神山は山中をビルの1階で見送ると 今日の祝儀袋や顧問ご祝儀を
整理し始めた 建築 食品 繊維協会で現金が7億2千万円 ギフトカード
が1億3千万円 顧問ご祝儀が1億8千万円となった
神山は現金を整理するとソファーでビールを呑み寛いだ
祐子は夜間練習で不在だし 由貴や桃子もきっとそうだろうし
夕飯の相手がだれもいなかった Gプロも残業で
催事課の杉田に電話をすると丁度帰るところで捉まった
「翔 夕飯はどうするんだ?」
「ええ ごちです テツもいいですか」
「うん そうしたら 部屋の外で待っていてくれ」
神山はそう言うと ギフトカードと現金を少し多めに持って部屋を出た
「先輩 久しぶりじゃないですか 夕飯誘ってくれるなんて」
「ははは まあね 今夜は一人寂しくだよ」
「そうそう 奈々子さんも呼んでいいですか?」
「うん いいよ」
杉田は携帯電話で連絡すると 直ぐに来ると返事があった
「テツ タクシーを止めて置いて 直ぐに行くから で何処に行きますか」
「うん 何を食べたい」
「参ったなー まだ考えていなかった」
暫くすると奈々子が走ってきて神山に
「常務 こんばんわ ご馳走様です」
「奈々子 イタリアンレストラン スパに電話をしてください」
神山が驚いていると奈々子は左手でOKサインを出し電話を切った
「部長 常務の名前を出したら どうぞってマスターから言われました」
「うん ありがとう って事でイタリアンレストランに行きましょうか」
神山は杉田が大人になったと喜び 奈々子も大したものだと感じた
3人がタクシーが待っている所に行くと杉田が前に座り神山は後ろの席を
案内され 完全に杉田のペースになっていた
青山の交差点に着きタクシーを降りて神山が精算すると杉田が
「どうも済みません ありがとうございます」
「ははは 翔 僕がいるときは僕が払うから 余計な心配は要らないよ」
「はい ありがとうございます 奈々子 覚えておくんだよ いいね」
「はーい 了解です」
「おいおい 先輩がいるときは はい 分かりました だよ
仲間内で話している時はいいけれどね いいね」
「はい わかりました」
「うん 大変よろしい」
神山は杉田の秘書に対する接しかたもなかなかだと思った
店に入ると 石原総支配人が神山に丁寧にお辞儀をした
「これから この若いのがお世話になります お願いしますね」
「はい 先日もお電話でお話は伺っています 大丈夫ですよ では」
石原は2階の席に案内し 注文を聞いた
「まずは 生ビールと美味しい生のたたき あとはピクルスやおつまみ
そうそう 美味しいソーセージってありますか?」
「ええ ご用意できます」
「ではそれでお願いします コースは後で注文します」
石原が確認し厨房に戻ると 直ぐに生ビールとおつまみが運ばれてきた
「では 奈々子ちゃんと初夕食で乾杯」
みんながジョッキをカチンと合わせると4人は生ビールを呑んだ
奈々子が勢い良く呑んでいるので神山は
「おいおい 奈々子ちゃん 大丈夫? そんなに一気に呑んで」
「ええ 大丈夫です ほら喉が渇いていたので 美味しいですね ふふふ」
おつまみを食べていると ピクルスやソーセージが運ばれ生ビールが空くと
奈々子が杉田に
「ワインでも頂きましょうよ ねぇ常務」
「うん そうしよう メニューを貰わなくていいからね 呼んでくれる」
奈々子が石原を呼ぶと神山は
「今日のお肉に合ったワインをお願いします」
「はい 畏まりました 少し若いですよ ミディアムボディーです」
神山は頷き 石原に任せた
「翔 ここだね 美佳さんとの出会いは」
「ええ そうです」
「今日は日曜日だからお休みだね」
「ええ 昨日からご両親と箱根の温泉です」
「なるほど 最後の親子旅行か いいね」
「ええ 最初は渋っていたんですよ 改めてって でも ほら 頂いた
お金で チケットを買って プレゼントしたんです 美佳じゃないですよ
お父さんに そうしたら喜んで頂きました」
「うん いいことだ そのように使えばその金は廻るね よかったね」
「ええ で 美佳には内緒でお父さんに1万円渡し これでお土産を
買ってきてくださいって頼んだんです」
「なるほど いいことだ それで部長だ お父さんも喜んでいるでしょ」