい掛け声で迎えられ 座敷のテーブルに案内された
神山がおつまみや生ビールを注文すると直ぐに運ばれてきて乾杯をした
「ところでさ 8月5日だけれど 伊豆山カンツリークラブにいこうよ
それで祐子 悪いけれど留守番をお願いします」
「ええ 全然気にしていませんよ 大丈夫よ」
「うん 今回はメンバーだけで行って来ます ごめんね」
「ううん 全然 そんな変に気を使わないでください 大丈夫ですから」
それを聞いていた泰子が
「そうね 隠していても後で分かるのって嫌だもの これも神山さんの愛情」
「おいおい でもね そうなんだよ 隠すと後で言い訳になるしさ」
「私は凄く幸せよ だってお仕事が楽しいもの ふふふ」
祐子は痩せ我慢をしている様子ではなく 心から刺激を楽しんでいた
「でもね 神山さん みんなが行くときには誘ってね ふふふ」
「それは勿論の話しだよ 大丈夫だよ」
ゴルフの話がひと段落すると泰子が
「ごめんなさい お仕事の話で」
「うん いいよ」
「今度の8月1日の面談ですが 飲料関係の貿易会社が来るんですよ」
「へぇー そんな会社も関係しているんだ あの協会は」
「ええ それで大手のワインやビールを輸入している会社で
国内に卸している貿易会社なんです 眞鍋香織が話していましたよ」
「へぇー でもなんで僕が顧問なの?」
「やはりネームバリューですね そう言われてましたよ 以前 ホテルの
ソムリエと戦った事がもう知れ渡っているんですよ」
「ああ 戦ったと言うより うん 分かった へぇー」
「ですから噂が広まっていて 洋酒業界やワインを取り扱う業界では
神山理事を是非 顧問にと電話が殺到しています」
「うーん そうか しかし困ったものですね 前回は牛肉の焼き方で
顧問でしょ 今回はソムリエと話した事で顧問か 困ったもんだ
ほんとプライベートが無くなる感じだね」
「仕方ないですよ それだけの事実があるんですから」
神山は洋酒関係の会社と聞いて 頭の中で何かが閃光したが形にならず
黙り込み考えてしまった
泰子と祐子はそんな神山を心配したが 仕事の事だと思い二人で喋った
「へぇー そこの会社って凄いですね 大手のメーカーさんに卸すなんて
そうすると そこを抑えるといいワインやビールが優先的に輸入できて
儲かるわけですね」
「そうなの 普通缶ビールなんかには貿易会社の名前は入っていないのよ
ただし そこを通さないと入手できないの 大した仕組みよ」
このとき神山が
「ねえ そこの会社でオリンピック記念クリスタルグラスを配る事って
出来るかな」
突然の話しなので泰子と祐子はきょとんとした
神山はクリスタルグラスの販売計画を掻い摘んで話すと泰子は
「凄いわね 出来るわよ だって顧問でしょ 絶対に大丈夫よ
そうすると例え販売にしても 流通は現在の運送を利用できるでしょ
それから 小さな規模のお店まで浸透しているから 凄い事になるわ」
「そうか うん 面談が楽しみだな ははは」
その話を聞いていた祐子が
「ねえ 神山さん でも51万客でしょ 生産能力はどうなんですか?
オリンピックまで約800日ですよ 単純に計算しても一日に630客の
生産能力がないと 追いつきませんよ」
神山はしまったと思い 考え込んでしまった
暫くして
「そうすると 販売計画を見直すか投資をしないと無理だね ありがとう」
「しかし 凄い事を考えられますね 驚きです」
「うん よし 明日話をしよう 助かったよ ありがとう」