よろしくお願いします」
「ふふふ 大丈夫よ 自然と慣れていくわ それでは失礼するわね」
部屋の入り口で奈々子がお辞儀をしたので洋子は手を振って答えた
ビルの入り口で香織が神山と洋子にお辞儀をして 帰っていった
神山は地下駐車場から車を出すと洋子を乗せ スタジオに戻った
「あれっ 祐子が居ないな そうか夜間練習だ ははは」
「まあ 大したものね どうするの」
神山は外壁の門扉に使う鍵を出し ガレージに車を入れた
「さあ 何を食べようか」
「上原のお寿司屋さん?」
「ははは そうしようか」
神山達はホテルまでいくとタクシーで上原の寿司屋に向った
「ねえ また顧問になられたの」
「うん まあ仕方ないでしょ」
「へぇー 凄いのね」
「でもね 焼肉の美味しい焼き方だって それが機関紙で載るんだよ
参ったね 本当に それだけで顧問だよ もう」
「へぇー 有名なんだ そうすると」
「うん そんな事もあるけれど 逆に苦情処理センターと勘違いする会社も
出てくるしね 困ったものです」
「へぇー 有名になると大変ね 自分が知らないのに相手は貴方の事を
そんなプライベートな事まで知っているわけでしょ」
「うん ほんと怖いね 参ったよ 疲れた」
「でも そのお陰でお給料が入ってくるんでしょ いいじゃない」
「ははは そう考えればね でも嫌な思いもするさ まあ仕方ないけどね」
二人が話していると上原の駅前寿司に着いた
神山が店に入ると 女将がニコニコして向かえ奥の座敷に案内してくれた
何も言わないでも女将が生ビールと鮮魚のおつまみを運んでくれた
「じゃ お疲れ様 乾杯」
「はーい お疲れ様でした」
「ところでさ 奈々子ちゃんって 運転はどうなの?」
「ええ 上手よただし 少し暴走族っぽいところがあるみたい 以前ね
スピード違反して捕まっているんだって」
「へぇー 大丈夫かな」
「ええ それからは慎重な運転を心がけているそうよ」
「うん 中途半端って一番怖いからね」
「ふふふ そうね」
「でも しっかりしているね それに気が強いや」
「上二人が男よ だからじゃない」
「そうか そういえばそんな感じがするね 翔もいい兄になれば良いけどな」
「大丈夫よ あの子ならこなすわよ」
二人が奈々子の事を話していると 店に時田と浮田慶子が入ってきた
「あっ 時田さんだよ 洋子」
洋子が振り返ると時田が
「おお 山ちゃん 洋子も一緒か」
「まあ 慶子さん どうしたの」
「ええ 秋山さんが早くに帰られたので 私が代役です」
「おいおい 浮田君 しめ鯖食べたいって 言っていたじゃないか」
「ははは まあまあ そうか浮田さんは ここは初めてですね」
「ええ いつもお話ばかりです ふふふ」
「じゃ 一杯食べて行って下さいよ 美味しいですよ」
女将が時田と慶子に生ビールを運んでくると改めて乾杯をしたが
時田や浮田がきても話題は奈々子の話だった
神山はお昼 洋子から聞いた情報は知らないことにして
「でも 電光石火ってこの事ですね どうしてそんなに早かったんですか」
時田は洋子を見たがなにも反応しなかったので
「うん ちょっと事情があってな そのうちに分かるから それまで内緒だ」
「えっ 事情ですか はい 分かりました 私も事情があるときは内緒で
話を進めます ねぇー洋子」
時田は困った顔をしたが
「内緒だぞ いいか 浮田君も」
そう念を押し洋子が言っていた様に 権田の親戚にあたる女性が東京に
戻ってくるので 1名プラスになり 本社から出す事が出来たと話した
その話を聞いた時に浮田は時田に
「まあ 副社長 その話はもう皆さんご存知ですよ」
「えっ 知っていたのか 浮田君は」
「ええ 秘書室や秘書課 人事総務では知らない人は居ませんよ」
「へぇー じゃ洋子も知っていたのか?」
「いいえ 私は今日 堀田理事から伺いました」
「へぇー 早いな」
「だって 離婚されたその翌日にはもう知れ渡っていましたし 東京の話も