2013年8月9日金曜日

Vol.1126 百日紅 -5-66



「ううん 先週買った ほら熱海で買った宝くじ 当ったわよ
ほら54組の192837を連番で買ったでしょ」
「えっ ほんとっ 凄いね あれって確かさ ゴルフのスコアだよね
へぇー連戦連勝じゃない でなん等?」
「ええ 1等と前後賞よ だから合計2億円当ったわ」
「へぇー 凄いね そうすると家の分はそれで充分間に合うね」
「ふふふ ありがとう それでね あなたが5千万円出してくれたでしょ
あれを お返ししようかと思っているのよ だから口座を教えて」
「うーん いいよ あれは僕からのプレゼントだよ だから気にしないで」
「でも そんなに甘えても罰が当るわ」
「大丈夫さ 当るのは宝くじだけだよ でもおめでとう ははは 凄いや」
「分かったわ じゃ あのお金は使わせてもらうわね」
「うん お母さんも喜ぶよ ほら細かい所を修正していくと金額が上がるし」
「ええ わかったわ でもほんとありがとう」
「うん モデルが出来たら連絡をください」
「はーい では失礼します」
電話を切ると洋子が
「亜矢子さん 又 当ったの?」
「うん これで4連勝か5連勝だよ 凄いよ 驚きです」
「へぇー そんなに当っているんだぁー 凄いわね」
「しかし 僕と一緒の時に買っているでしょ 亜矢子だけじゃなくてさ
だから思うんだよ 僕の運が逃げちゃうんじゃないかって」
「そんなぁー 大丈夫ですよ まだまだ運が付いているわよ」
「そうかなー 大丈夫かなぁー そうだ渋谷で買ったのはいつが抽選日?」
「確か 今日だから夕刊に載るわよ」
「運があれば 多分それも当りだね まあ期待しないでね」
「そうね 夢ですものね ふふふ」

神山が次長席で仕事に集中していると催事課の奥村課長から電話が入った
「山ちゃん じゃない常務 ありがとうございます」
「どうされたんですか?」
「うん 8月の人事移動で催事課に女の子がくることになって、、、」
「ああ 良かったですね」
「それがさ 常務の仕掛けだって分かったんです」
「ははは でも所詮女の子ですから 期待しないでくださいね」
「でも ほんとありがたいですよ」
「翔は完全には抜けませんが 多少感じる所があって 先手を打ちました」
「うん 時田社長からも伺いました ありがとう 助かった」
「まあ 屋敷君と頑張れば大丈夫ですよ なかなかの子でしたよ」
「へぇー もう会っているんだ」
「それはそうですよ でないとお勧め出来ないでしょ 大丈夫ですか?」
「ははは 嬉しすぎて頭が廻らないよ そうそう それで歓迎会と翔の
昇進祝いを兼ねて席を設けたいんだけど 都合はどう?」
「ええ 大体は空いていますよ ただ飛び入りがあるんではっきりとは」
「そうだよね どちらにしても8月に入ってからになります」
「早めに教えてください お願いします で場所は?」
「うん ホテル禅の日本料理 四季で行うつもりで話を進めている」
「はぁー それだったら早めにお願いしますね」
「うん 一応 時田副社長も呼ぶつもりなんだ だからお願いします」
「はい 分かりました」
神山は電話を切ると仕事に集中したが洋子が
「ねえ お店が開店しましたよ カード入れを買いに行かないの?」
「そうか そんな時間なんだ ありがとう じゃ一緒に行こうよ」
神山と洋子が店に入ると店員が丁寧にお辞儀をして挨拶をした
最初に行ったニーナ・ニーナで札入れと同じ皮で出来ている名刺入れを
洋子から勧められ買う事にした
「でも マチの部分が広いね 大丈夫かな」
「だって そんなに名刺を入れないでしょ このマチなら充分よ」
そんな話をしながら 店内の顧客状況を見ながら全館を廻った

お昼を食べ終えソファーで寛いでいると東都食品の田宮が訪れた
「先日はお世話になりました」
「いえいえ 北陸さんも頑張っているし 僕としては潰せないですからね
それで 今日は?」
「ええ 懸案だったサラダ缶詰のドレッシングが出来ましたので まだ
試作段階ですが是非ご賞味して頂き ご意見を伺いたいと思いました」
田宮は神山と洋子に缶詰を渡すと 用意した水でサラダを戻した
ドレッシングは缶詰の中に別な細長い袋に入っていて 切り口は手を
汚さないよう工夫され かける量も調整しやすかった
「いいじゃないですか 田宮さん 美味しいですよ」
「あーあよかった あとこちらの缶詰には別なドレッシングが入っています」
田宮は別なドレッシングをサラダに掛けると神山に勧めた
神山と洋子はドレッシングを食べ比べたが
「どちらも甲乙付けがたいですね」