2013年5月8日水曜日

Vol.1033 百日紅 -1-62



「お邪魔じゃないの 大丈夫」
「うん 大丈夫だよ ほら真由美さんと香織さんだよ」
「へぇー 泰子さんはどうしたの?」
「今日明日は引越し準備でカレンダー通りお休みです」
「わかりました 直ぐに行くわね」
「はーい 待っています」
神山は仲居を呼ぶと 蒲焼などを一人前追加した
「神山理事 どうされたんですか?」
「うん 新任部長の秘書が選出された報告だよ ははは 早いね」
「へぇー 部長さんで秘書が付くんですか」
「うん ここだけの話だよ いいね」

生ビールや鮮魚のおつまみを食べていると洋子が部屋に入ってきた
「こんにちわ 田所理事」
「まあ 洋子でいいわよ ふふふ こんにちわ」
「まずは 乾杯 お疲れ様」
4人は改めて 生ビールで乾杯をした
神山にとってはこれで泰子の話をしなくてすむと思い気が楽になった
「でも 本社人事は良く出してくれたね」
「種明かしは 名古屋からね 東京に来る女の子が居るのよ」
「へぇー そうなんだ」
「来るって言うより 帰ってくる方が正確かしら」
「へぇー 名古屋で使い物にならなかったの」
「ううん 結婚して名古屋に行ったのね でもね離婚したのよ それで
東京に戻ってくるってそういう訳なの」
「じゃ 堀田さんは知っていたんだ でも離婚で東京に戻れるって凄いね」
「でしょ ほら権田社長の親戚のお嬢様なのよ」
「へぇー 知らなかった でも凄いね」
「ええ なのでこの事は一切秘密なの ふふふお願いね 実は堀田さんから
も絶対に内緒って言われているの」
「はーい 内緒です 分かりました で奈々子ちゃんは知っているの?」
「そうそう 大変よ 15日に命課ですって」
「へぇー また早いね」
「ほら部屋が出来るでしょ その時に居た方がいいって」
「へぇー また凄いね」
「それでね 本人がなんと言ったと思う」
「うーん 洋子二世で頑張りますって どうかな?」
「ううん 洋子二世ではありません 杉田さんを守る秘書になりますって」
「へぇー あの奈々子ちゃんが そんな事言うんだ 知らなかったな」
「もっとも私は芯の強い女の子だなって思っていましたよ 上司の言う事を
良く聞き 残業があっても全然へこたれないし かえって楽しんでいたわ
それでね 主任を飛び越して係長よ」
「えっ 係長 へぇー 凄い事になったね」
「ふふふ 時田さんが内藤さんに電話をしたのよ」
「えっ またなんで?」
「ええ 経緯を話したら アルタでも係長なの なので係長になったのよ」
「えっ アルタで係長 大丈夫かな へぇー」
「それからね 車は貴方が用意するって話したでしょ」
「うん」
「そうしたら 山ちゃんの時にプレゼント出来なかったから 今回は私が
準備します 駐車場もアルタで借りますって事になりました」
「へぇー ほんと 凄いなこれは」
「なので堀田さんや本社は大騒ぎで 知らないのは銀座店かな」
「へぇー でも良かったね 早く決まって」
「さあ 報告はお終いでーす 食べましょう ふふふ」

香織と真由美は大体の話は分かり洋子と話をしながら楽しく食べた
「でもさ なぜこんなにスムーズに話が纏まるのかね 不思議だよ」
「ふふふ 貴方がレールを敷いて利益を出そうとしているからじゃない
そのくらい分からないの もう がっかり」
「おいおい 僕は自分の事で精一杯だよ レールなんて敷いた覚えはないし」
それを聞いていた真由美と香織は
「でも 洋子さんの言うとおりだと思います 自分は思い切ってお仕事をし
その事でいい方に進んでいるわけですよ だから廻りも理事を認め
特に発言には強いものがあって みなさんそれに従うんです ほんと
凄く羨ましいと思いますよ ねぇー洋子さん」
「そうよ でなかったらとっくに秘書を辞めていますよ もう」
「おいおい そんな苛めないで もう 折角のうなぎが不味くなるぅー」
3人の女性が大笑いしながら 食事を終えると洋子が精算した
丁度その時に時田とすれ違い 神山は
「今回の件 本当にありがとうございます 心から感謝します」
「おお よかった 部長席に間に合いそうだね それで奈々子ちゃんは
もう 催事課で杉田君と仕事をしているそうだ 今 連絡が入った」
「えっ もう 仕事をしているんですか」