秋山は直ぐにグラスと乾き物を用意すると時田がソファーを勧めた
「杉田君 山ちゃんはな昨日 御殿場の仕事を纏めてきたぞ」
「はぁー」
「副社長 その話はまたでお願いします」
「おう そうだな ところで杉田君 クリスタルはどうだね
グラスのデザインが色々とあると思うが」
「ええ 私が好きなのは先日 先輩から見せられたグラスの形が好きです」
「うん」
「って言うのは 絵を見せていく事を考えると あれ以上大きいと
絵のポイントが分からなくなり 小さいと描ききれません」
「ほぉー なるほど そうか そうするとあの形のグラスがいいと」
「ええ 自身そう思っています ただし 飲みくちのところが 少し
厚く出来ているので もう少し薄く出来ると飲みやすくなると思います」
「うーん そうか ありがとう 山ちゃんはどうだね?」
神山はもしかして 権田から情報が入っていると思い
「経費が掛からなければ 権田社長の意向に沿ったほうが賢明ですが
消費者やコレクターのアンケートを参考にしてもいいと思います」
時田はさすが神山と思い
「さすが良く読んでいるね ははは 権田さんは 杉田君が言ったとおりの
事を話されていた それでワシが本人に聞いておきますと答えたのさ」
杉田はブランデーを呑みながら 乾き物を食べていた
「よかったな 翔 これで仕事がしやすくなったな」
「はい ありがとうございます 先輩や社長のお陰です はい」
杉田の顔がどんどんと赤くなってきて 時田が
「おい 杉田君 大丈夫か?」
「はい 大丈夫です お祝いですから せめて顔だけでも赤くしています」
「ははは 山ちゃん 参ったなぁー おーい秋山君 水」
秋山はやり取りを聞いていて 直ぐに氷と水を用意し杉田に渡した
「洋子 頼もしい部下が出来たわね ふふふ ほんと昔の常務みたい」
「そうね 頑張って欲しいわ ふふふ」
「山ちゃん 権田さんが えらく大森さんを気に入ってね」
「ええ」
「ゆくゆくは 販売全てをうちでやりたいと言われているんだよ」
「うーん 駄目ですね ARXとの契約違反になります」
「そうか 何かいい方法はないかな」
神山は暫く考え
「これはリスクを伴いますが いいですか」
「うん」
「うちの傘下にする事です そうすればARXとの契約も大丈夫です
ただし 人件費やマシンのランニングなど リスクが発生します」
「そうだな 困ったものだ」
その話を聞いていた杉田が
「でも先輩 そのリスクって 会社を一から立ち上げるより安いし
クリスタル大和ってブランドを残せば経費は半減できないですか」
「うーん 大森社長が はいそうですかって 応じないと思うし それに
あそこは親族でグラス製作所やガラス粉製作所など持っているんだ
なので 一番下から傘下にしないと 弊害や問題が出てきて 運営事態が
上手くいかなくなる可能性は大いにあるんだ」
「そうか そこまで調べているんだな わかった」
「ええ なのでクリスタルは鈴やの販売ラインで売り上げを
伸ばして行こうと考えています 他の百貨店には多分入らないと思います」
「そうか 分かった 権田さんから連絡があったら そのように伝える」
時田は席に戻り引き出しから包みを取り出し杉田に渡した
「おう 頑張ってくれ 頼んだぞ」
「はい 副社長 ありがとうございます」
杉田は丁寧にお辞儀をすると 包みを受け取り 神山たちと部屋をでた
秋山が杉田に紙袋を渡し
「部長 この中に入れてください」
「はい ありがとうございます」
杉田は真っ赤な顔をして 各理事に挨拶に廻った
全員の理事からご祝儀を貰った杉田は神山に
「先輩 先輩の時もこんなに頂いたんですか?」
「ははは 全然 貰っていないよ ねぇ洋子」
「ええ 部長さんの時には全然 頂いていないわ だから部長さんで
副社長や理事から頂いたのは杉田君が始めてよ ふふふ」
杉田は喜んでいいのか 緊張していて段々と体の動きが鈍くなり
両足と両手が思うように動かなくなった
その格好を見た洋子が
「神山さん この格好よ 今朝 ふふふ もう ロボットよ」
神山や泰子もみて大笑いしたが 本人は笑えずにぎこちなく動いていた
「おい 翔 美佳さんにこの事話てあるのか 僕は緊張するとロボットです」