2013年5月18日土曜日

Vol.1043 百日紅 -1-62



名古屋から直ぐに話が来ましたよ」
神山は
「それって 仕事上の事でしょ」
「いいえ プライベートな情報ですよ」
「へぇー 凄いなぁー ねぇ洋子」
「ええ でも貴方が上野から銀座にこられる時も 情報は掴んでいましたよ」
「へぇー 恐ろしいな ねえ 社長」
「おう なんだ 内緒話ではないのか 少しがっかりしたな ははは」
「でも ここでしめ鯖は内緒話でしょ」
「うん まあな 秋山君に怒られる」
「まあ そんな 秋山先輩に何かあるんですか ねぇー洋子さん」
「そうですよ まったく」
「うん いいやなにも無いけれど ほら ねぇー 山ちゃんどうしよう」
「ははは じゃ 僕が秋山さんにお話をしておきましょうか」
「おいおい 頼む わしが悪かった 許してくれ」
「浮田さん よほどしめ鯖を食べたかったんですよ ねぇー社長」
「こら 山ちゃん もう 苛めないでくれ」

話がひと段落すると神山は株式会社北陸食品工業と東都食品の合併問題を
時田に掻い摘んで話をすると
「鈴や食品としては 穏便に進めて欲しいな」
「原因はなんだと思われますか」
「うーん もしかして GOLの資金繰りが怪しくなったかな」
「えっ そんな もう進んでいるのに」
「うん 分からんよ ただ北陸食品に落ち度が無いとすればの前提じゃ」
「ありがとうございます 洋子 悪いけれど 入念に調べてください」
「ええ 東都の営業成績だけじゃなく お金の方も洗います」
「でも 明日は銀行が休みだけれど大丈夫?」
「ええ 詳細まで分からないけれど 大体の事は把握できますよ
もし分かったら 連絡しますね」
「うん お願いします でも参ったなー 当ってなければ良いけれど」
「おう 山ちゃん 当っていたらどうする 何か手を打てるか」
「ええ 3億まで出資します 回収なしで」
「えっ 3億だと へぇー じゃワシはどうしたらいい」
「多分その範囲で収まりますよ なので社長にはご心配かけません」
「しかし 良く貯めたな」
「ええ これも社長のお陰です ありがとうございます」
「そうすると 噂の10億って本当なのか?」
「えっ 10億ってなんですか」
「うん 財産じゃ」
「ははは もう 良いじゃないですか ねぇー洋子」
「そうですよ 社長 噂は噂 ねぇー神山さん」
「って事は 持っているんじゃな 大したものだ この若さで」
「でも その金額って 何処から出たんですか」
「うん 隣に座っているだろ」
「あー 書留の処からですね でも金額って書いてないですよ 確か」
「うん まあな 大体の感らしいがな」
「もう 浮田さん 困りますよ そんな恥ずかしい事流さないでください」
「ふふふ ごめんなさい でもね 凄い書留の量よ 初めてよ
それで ほら なんて言っていいか 少しは嫉妬するわけです」
「参ったー もう無しですよ お願いします」
「はーい ごめんなさい もうしません」
洋子は以前聞いた金額を知っているので 神山がどうするか見ていたが
肯定でも否定もしない方法で 口を封じ込めた事に驚いた

「さあ 僕らは出ますが ごゆっくりしていってください」
「おう そうか うん すまんな もう少しだけしめ鯖を食べる」
神山は女将に精算をしてもらい 余計に1万円渡した
店をでると洋子に
「しかし 10億ってどこから出てくるんだろう まったくもう」
「ふふふ ほら以前聞いたでしょ なのでどうするか見ていたの
でも否定も肯定もしないで 浮田さんをぎゃふんとさせたって凄いわ」
「まあ しかしね そんな事いってもさー まあいいかぁー」
「そうよ 有名税って割り切りなさいよ」
「そうだね やり返すだけ余計なところでエネルギー使うしね」
「そうそう 言わせたい奴には言わせておけばいいのよ」
二人は呑みなおしでアメリカンポップスへ行き 踊り呑んだ
神山も洋子も今日の疲れを取りすっきりとし店を出ると
「洋子 くれぐれも奈々子には気をつけ接してくださいね」
「はーい 分かりました」
「それから 軍資金の件だが 話があったら渡しておいてもいいが
僕には報告をくださいね お願いします」
「ふふふ 大丈夫よ ありがとう」
洋子は神山にキスをすると お互いタクシーを拾い自宅に向った