2013年5月31日金曜日

Vol.1056 百日紅 -2-63



「ううん 泰子が引越しだから その片づけさ」
「ああ 今日だったの 雨だから大変だったわね 大丈夫かしら」
「うん何でも 段ボール箱数個だって 質素な生活ですって話していたよ
由紀枝とそっくりだね 由紀枝の時も段ボール箱数個だったしね」
「はいはい では 頑張ってきてね ふふふ」
「おいおい 洋子まで言うかもう さっき祐子に言われて自信無くしたのに」
「そうそう そうしたら明日は何時に来られますか」
「うん 普通どおりに着ますよ まさか社長出勤じゃないよ」
「はーい 分かりました」
「じゃ お先に失礼するよ 何も無かったら帰っていいよ ほんと」
「ええ そうしたら私も帰ろうかな」
「うん じゃ 送っていくよ」
「ええ お願いします」

車の中で神山が洋子に
「ねえ どうだろうか ギフトカード1千万円より 現金5百万円と
GC500万円って半々にするのは」
「ええ それはそれで大喜びよ そうすると1位は1千万円で2位は」
「うーん 800万円位かな 3位が600万円 4位が400万円
5位以下が200万円で どうかな」
「うーん いいんじゃないの それで そうすると総額3800万円
へぇー 凄いわね そのうちの半分が現金でしょ 凄いわ」
「うん 身内だし 夏のボーナスさ でも前回のように1位が2人も出たら
大変だから 準備が大変だな そうだ ジュラルミンのケースを買って
その中に入れていくか」
「ええ その方が安心よ だってホテルやゴルフ場も支払いするんでしょ
だったら分けておいた方が 安全だし安心よ」
「そうしたら うちにあるジュラルミンケースは8千万円ほど入るから
それを持って行こう じゃ ちょっと赤坂に寄ります ごめんね」
神山はスタジオに戻るとジュラルミンケースを持ち車に戻った
「ははは 祐子が忘れ物ですかだって スタジオでパターの練習をしていた」
「へぇー 恐ろしいわね」
洋子は手帳を取り出しゴルフの成績を見ていると
「ねえ 祐子さん由紀枝さん由貴さん桃子ちゃんって87 87 90 90
で殆ど一緒のスコアよ それがどこまで伸びてきているかでしょ 私と
亜矢子さんが82だもの へぇー負けるわ そうそうカトリアーナが86よ
みんな侮れないスコアね」
「うん だから練習でクラブに慣れれば 4つや5つは減るからね そうだ
一応 ハンデは考えておいてね お願いします それから裸じゃ不味いから
包むもの そうだな売場でピン紙を貰って置いてくれるかな それとも
封筒でいいか」
「封筒でいいでしょ その方が中を確認した後も綺麗だし」
「そうだね では準備しておいてね しかし 僕と泰子は70出さないと
びりになるわけだ 困ったものだ ははは」
話していると洋子の自宅に近づき洋子を降ろすと
「ありがとう ココでいいわ」
洋子は傘を開き小走りで雨に濡れないよう自宅に向った
神山は泰子のマンションに行くと 大きなガラス扉が開き部屋に向った

「わぁー 早いですね」
「うん 終わった」
「ええ あがって」
「へぇー 見た目なにも変わっていないね」
「ふふふ だから何も無いわよって 言ったでしょ それで祐子さんから
電話があって 明日はどうされますかって言われたので 4時か5時に
スタジオに伺う事を伝えました」
「うん 聞いているよ それで香織と真由美は箱根に寄ってそれから御殿場
ってことも聞いたよ」
「そうなのよ 私も行きたかったの でもねほら 色々と買い物をしないと
いけないでしょ で行くのを止めました」
「そうだよな ここで生活するんだから日用品は買わないとね そうそう
グラスや食器類って揃っている?」
「ううん そこら辺も買おうと思っているんです」
「うん そうしたらこれから渋谷に出て 買い物をしよう 時間はあるし」
泰子は神山に抱きつきキスをして
「嬉しいわ ありがとう ふふふ ここも元気みたい ふふふ」
泰子は神山の前をポンと叩くと出かける支度をした

渋谷の有名食器店にはいるとグラスのコーナーにいき泰子に
「ほら 高いものだと 輝きがあるでしょ」
「ええ 素敵ね ふふふ」
神山はタンブラー オールドファッションドグラス ワイングラス
シャンパングラス ブランデーグラスの5種類をパリのブランドで揃えた
タンブラーは国産のものも買い求めた 結構な大きさになったので 一回








2013年5月30日木曜日

Vol.1055 百日紅 -2-63



神山と洋子はしゃぶしゃぶを堪能し帰りにモテリコで商品を受け取り
タクシーで次長室の入っているビルに着いた
賞品を部屋に置くと
「そうか 9人で車だと入らないな 困ったな」
「えっ 9人 そうね BMWでも入らないかしら」
「うん ゴルフクラブを入れるからね 困った そうか 真由美と香織は
タクシーで行ってもらい 帰りは乗せられるかも知れない 彼女達
火曜日一日休暇を取っているから 早めに行っても大丈夫だし」
神山は食品協会の香織に電話をした
「理事 こんにちわ どうされたんですか」
「うん 明日だけど 悪いんだがタクシーで行ってもらえるかな」
「ええ 大丈夫ですよ 私も真由美も車で行くつもりですよ」
「ごめんね 賞品が嵩張り多分ぎりぎりで難しいんだ」
「大丈夫ですよ 私たち朝から出かけます 久しぶりなので 箱根でも
寄って それから御殿場に入ります」
「わかった そうすると2台でくるの」
「多分私の車です マーチで行きますよ ふふふ 運転しやすいし便利です」
「分かった 現場でガソリン代を渡すよ」
「大丈夫ですよ ほらお給料も増えるし 給油で何十万もしないし」
「うん まあそうだね そうそう ホテルは分かるよね」
「ええ 地図で調べてあります グランド インですよね」
「うん そうだよ 神山で予約してある」
「はーい 了解です 多分6時頃には着きますよ」
「うん 夕食は7時頃になると思う 呑んでいていいよ」
「はーい 分かりました」
「じゃ お願いしますね」
「はい 失礼します」
電話を切ると洋子に
「二人は車だって マーチで来るそうだ それで久しぶりだから箱根に寄って
それからホテルだってさ あーあ 余計な心配をした」
「まあ いいじゃない 良かったわ」
「そうか 祐子に話していなかったから チグハグになったんだ うん」
「連絡先を教えてなかったの」
「うん」
「まあ それだったら仕方がないわね ふふふ」
「でも みんな大丈夫かな」
「ふふふ 祐子さんが幹事をしているから 心配なんでしょ 大丈夫よ」
神山は祐子に電話をした
「神山です」
「はーい どうされたんですか 何か忘れ物でも」
「ありがとう 実はゴルフの件だけど 待ち合わせなど上手く行っている」
「ええ 大丈夫ですよ ただ眞鍋さんと安堂さんが分からないんです」
「ごめん 彼女達は自分の車で行くって話しです 伝えるの忘れていた」
「あー 良かった その2人だけどうするのか 考えていました
後は全員OKですよ 由貴さんと桃子ちゃんは上原5時半 カトリアーナは
午後ココに来ます 泰子さんも3時か4時にココにこられます」
「分かった ありがとう 助かるよ」
「それでハンデですが それはホテルで相談した方が良いと話していました」
「へぇー みんな練習をしているんだ」
「ええ なのでハンデで優勝ってつまらないって そういう意見です」
「おいおい 大丈夫かな 分かりました じゃ 戸締り気をつけてね」
「はーい 頑張ってね ふふふ」
「はい 分かった もう」

電話を切ると洋子に今の話を伝えると
「まぁ ハンデで優勝って嫌だからって 凄いわね もう 負けたわ」
「そうしたら 泰子と僕が0でしょ あと香織と真由美が14で その他は
全員8でどうだろうか」
「えっ そんな そんなに上手なの わぁー 私 明日早く寝るわね」
「えっ 由紀枝も亜矢子も祐子も泰子も洋子も桃子も由貴も早く寝るんだ
えっー 折角高い部屋をキープしたのに えっー 本当かよもう」
「ふふふ 残念でした でも凄いわね ハンデで優勝は嫌だから ホテルで
決めたいって みんな言っているのかしら」
「うん 祐子の言う事だから 本当でしょ 参ったぁー そうそう祐子が
私 絶対に優勝するんだだって これも凄い自信だよ 負けた」
「でもさ 結局は練習時間が少ないでしょ だからちょっとした拍子で
スコアが崩れるじゃない そうすると悪い方にいくともう駄目ね」
「あーあ 今回は祐子にまんまとやられたな 参った びりだよ びり」
「ふふふ 頑張ってくださいね」

神山は時計を見ると4時になっていたので
「じゃ 洋子 僕はこれで失礼します」
「あらっ 早いですね 練習ですか ふふふ」







2013年5月29日水曜日

Vol.1054 百日紅 -2-63



「ギフトカードでもいいかな」
「はい 大丈夫ですよ」
神山はバッグから 2千万円分だし50万円抜き店長に渡した
ここでも枚数を勘定する機器があり3回勘定し
「はい 確かに1950万円でございます ありがとうございます」

神山は店長に挨拶をすると店内を見回した
「洋子 なにかさ ドラコンやニアピンの賞品って無いかな」
「いくら位」
「うん そうだね 今回は8つにしようと考えているんだ だから50万円
までかな それ以上はちょっとって感じでしょ」
「そうね」
洋子も一緒になって探したが 嵩張らないで50万円はなかなか無かった
「ねえ この新作のカジュアルバッグはどう 少し大きいけれど」
「そうだね そうしようか」
神山が見たのは先日泰子に買ってあげたバッグより一回り小さく出来た
バッグで 洋子の年代から泰子の年代まで幅広く利用出来るバッグだった
色はチャ系が2色であとクロの3色だった
「このバックスキンだと クロよりチャ系の方が素敵ね」
「そうだね そうしたら2色を4個ずつ買おうか まさか一人で3個は
いないでしょ」
「ふふふ だといいわね でも幾つ持っていても大丈夫よ」
神山は店長にバッグを買う事にした事を伝えると
「これは30%ですが 宜しいですか」
「ええ それで色が濃い方に付箋を付けてください」
52万円なので291万2千円を渡し精算した
「後は おしり3人分くらい 10万円でないかな」
「ああ ブービーって感じね」
再び洋子と神山が探していると洋子が
「ねえ 体形って殆ど同じでしょ」
「うん まあ そうだと思うよ」
「まあ」
「だって 測ったことないでしょ もう 保健の先生じゃないもん」
「ふふふ このブラウスだけど どうかしら」
「へぇー 素敵なデザインだね 洋子のサイズに合うのかな だって
胸のボタンがはじけたりしない」
「もう 嫌ねぇー そうそう だったらこのセーターはどうかしら」
「あっ そうだね それなら胸に関係なく着る事が出来るよ だったら
少し高いけれど こちらの方がいいと思わない」
「ええ これならいいわね タートルネックだと温かいし うんこれがいい」
神山は店長にタートルネックのセーターを頼むと
「神山様 こちらも新作で30%なのですが 宜しいでしょうか」
「うん お願いします そうそう 洋子 色はどうしますか」
「うーん このオフホワイトで良いと思うわ」
神山がオフホワイト3枚と淡いピンクを2枚頼むと店長が
「13万円ですので 45万5千円です」
神山はギフトカードで45万5千円分渡すと機器で勘定してくれた
「はい 確かにございます ありがとうございました」
「それで 淡いピンクは別にしておいてね それから大きな袋に入れて
置いといて貰えるかな 食後に伺います」
「はい 畏まりました」

「よし これで準備OKだね 何か漏れていないかな」
「そうそう 3組でしょ ねえ トランシーバーは持っていくでしょ」
「うん 持って行こう 楽しいし フラッグは現場で売っていたから
ゴルフ場で買えばいいし 大丈夫だね」
「ねえ ところで淡いピンクのセーターはどうするの?」
「ははは 気になるね 奈々子ちゃんと 今度催事課に来る子の分さ」
「なるほど そうね わざわざ買いに来なくてもいいし なぁーんだ」
「おいおい 欲しかったら買うよ」
「まさか まだ暑くて買う気になれないわよ もっと後でね ふふふ」
「おいおい 真冬のコート買ったじゃない じゃなんなの」
「ああ あれは特別よ ほら なんと言っていいかわからないけれど」
「はいはい 分かりました 充分に分かりました」
「ふふふ じゃ買って そうね 3着位あればいいかな」
「もう 次回だよ でもさハンデを決めないといけないね 困ったなぁー」
「ふふふ いいわよ 私がみんなに聞いてあげる 前回のスコアを考えて」
「うん 前回のスコアとハンデだよな お願いします でも時間が無いよ
それから 今回は馬券はしないよ いいね」
「ええ その方がいいわよ だって誰が見ても男一人って 可笑しいもの」
「だよな」
話しているとレストラン街に着いた
「じゃ しゃぶしゃぶでもしようか どう」
「ええ まだ並んでいないし ここにしましょう」







2013年5月28日火曜日

Vol.1053 百日紅 -2-63



洋子はコピーをすると 神山に渡し 半分に折り 裏側に正式な契約書と
重ね合わせ 再び田宮のサインと神山のサインをした
「田宮さん これでこのコピーも法律的に生きて来ます いいですね」
「はい では午後にでもお持ちします 本当に申し訳ございません
それから3億ですが 大切に使わせていただきます」
「はい そうそう 御社の口座を教えてください 早速振り込みます」
里香が手帳を出しメモにし神山に渡した

「田宮さん 北陸食品さんとの合併はどうされますか?」
「ええ 私はまったく考えていません なので取りやめです 私からも
先方には連絡をしておきます ご迷惑をおかけしました」
「はい ではお願いしますね」
神山と田宮が話している時 洋子は給与の振込先口座を里香に伝えた
「洋子さん 本当にごめんなさい 私も勉強しました」
「ええ 頑張りましょうね 秘密はなしで行きましょう」
「ええ でも助かりました ありがとうございます」
田宮は5千万円をバッグに入れると神山と洋子にお辞儀をして部屋をでた
神山と洋子はビル1Fまで見送った
次長室に戻ると神山は時田に電話をした
「そうか 解決したか よかった」
「ええ お陰さまで副社長になりました」
「えっ 副社長 へぇー 凄い事になったな」
「ええ 3億回収無しですから 当然でしょ」
「そうか 回収しない方法で副社長か いや おめでとう」
「で 洋子さんも専属秘書になりました」
「ほー そうか わかった でも助かったな」
「そうそう 時田社長は知らないことにしてくださいね」
「うん 分かった でもそのうちに流れるぞ 噂が」
「ははは 噂は噂ですよ もう」
「うん じゃ ありがとう」
神山は電話を切ると銀行に電話をして大口入金を依頼した
銀行に行くと大口預金の部屋に入り数えると行員が
「神山様 15億で宜しいですか」
「はい お願いします」
行員は通帳に記入すると神山に手渡した
神山はその足で受付で東都食品に2億5千万円の振込みとスイス銀行に
15億の入金をした

次長席に戻ると神山は洋子に
「いやぁー 助かったね 間一髪ってこの事だね」
「ええ 優位に立てて お話が進み良かったです」
「さあ ひと段落したね 疲れたよ ははは」
「でも あなたのお陰で 毎月500万円よ びっくり」
「ははは あれはお礼さ いつまで続くか分からないけれどね」
「ちゃんと 引き出さないようにしておくわ」
「そうそう 洋子 ゴルフの賞品って ギフトカードでいいよね どう」
「ええ 大丈夫よ お金ですもの」
「後さ ペンダントトップでもあげようか 前回 1位が2個でしょ
3位が2個でしょ 2位が2個余っているんだ どうだろう」
「そうね でもまた1位が2人ってなると大変ね ふふふ 3人だったり」
「おいおい そうすると止めておくか」
「ええ いくつ買ってもきりが無いわ どうかしら?」
神山は時計を見ると11時になっていたので
「洋子 スカイ ハイ ホテルのモテリコで買い物をしよう うん やっぱ
1位から3位はあったほうがいいよ いこう それでお昼はレストランで
食べよう 決めた 行くよ」
「はーい もう」
二人は傘をさして タクシーを拾うと赤坂のスカイ ハイ ホテルに行った
3Fのモテリコブティックで前回700万円のダイヤモンドが入った
ペンダントトップを探したが無かった その代わりに違うデザインで
700万円のPDトップが飾ってあった
店長が神山を見つけると
「こちらは 新作になります 前回のものはもう在庫がなくなりました」
「なん%Offですか」
神山が聞くと電卓で計算すると
「35%でいけます」
「そうしたら これを3つください あとは300万円ってありますか」
神山が言うと店長は直ぐ隣のケースを案内し
「こちらでございます」
「そうしたら 300のを1つと200のを3つください 全て35でOK」
「はい 大丈夫ですよ で前回のように印をつけますか」
「そうですね 付箋に700とか数字を書いてください お願いします」
店長は化粧箱に入れると丁寧に包装し数字を書いた付箋をつけた
「神山様 合計で3千万円で35%Offで1950万円です」








2013年5月27日月曜日

Vol.1052 百日紅 -2-63



若社長 ごめんなさい 隠していました」
「林さん どういう事ですか?」
林は涙して答えられないので神山が洋子の資料をみなに見せた
驚いた田宮は
「えっ そんな 2億も焦げ付かせたんですか えっー」
「若社長 本当にごめんなさい 分からないうちに何とかしようと
色々と手を打ちました しかし急に2億は戻ってきません ごめんなさい」
神山は一息ついて
「林さん 一昨日食品協会の面談を行いました そこで北陸食品工業の
村上妙子さんとお話をしまして 顧問を引き受けました 最後にお手紙を
頂きました これです どうぞ」
神山は林に渡し
「しかし 調べると営業成績や色々な角度から調べても どう考えても
北陸食品さんが 傘下に入るのは可笑しいと結果が出ました 勿論 素人が
調べる事ですから 詳細は分かりません しかし このように土地購入費が
焦げ付き2億円て出ていれば 誰でも判ります 林部長 どうされますか
はっきり申し上げて 資金繰りの危ない会社と鈴や食品は手を組みたく
無いですし 如何でしょうか 折角御殿場もOK出されているんですが」
「神山さん この村上様の言われている事は本当です しかしわかって
ください GOLに参加したい為のことです」
「分かりました では2億円どの様にされますか」
「ええ いま必死に探している所です でも見つからないのが現状です」
「もう直ぐ正式な契約書を取り交わすのに 2億のマイナスでは
鈴や食品の時田社長もうんとは返事を頂けないと思います」
「神山さん 鈴や食品さんで 何とか立替をして頂けませんか 返済は
弁護士を立てて計画的に行いますので」
「時田に内情を説明し 御社の立替をするんですか」
「ええ その方法しか生き残れません 申し訳ございません」

神山は一息ついて
「なぜ北陸食品さんの直ぐ傍に工場を建てたいと思われたんですか」
「ええ あそこは漁港が直ぐ傍で それこそトラックで魚を運ぶ距離では無く
すぐに工場に入れることが出来る立地条件なんです それで私の一存で
土地の手付金を支払ったんですが その後に別な会社がそこを購入しようと
動きかけたんです それが北陸食品さんです そこで私は合併すれば
両方の会社が上手く行くと思っていたんですが そのうちに北陸さんが
合併は少し待ってくださいと そのようなお返事を頂 この始末です」
「田宮さん どう思われますか」
「言葉がありません 申し訳ございません しかし私も私財を出しても
とてもそこまでのお金はありません 困りました」
神山は暫く考え 預金通帳を持って来た
「洋子 小さくていい メモをください」
神山は洋子からメモを貰うと 現在の残高が分かるようにした
「林部長 ちょっと宜しいですか こちらに来てください」
神山は林に現在の残高を見せると林は驚き目を丸くした
更に神山は次長席から 5千万円持って来てテーブルに置くと田宮に
「田宮さん 私は林さんにお見せした預金があります それはほんの
一部に過ぎません 私は鈴や食品副社長と言う大変な地位にあります
GOLを潰すわけには行きません そこでこの通帳から2億5千万円を
出資します 現金で5千万円出資します 合計3億円です
ただし 回収はしません ご安心ください しかし慈善事業ではありません
チェック機能も働いていません 私を副社長として向いいれてくだされば
この3億円は差し上げます 如何ですか」
田宮は林を見たが頷いているので直ぐに
「神山さん お願いします 副社長でお迎えします」
「条件 手当て給与込みで月1千万円 賞与なし それから軍資金ですが
現在の300万円でOKです しかし専属理事秘書として田所洋子
手当給与込み月500万円 賞与なし これで如何でしょうか」
「はい お願いします 本当にありがとうございます」
「では洋子 早速契約書です お願いします そうそう 私の給与振込みは
スイス銀行とする 毎月15日 土日祝日の場合は前営業日とする
この文章も入れてください そうそう田所洋子については別途定める
これでいいでしょう お願いします」
洋子は直ぐにPCで契約書を製作すると神山に渡した
神山は漏れがないか 何回も読み直し田宮に渡した
「神山さま OKです それで副社長は株式総会の承認が必要です」
「ええ 株主の皆様に 宣伝をしておいてください お願いします
宣伝が行き渡らない時には この事実が明るみに出て行くだけです
それから副社長と専属秘書の人事命課は本日付けです いいですか」
「はい 午後になりましたら命課をお持ちいたします」
神山は5千万円を田宮に渡し 契約書にサインを求めた
田宮がサインをすると神山がして記入日をいれ 立会人で洋子と里香がし
最後に林もサインをした
「洋子 ではこれをコピーしてください」






2013年5月26日日曜日

Vol.1051 百日紅 -2-63



7月13日 月曜日 小雨
神山は早くに次長室に出勤をした
今朝は あいにくと小雨で素振りの練習が出来なかったが かえってそれが
よかったのか 早めに出勤できた
神山がPCで東都食品の事を調べていると 洋子も早めの出勤をした
「やあ ありがとう」
「早いですね」
「うん 小雨だし 練習が出来なかったよ」
「まあ 熱心ですね」
「だって祐子情報だと 桃子ちゃんは大変らしいよ それに由紀枝でしょ
あと祐子本人 困ったものです」
「へぇー そんなに上達しているんですか」
神山は昨夜聞いた祐子の話を掻い摘んで説明すると
「へぇー それで実践はされたの?」
「うん まあ でも楽しく無かったよ」
「えっ なんで また」
「だって うんそこです 動かさないでくださいやもっと右です だよ」
「ははは それはそうね でも大したものね へぇー 凄いわね」
「それで 私は絶対に優勝するんだだって もう自信なくしたよ」
「ふふふ お疲れ様 それでこれをPCに入れれば出てくるわ ちょっと
待っていてね 直ぐにプリントアウトしますから」
洋子は自宅で調べた URLをフロッピーに記憶させ会社のPCで
その画面を出した
「ねえ これです」
神山は洋子の席に行きモニターを覗くと確かに資金繰りのところで
イエローフラッグが出ていた
「なるほど よし 洋子 東都の田宮さんに電話してください そうだな
できればGOLの詰めを行いたいので 秘書 森部長 佐久間部長
林部長の5名が着てもらえるといいな お願いします」
洋子は直ぐに東都食品に電話をすると快く5名でこちらに来る事にOKで
「あと30分ぐらいでこられます」
「わかった ありがとう さあ資料を読んでおきます」
神山は次長席に戻り見ると 洋子の資料や香織の資料にも資金繰り悪化か
と大きな見出しで書かれていた
詳細を見てみると 社内不倫や売春ではなさそうだが そこの事はなにも
書いてなく もしかしたらバックが動き出したのかもしれないと思った
「洋子 ここ3ヶ月で売春で引っかかる社員がいるか否か調べて」
洋子は頷くと 専用サイトに入り必死に東都の人間を調べたが出なかった
「出てきません」
「うん ありがとう うーん そうしたら別の要因かな」
神山も背中にあるPCに向かい 色々と調べたが何も出てこなかった
「うーん お手上げだ 何も出てこないよ 参ったぁー」
「あっ ありました ねえ きて」
洋子のモニターを覗くと 確かに東都食品となっていた
北陸に工場を作るために土地購入費2億円が焦げ付いたと記載されていた
「なるほど それで北陸食品を巻き込みたいんだ」
「でも なんで焦げ付いたのかしら ちょっと分からないわね」
「多分 手付けでしょ それで全額払えないので 戻してもらえない
まあ素人が考えると そうのようになるね ねえ 印刷して」
洋子はそのページをプリントアウトすると神山に渡した

神山は直ぐにGプロの高橋に電話をしてデザイン一式を持ってくる様言った
高橋がGOLのデザイン一式を持って来ると直ぐに東都食品がきた
神山はみなにソファーを勧めると
「えー まずご報告します 先日 静岡県庁内にある御殿場プロジェクトへ
行きまして 最終的にOKを頂きました ありがとうございます」
「いえいえ 神山さんの努力ですよ こちらこそありがとうございます」
「で 今日お集まりして頂きましたのは このあと直ぐに契約書関係の
書類が私どもに郵送されます その時に鈴や食品と御社も正式に契約を
させて頂きたいのですが 如何でしょうか?」
田宮は普通の態度で
「ええ お願いします 12億のお支払いなどもその契約書で取り
交わされる事ですよね」
「ええ そうです」
神山はこの時 林敬子財務部長の顔色が変わった事に気が付いた
「神山さん 全然大丈夫ですよ そうそうそれに 野菜缶詰の件も順調に
事が運んでいます」
「林敬子財務部長 大丈夫ですか その本契約書では 12億円の支払い
アルタに対しての支払方法も記載されていますが 大丈夫ですか」
「神山さん 何を言いたいのですか 副社長の私が大丈夫と言っているのです
私が 権限を持っているんですよ この林ではありません 少し失礼では
ありませんでしょうか 林部長何とか言ってください」
林敬子財務部長は田宮にお辞儀をして神山に
「大変 申し訳ございませんでした 大丈夫ではありません







2013年5月25日土曜日

Vol.1050 百日紅 -1-62



「ごめんなさい 遅くなりました」
「いや 大丈夫だよ お疲れ様でした」
「それで 色々と情報を集めたら 東都食品の資金繰りが少しだけ
不味い方に働いています 北陸食品さんは健全で優良企業です なので
話が逆じゃないかって そう思われます」
「そうか 分かりました ありがとう 早速明日東都にコンタクトし
次長室に来るようにしてください お願いします
僕の方は 食品協会で専門的な立場で調べてくれました 香織さんが
気を利かせてくれたんだ そうしたら同じ答えだった ただ香織さんが
言うには 一般的なところではどうだか分からないと話していたよ
でも これで原因がつかめたから 午前中に会議だね ありがとう」
「そうなんだ 香織さんのところでもそのような結果なのね 困ったわね」
「うん しかし社長に話したように僕のところで食い止めるよ
何回も時田さんじゃ 可哀相だしね」
「そうね では お願いしますね 今はどうしているの?」
「ははは 新部長と奈々子ちゃん テツと3人でコーヒーを呑んでいる」
奈々子が変わって欲しいと言うので変わると
「先輩 こんばんわ 今日ね スパで美味しいステーキを頂いて その後
ロレックスの時計を買ってもらったんです 3人共ですよ 凄いですね」
「まあ よほど貴方達が成長したからじゃない 珍しいわね ふふふ」
「それで ここでコーヒーを頂いて 帰ります」
「ふふふ わかったわ お疲れ様」
奈々子が携帯を返してくれたので
「まあ そんな所です」
「15日の件は話したの?」
「いいや 何も」
「はーい 分かりました では明日早く出勤して資料を作ります」
「うん 遅くまでありがとう おやすみ」
「はい 失礼します」
神山たちがコーヒーを飲み終わるとラウンジを出てエレベーターを
待つ間にみんなにタクシー代を渡すと3人が
「何から何まで ありがとうございます」
そういうと丁寧にお辞儀をした
タクシー乗り場で別れると自分もタクシーでスタジオに帰った

神山はタクシーで外壁の門扉にあるインターフォンを押すと祐子が
「お帰りなさい」
そういうと門扉の施錠がとかれ 玄関で祐子が待っていた
「やあ ただいま」
「あら 車はどうされたんですか」
「うん 会社に置いてきた」
神山はスタジオに入ると直ぐにシャワーを浴び ソファーで寛いだ
「あーあ 疲れるね 本当に」
「まあ そんな 元気を出してください ふふふ」
「おいおい 分かっていますよ」
「それでね 今日は目的意識を持って練習しました」
「はぁー そんなぁー どんどんと置いていかれるなぁー」
「ふふふ 桃子ちゃんに教えてもらったのよ ふふふ」
「おいおい 教えてよ」
「だって貴方は男でしょ 無理よ」
「なんで もう お願いします」
「聞いて がっかりしない 約束できる?」
「うん するする」
「桃子ちゃんに教えてもらったのは ほら おちんちんを切る要領って話」
「うん それで」
「うん おちんちんが膣の左にあるよう意識をするんですって」
「ぎぇぇー なにぃー そんなぁー」
「じゃ もう 教えないーっと」
「ごめんごめん 教えてください」
「そうすると フェードを打ちやすいって その逆におちんちんが膣の
右側を擦っているというか そこを意識すると ドローを打ちやすいって」
「ぎぇぇー そうしたら 真っ直ぐは」
「ええ おちんちんが膣の入り口にある感覚なんですって なので今夜は
その実践をしたいな お願いしても良いでしょ」
「えっ 実践ってまさか おちんちん入れてクラブを振るわけ」
祐子は可笑しくなって クスクス笑いながら
「そんな事出来るわけないじゃん もう なに考えているの ふふふ 嫌ね」
「だって 言い出したのは祐子だよ おちんちんを膣の左側で感じるとかさ」
「だから その感覚を知りたいのよ もう ふふふ おちんちんが
入っていて どうやってクラブを振るの もう」
「まあ それはそうだ あーあ しかし桃子ちゃんって凄いね」
「あら 由紀枝さんと話していないの」
「うん 今朝 話しただけだよ」
「由紀枝さん 真っ直ぐで飛距離を伸ばしているそうよ」
「えっ そんなぁー へぇー 凄いなぁー みんな」
「ふふふ 今度のゴルフも勝ち負けをやるんでしょ」
「うん その方が励みになるからね」
「ふふふ 楽しいわ 私だって負けていられないもの 絶対に優勝するわ」
「えっ 祐子もそんなぁー」
「ゴルフ場まで お楽しみでーす ふふふ」






2013年5月24日金曜日

Vol.1049 百日紅 -1-62



「ええ もう喜んでくれました もっとも1万円の金額ではないと
思っていますがね よかったと思っていますよ」
「そうだね その心使いが嬉しいんだ よかった 点数あげたね」
ワインも呑みおつまみがなくなると 神山は石原にステーキを頼んだ
「それで 美味しいステーキと人気のステーキを半分ずつお願いします」
「はい それぞれに半分ずつでよろしいですか」
「そうしたら 美味しいステーキを一人前ずつで 人気のステーキを
各皿に半分ずつ乗せてください」
石原はニコニコして厨房に戻った

暫くするとステーキが運ばれてきてみんなの所に配られた
神山は3人に
「さあ ステーキを頂きましょう そうそう同じワインをもう1本」
「はい 畏まりました」
「僕はチェイサーもお願いします」
石原は頷き厨房に戻り直ぐにチェイサーを持って来てくれた
ステーキとガーリックライス サラダを美味しく食べると 3人は
「先輩 ご馳走様でした 美味しかったです なあテツ」
「ええ 美味しいステーキとこのワインって ほんと合っていますね」
「まあ そこら辺は場数を踏んで 覚えてください 奈々子ちゃん
美味しかった?」
「ええ 美味しかったです ご馳走様でした 嬉しいわー ふふふ」
「よかったね そうそう 常務はほら偉い人とかがいる時で 普段は
先輩か山ちゃんでいいよ」
「はい 分かりました では先輩って呼ばせていただきます」
「うん 常務なんて呼ばれると 後ろを振り向いてしまうよ なあ翔」
「ええ 僕も売場で部長なんて呼ばれても 全然気にしていないので
時々慌てます だから先輩の気持ち分かりますよ」
「だよな よし それではここを出よう いいね」
神山は1階のレジで会計を済ませると石原に挨拶をし店を出た
「テツ タクシーを拾ってください」
屋敷がタクシーを拾いにいくと翔が
「先輩 何処に行くんですか まさか居酒屋ですか?」
「まあ 付いてきなさい 今度は僕が前に乗るよ」
タクシーが来ると神山が前に座り シブヤハイアットホテルと告げた

神山たちがホテルのショッピングモールに入ると神山は地下の売場に行き
ロレックス時計のお店に入った
「さあ 奈々子ちゃん どれが良いかな 選びなさい」
奈々子は驚いて神山を見つめたが 頷いているので一つを選び
「これって 会社にしていけるかしら」
「うん 大丈夫だよ 素敵だ なあ翔」
「ええ 淡いピンクの文字盤に プチダイヤでしょ 最高ですよ」
「じゃ これにします ふふふ でもいいのかしら」
神山は何も言わず店長に時計を出してもらうと奈々子は目を輝かせ
「わぁー 凄くいいわ お願いします ふふふ」
神山はベルト調整をしてもらい 今の時計を化粧箱に入れてもらった
代金は420万円でギフトカードで支払った
「奈々子ちゃん これはお祝いだよ」
「まあ ありがとうございます ほんと何から何まで 嬉しいです ふふふ」
「さあ 次は翔の番だよ 好きなのを選びなさい」
杉田は驚いて
「本当にいいんですか?」
「うん 早く選ばなければ 帰るよ ねえ奈々子ちゃん」
「ふふふ 翔ちゃん 男でしょ 早くしてよもう 帰るから」
「おいおい 分かったよ もう でもなぁー これ これです」
杉田は人気が高い商品を選び店長にガラスケースから出してもらった
「おお いいなぁー うん でも よし これでお願いします」
神山は値札を見て 220万円をギフトカードで会計すると ベルト調整を
してもらい 今の時計はバッグにしまった
「わぁー ありがとうございます」
「うん そうしたら 最後はテツ 君の番だよ」
屋敷は驚いたものの 直ぐに選び神山に見せた
シンプルな文字盤で値段も安かったが ロレックスとしてはロングセラーで
一度は付けてみたい時計だった
神山はギフトカードで支払いをしようとしたとき屋敷が
「先輩 こちらのサブマリーナに変えて良いですか」
「うん いいよ」
神山は値札を見ると190万円だった 店長にギフトカードを渡し
精算するとベルト調整をしてもらい そのまま腕に装着した

3人が時計を見て喜んでいるので 神山も嬉しかった
「さあ ラウンジに行ってコーヒーを飲んで帰ろうか」
神山達がラウンジでコーヒーを飲んでいると洋子から電話があった







2013年5月23日木曜日

Vol.1048 百日紅 -1-62



神山は山中をビルの1階で見送ると 今日の祝儀袋や顧問ご祝儀を
整理し始めた 建築 食品 繊維協会で現金が7億2千万円 ギフトカード
が1億3千万円 顧問ご祝儀が1億8千万円となった

神山は現金を整理するとソファーでビールを呑み寛いだ
祐子は夜間練習で不在だし 由貴や桃子もきっとそうだろうし
夕飯の相手がだれもいなかった Gプロも残業で
催事課の杉田に電話をすると丁度帰るところで捉まった
「翔 夕飯はどうするんだ?」
「ええ ごちです テツもいいですか」
「うん そうしたら 部屋の外で待っていてくれ」
神山はそう言うと ギフトカードと現金を少し多めに持って部屋を出た
「先輩 久しぶりじゃないですか 夕飯誘ってくれるなんて」
「ははは まあね 今夜は一人寂しくだよ」
「そうそう 奈々子さんも呼んでいいですか?」
「うん いいよ」
杉田は携帯電話で連絡すると 直ぐに来ると返事があった
「テツ タクシーを止めて置いて 直ぐに行くから で何処に行きますか」
「うん 何を食べたい」
「参ったなー まだ考えていなかった」
暫くすると奈々子が走ってきて神山に
「常務 こんばんわ ご馳走様です」
「奈々子 イタリアンレストラン スパに電話をしてください」
神山が驚いていると奈々子は左手でOKサインを出し電話を切った
「部長 常務の名前を出したら どうぞってマスターから言われました」
「うん ありがとう って事でイタリアンレストランに行きましょうか」
神山は杉田が大人になったと喜び 奈々子も大したものだと感じた
3人がタクシーが待っている所に行くと杉田が前に座り神山は後ろの席を
案内され 完全に杉田のペースになっていた

青山の交差点に着きタクシーを降りて神山が精算すると杉田が
「どうも済みません ありがとうございます」
「ははは 翔 僕がいるときは僕が払うから 余計な心配は要らないよ」
「はい ありがとうございます 奈々子 覚えておくんだよ いいね」
「はーい 了解です」
「おいおい 先輩がいるときは はい 分かりました だよ
仲間内で話している時はいいけれどね いいね」
「はい わかりました」
「うん 大変よろしい」
神山は杉田の秘書に対する接しかたもなかなかだと思った
店に入ると 石原総支配人が神山に丁寧にお辞儀をした
「これから この若いのがお世話になります お願いしますね」
「はい 先日もお電話でお話は伺っています 大丈夫ですよ では」
石原は2階の席に案内し 注文を聞いた
「まずは 生ビールと美味しい生のたたき あとはピクルスやおつまみ
そうそう 美味しいソーセージってありますか?」
「ええ ご用意できます」
「ではそれでお願いします コースは後で注文します」
石原が確認し厨房に戻ると 直ぐに生ビールとおつまみが運ばれてきた
「では 奈々子ちゃんと初夕食で乾杯」
みんながジョッキをカチンと合わせると4人は生ビールを呑んだ
奈々子が勢い良く呑んでいるので神山は
「おいおい 奈々子ちゃん 大丈夫? そんなに一気に呑んで」
「ええ 大丈夫です ほら喉が渇いていたので 美味しいですね ふふふ」
おつまみを食べていると ピクルスやソーセージが運ばれ生ビールが空くと
奈々子が杉田に
「ワインでも頂きましょうよ ねぇ常務」
「うん そうしよう メニューを貰わなくていいからね 呼んでくれる」
奈々子が石原を呼ぶと神山は
「今日のお肉に合ったワインをお願いします」
「はい 畏まりました 少し若いですよ ミディアムボディーです」
神山は頷き 石原に任せた
「翔 ここだね 美佳さんとの出会いは」
「ええ そうです」
「今日は日曜日だからお休みだね」
「ええ 昨日からご両親と箱根の温泉です」
「なるほど 最後の親子旅行か いいね」
「ええ 最初は渋っていたんですよ 改めてって でも ほら 頂いた
お金で チケットを買って プレゼントしたんです 美佳じゃないですよ
お父さんに そうしたら喜んで頂きました」
「うん いいことだ そのように使えばその金は廻るね よかったね」
「ええ で 美佳には内緒でお父さんに1万円渡し これでお土産を
買ってきてくださいって頼んだんです」
「なるほど いいことだ それで部長だ お父さんも喜んでいるでしょ」







2013年5月22日水曜日

Vol.1047 百日紅 -1-62



「ええ 3億位」
「はい それでは95.8%で受けますが 如何でしょうか」
「お願いします それで今夜だと どうですか?」
「うーん 大体 6時ごろになりますが よろしいですか」
「はい では6時に配送のところでお待ちしています」
「はい 以前お伺いした所ですね 分かりました」
「では お願いします」
神山は電話を切ると祐子に電話をして
「山中さんと 話が出来たよ ありがとう」
「はーい それで私 今夜も練習でーす」
「ははは 分かりました そうしたら僕は外で食べて行きます」
「はーい 了解です」

4人はうな重を食べ終わると揃って不二家のパフェを食べに行った
神山はなるべくアイスクリームと生クリームが少ないのを選んだが
それでも多少入っていた
3人の秘書たちは美味しそうに食べるとコーヒーを注文した
「おいおい 僕の分もお願いします」
「だって まだ食べ終わっていないでしょ ちゃんと食べてからよ」
泰子に言われ しぶしぶ食べ終わるとコーヒーを注文した
神山はどうもパフェに好かれているらしいと思うと 結局女性が大好きな
食べ物で 神山の周りは女性ばかりだった
変な所で納得していると真由美が
「理事 お昼寝の時間がなくなりますよ 部屋に帰りましょうよ」
そう言われ 店を出ると 泰子と香織は有楽町駅に向かい別れた
ビルまで歩き理事室に入ると神山は
「では 寝ます お願いしますね」
「はーい ごゆっくりどうぞ」
神山はソファーに横になると直ぐに寝入ってしまった

真由美が起こしてくれると缶コーヒーを渡され
「ありがとう これですっきりする」
この日も顧問依頼会社が4社あり 共に神山の条件をのみ顧問を引き受けた
会社名は株式会社豊田組 株式会社にしだ組 株式会社トーエイ
株式会社中部建設と4社で 給与と顧問手当てで月1000万円 毎月18
日 スイス銀行振り込み 当日が土日祝の場合は前営業日 賞与6000
千万円 7月14日と12月14日の年2回と決めた
真由美も4社の専属秘書として手当てや給料 賞与ももらえるようにした
面談が早く終わり真由美に手伝って貰い書留や顧問ご祝儀を車に積んだ
次長室に戻ると催事課で台車を借り ご祝儀などを運んだ
更に警備室に行くとお中元が山のように積まれ それはコンテナで
次長室まで運び整理をした
洋子が礼状を書きやすくするため 配送伝票の周りを綺麗に切り取り
化粧箱はそのままにした
コンテナを配送に運ぶと係長が神山のところに来て
「常務 もう これ以上入りませんよ」
「うん 6時まで置かせてください 6時には引き上げますから」
「はい お願いします」
結局 貯まった商品はコンテナ4台分になってしまった
直ぐに6時になり メイドクラブの大きなバンが3台も着た 山中が
「遅くなって 申し訳ございません」
神山がコンテナを指示すると山中達は直ぐに商品をチェックしバンに積み
込み始めた 全て終わると山中が
「神山さん 化粧箱が付いている方ですが80%で引き上げます で裸の
商品につきましては 78%で受けますが よろしいですか」
神山は依存が無かったので頷くと
「今回は裸の方で314万7千円 化粧箱のほうが410万円です」
「へぇー そんなにあったの 少ないと思っていたんだけれど」
「ええ 単価の高いものばかりでした 例えばカニ缶ですが10万円の
缶詰セットもありました それで高いのです」
神山は代金724万7千円を受け取ると 山中を次長室に案内した
部下も台車にジュラルミンケースを乗せ一緒について来た
神山がギフトカードや商品券3億円分出すと テーブルで5人掛かりで
枚数を何回も数えて
「確かに3億円分あります ここに2億8千7百40万円入っています」
神山は数えないで 現金を次長席に運ぶと山中が
「神山様 次回からもう少しあげて 96%でお受けしますよ そうですね
2億円分以上からお受けできます」
「へぇー でも大丈夫なの?」
「ええ この分なら 3日あればなくなりますよ」
「えっ 3日ですか」
「ええ 勿論私どもの会社ではありませんが はい その後は企業秘密で」
「はい 分かりました そうしたら2億以上ですね」
「はい 本日はありがとうございました」







2013年5月21日火曜日

Vol.1046 百日紅 -1-62



「ごめんごめん 遅くなったね」
「もう 11時になっても来られないので 心配しました」
「そうそう 今度の水曜日ゴルフだよ いいね お泊りです」
「はい 先ほど泰子ちゃんから伺いました 楽しみですね ふふふ」
「さあ ゴルフの話はお昼にしよう それで香織は来るの」
「もちでーす お昼を一緒にって それと書留もあるでしょ」
「へぇー 日曜日も書留ってあるんだ」
「ええ ほら政府機関だから 特別配達があるんです なので昨日の夕方
とか今朝の分を持って来ますよ そうそう私も有給休暇証にお認めを
お願いしますね ふふふ 火曜日もお休みにします」
「うん」
神山は真由美と香織の有給休暇証に認めを押した
「でも なぜ香織の分もあるの?」
「別に深い訳はないですよ ただ泰子ちゃんはそう言うのが嫌いみたい」
「そうか へぇー」
「だから香織のところにも私の分があります」
「へぇー そうなんだ さあお仕事お仕事」
「そうそう理事 書留ですが今日の午前中の分まで この台車に
乗せてあります 礼状は発送済みです」
「うん ありがとう でも多いね 台車2台なんて さあ仕事だぁー」

真由美から貰った資料を見ると早い時間に面談が纏まっていて
「これなら 早く終われそうだね」
「ええ 多分早いと思いますよ ふふふ それで赤丸が顧問希望会社で
アンダーラインの会社が顧問が入っていたところです」
神山は集中して資料に目を通しているとお昼の時間になった
「理事 お昼に行きましょうよ もう直ぐ香織と泰子ちゃんが来ますよ」
「うん それまで目を通しているよ 折角の資料だ」
暫くすると食品の香織が部屋に入ってきた
「あーあ 重いわ こんにちわ理事」
「おお ありがとう ご苦労様」
神山は香織から紙袋2つを受け取ると 台車に乗せた
暫くすると泰子が台車で書留を運んできた
「ふふふ 理事こんにちわ あーあ 重いー もう」
「ありがとう しかし凄い量だね 困ったなぁー」
「そうそう はい お認めをお願いしますね ふふふ」
神山が有給休暇証をみると月曜日から水曜日まで有給を取っていた
認めを押すと泰子はニコニコして 神山にキスをした
香織と真由美は話をしていて その場面は見ていなかった
「さあ それでは何処にしようか」
「ふふふ 私 うなぎを食べたいでーす」
香織と真由美はちょっと悩んでいたが
「理事 うなぎに行きましょうよ お店の売り上げに協力 ふふふ」
4人はタクシーで鈴やのうなぎやに行くと 仲居が奥座敷に案内した
「いつもありがとうございます いつもと同じでよろしいですか」
「うん うな重は特上ね それで生ビールが先だからうな重は後からで」
「はい 心得ています 少々お待ちくださいませ」

生ビールと鮮魚の盛り合わせやゆばさしが運ばれると乾杯をした
「理事 昨夜の件ですが 東都食品の経営がちょっと怪しいですね」
「へぇー 香織 調べてくれたんだ ありがとう」
「だって 食品協会の専属秘書ですよ 当たり前です それで北陸食品は
別に悪い所はありません 逆に優良企業です」
「そうか 不味いなぁー うん ありがとう」
「洋子さんも調べるって言われていましたが 私の方は インターネットで
見られない サイトがあるんですよ そこから調べたので 一般的な情報は
洋子さんの方が正確だと思います」
「うん ありがとう」
神山は資料を受け取りバッグにしまった
4人はゴルフの話で盛り上がっている時に祐子から電話があった
「神山さん 今 大丈夫ですか」
「うん 大丈夫だよ」
「あのぉーメイドクラブの山中さんから電話で お中元の品物は
如何でしょうかって事なんです」
「あっ そうか忘れていたよ 貯まっているよ コンテナ2台分ある
そうそう それとギフトカードってどうか聞いてくれる 大体2億ある」
「はーい では聞いてみますね」
「うん お願いします もしよかったらこちらから連絡するよ どう?」
「ええ じゃメモをお願いします」
神山は祐子に教えてもらった電話番号に電話をすると
「お忙しい所申し訳ございません」
「やあ ごめんなさい すっかり忘れていました コンテナ2台分と
あとギフトカードですが どうでしょうか?」
「ええ 大丈夫ですよ どの位?」









2013年5月20日月曜日

Vol.1045 百日紅 -1-62



「後は 泰子だけだね そうか引越しがあるから 火曜日何時に来れるかな」
神山は泰子の携帯電話に電話をすると
「おはようございます お早いですね」
「うん それで泰子 こんどの水曜日だがゴルフです で火曜日はお泊り」
「わぁー 凄いですね 大丈夫ですよ もう片付きましたから」
「へぇー 早いね」
「ええ それで明日 引越しです 大丈夫ですか?」
「うん そうしたら早めに行くようにします」
「それで 今日 協会に行きますので 有給休暇証にお認めをお願いします」
「えっ 大丈夫だよ 事後でも」
「ええ でも その方が事務方に言われないでしょ」
「うん わかった お昼ごはんの時にきなさい 一緒に食べようよ」
「はーい 了解です」

「祐子 決まりました じゃ由貴と桃子ちゃんは 上原で拾って
カトリアーナ 泰子 祐子 洋子は運転 そして現場で由紀枝と亜矢子
あっ おいおい祐子 9名だよ」
「えっ」
祐子は驚いて確認すると 自分を入れるのを忘れていた
「ごめんなさい 9名です あーあ おばかさん 自分を忘れていたわ」
神山は直ぐに内藤に人数の変更を話すと
「大丈夫ですよ そうすると3人3組になります 大丈夫ですか」
「ええ お願いします」
神山は急いで由紀枝に電話をすると
「うーん 私も可笑しいなと思っていたの そうなの分かりました
9名で予約を入れておきますね お願いします」
「うん お願いします それでこの事は内緒だよ」
「ふふふ 分かっているって もう 心配性なんだから 大丈夫よ
それより祐子さん よほどゴルフをしたかったんだわ」
「そうだね 良くまとめてくれたよ」
「ほら 先日話していたのよ だから余計じゃないかな ふふふ」
神山は電話を切ると洋子に電話をした
「あら 早いですね」
「うん 今度の水曜日ゴルフ 火曜日ホテルです いつもの所です」
「わぁー 凄いですね 了解です」
「それでね ちょっと相談だが ほら泰子は連れて行くんだ それで香織や
真由美をどうしようか 悩んでいるんだ」
「ああ そうね 知らない人も居るしね でも最初はみんな知らなかったし
別に構わないと思うわ だってお友達でしょ ふふふ」
「うん そうしたら参加して貰ってもいいかな」
「もう 大丈夫よ それに泰子さんの先輩でしょ 由紀枝さんや祐子さんも
泰子さんと同じように話が出来るわよ 大丈夫よ」
「わかった そうしたら11名で申し込みするよ」
「えっ 11名ですか 凄いわね ふふふ 私は先に寝ますのでよろしく」
神山は電話を切ると内藤に電話をし 人数変更を伝えた
「ははは 大丈夫ですよ しかし朝早くから大変ですね でも羨ましいな」
「では お願いします」
神山は由紀枝に電話をして人数変更を伝えると
「ぎぇぇー 11名に増えたの 凄いじゃん 了解でーす 楽しみね
でもね 私は早く寝るからね そのつもりでいてね ふふふ」

「泰子 今度のゴルフだけど 香織と真由美も参加するよ いいね」
「はーい 全然気にしていないよ 大丈夫だよもう」
「それで集合なんかは 今日お昼の時に話そうよ ねっ」
「はーい 了解でーす」
神山は電話を切ると祐子に
「って事で11名になりました はぁー 疲れた」
「11名ですか へぇー 凄いですね もう大変 私 早く寝ますからね」
「おいおい みんな早く寝たら、、、折角美女が10名も居ても あーあ」
「ふふふ もう 頑張ってくださいね」
神山は祐子に
「そうしたら 30分寝ます」
「はーい ごゆっくり」

神山は蒼いBMWで出勤すると昨日の書留を次長室に運んだ
ご祝儀は建築 食品協会現金が4億2千万円 ギフトカードや商品券が
1億7千万円だった 食品顧問ご祝儀は4社で1億6千万円になった
次長席の引き出しには入らないのでロッカーにいれ施錠した 
缶ビールを呑みながら ゴルフの賞品を考えていると眠たくなり
ソファーでそのまま寝てしまった
神山の携帯電話が鳴るので起きてみると 安堂真由美からで
「理事 もう11時ですよ 大丈夫ですか」
「おお 寝てしまった うん今すぐに行きます」
神山は真由美に侘びると蒼いBMWで建築協会が入っているビルに向った







2013年5月19日日曜日

Vol.1044 百日紅 -1-62



7月12日 日曜日 曇り
神山は朝早くおきて 庭でゴルフクラブで素振りの練習をしていた
先日 庭の手入れがあったため 雑草なども綺麗に排除されていて
気持ちよく 素振りが出来た
「神山さーん おはようございます 早いですね」
「やあ おはよう 気分爽快さ」
昨夜は洋子と別れ戻ってみると祐子が庭で 素振りの練習をしているので
神山も参加してみると 確かに祐子は上達しているように見えた 
「練習熱心ですね ふふふ」
「おーい 早く降りてきて 練習したらどう」
「はーい でもお食事の支度をしますね ふふふ」
神山は祐子の仕事を忘れてしまい 悪い事を言ったと反省した
祐子が朝食の準備をしている間 素振りをしていたがどうも納得いく
スイングが出来ないので 泰子に教えてもらう事にしてスタジオに戻った
祐子が冷蔵庫から缶ビールを取り出し グラスに注いでくれると呑んだ
「でもさ ほんと驚いたよ」
「ふふふ ごめんなさい そんなに早く帰ってくるとは思ってませんでした」
「うん 電話をしなかった僕がいけないんだ しかし熱心だねみんな」
「ええ 早く泰子さんに教えて欲しいわ なんとなくコツが分かってきたの」
「へぇー 凄いね あーあ また強敵が現れたな 参ったな」
「ねえ 神山さん 今度土日じゃなくて 平日プレーしませんか」
「うん その方が休めるものね」
「ええ 昨夜由紀枝さんとも話しをしたら 亜矢子さんも平日の方が
休みやすいし 2人揃って休みとなると 平日がいいなって話です」
「そうだね 由紀枝もサブマネージャーだし そうしよう」
「それでね 今度の水曜日だと由紀枝さんと亜矢子さんでしょ 由貴さんと
桃子ちゃんも休めるのよ ねぇー」
神山は大変な事になったと思い
「カトリアーナはどうしたの」
「ええ 9日の朝に帰って 昨夜連絡したら その分のお休みが取れるって」
「しかし 本当に急な出勤だよな そうか 水曜日休みだと火曜の夜に
ホテルだね 大丈夫かな ホテルは」
「ええ 由紀枝さん少し考えていたけれど 山側のスイートならベッドを
8つ入れること出来るんですって」
「えっ 一部屋に8つ おいおい」
「ううん ほらお部屋続きってあって 実質2部屋なんですよ」
「ああ そういう意味ね なるほど って事は話が進んでいるんでしょ」
「ふふふ 少しだけです ふふふ」
神山はあと泰子の引越しだけだと思った
祐子がこれだけ情報を集め 支度をしてくれたので 希望に沿うよう
水曜日にプレーをしたいと思った

朝食を終えソファーで寛ぎ ビールを呑むと神山は由紀枝に電話をした
「はーい 由紀枝です おはようございます」
「やあ 昨夜は作戦会議 お疲れ様でした それで部屋は大丈夫なの?」
「ええ 全然大丈夫よ」
「8つもベッドって それも大丈夫なの」
「だって お部屋続きのところでは珍しくないわよ 大丈夫ですよ」
「わかった 現金支払いするよ 由紀枝成績が上がるだろ」
「まあ そうね あのお部屋だとTJ使われても 半分かな負担になります」
「で 料金っていくら」
「ええ 一人10万円の人数分よ その代わり夕食は付いているのよ」
「でも 夕食はステーキハウスを利用したいな」
「そうしたら 9万2千円かな それにステーキハウス代ね」
「わかった そうしたらキープして お願いします」
「はーい 分かりました そうそう亜矢子さんは3時上がりで 私は6時
上がりなんです 大丈夫ですか」
「うん 大丈夫だよ 由貴や桃子ちゃんのことを考えると 多分7時頃かな」
「はーい 了解です では失礼します」
神山は電話を切ると内藤に電話をした
「ははは また急ですね平日なら大丈夫だと思います 折り返し連絡します」
神山は暫く待っていると内藤から連絡が入った
「山ちゃん 大丈夫ですよ コースはいつものところで
スタートは8時10分です それから先日のように会計をされなくても
大丈夫ですよ」
「ははは いつもお世話になっているので はい」
「ははは お世話になっているのは私ですよ」
「では 失礼します」
電話を切り祐子に内容を伝えると にこやかな顔になり神山にお礼を言った
「そうしたら カトリアーナがどうするかだね」
「ええ 前日 だから火曜日の午前中に東京に来るって話してました」
「由貴や桃子ちゃんの退社時間はどうなっているの」
「ええ 二人とも5時半上がりが出来ますって」








2013年5月18日土曜日

Vol.1043 百日紅 -1-62



名古屋から直ぐに話が来ましたよ」
神山は
「それって 仕事上の事でしょ」
「いいえ プライベートな情報ですよ」
「へぇー 凄いなぁー ねぇ洋子」
「ええ でも貴方が上野から銀座にこられる時も 情報は掴んでいましたよ」
「へぇー 恐ろしいな ねえ 社長」
「おう なんだ 内緒話ではないのか 少しがっかりしたな ははは」
「でも ここでしめ鯖は内緒話でしょ」
「うん まあな 秋山君に怒られる」
「まあ そんな 秋山先輩に何かあるんですか ねぇー洋子さん」
「そうですよ まったく」
「うん いいやなにも無いけれど ほら ねぇー 山ちゃんどうしよう」
「ははは じゃ 僕が秋山さんにお話をしておきましょうか」
「おいおい 頼む わしが悪かった 許してくれ」
「浮田さん よほどしめ鯖を食べたかったんですよ ねぇー社長」
「こら 山ちゃん もう 苛めないでくれ」

話がひと段落すると神山は株式会社北陸食品工業と東都食品の合併問題を
時田に掻い摘んで話をすると
「鈴や食品としては 穏便に進めて欲しいな」
「原因はなんだと思われますか」
「うーん もしかして GOLの資金繰りが怪しくなったかな」
「えっ そんな もう進んでいるのに」
「うん 分からんよ ただ北陸食品に落ち度が無いとすればの前提じゃ」
「ありがとうございます 洋子 悪いけれど 入念に調べてください」
「ええ 東都の営業成績だけじゃなく お金の方も洗います」
「でも 明日は銀行が休みだけれど大丈夫?」
「ええ 詳細まで分からないけれど 大体の事は把握できますよ
もし分かったら 連絡しますね」
「うん お願いします でも参ったなー 当ってなければ良いけれど」
「おう 山ちゃん 当っていたらどうする 何か手を打てるか」
「ええ 3億まで出資します 回収なしで」
「えっ 3億だと へぇー じゃワシはどうしたらいい」
「多分その範囲で収まりますよ なので社長にはご心配かけません」
「しかし 良く貯めたな」
「ええ これも社長のお陰です ありがとうございます」
「そうすると 噂の10億って本当なのか?」
「えっ 10億ってなんですか」
「うん 財産じゃ」
「ははは もう 良いじゃないですか ねぇー洋子」
「そうですよ 社長 噂は噂 ねぇー神山さん」
「って事は 持っているんじゃな 大したものだ この若さで」
「でも その金額って 何処から出たんですか」
「うん 隣に座っているだろ」
「あー 書留の処からですね でも金額って書いてないですよ 確か」
「うん まあな 大体の感らしいがな」
「もう 浮田さん 困りますよ そんな恥ずかしい事流さないでください」
「ふふふ ごめんなさい でもね 凄い書留の量よ 初めてよ
それで ほら なんて言っていいか 少しは嫉妬するわけです」
「参ったー もう無しですよ お願いします」
「はーい ごめんなさい もうしません」
洋子は以前聞いた金額を知っているので 神山がどうするか見ていたが
肯定でも否定もしない方法で 口を封じ込めた事に驚いた

「さあ 僕らは出ますが ごゆっくりしていってください」
「おう そうか うん すまんな もう少しだけしめ鯖を食べる」
神山は女将に精算をしてもらい 余計に1万円渡した
店をでると洋子に
「しかし 10億ってどこから出てくるんだろう まったくもう」
「ふふふ ほら以前聞いたでしょ なのでどうするか見ていたの
でも否定も肯定もしないで 浮田さんをぎゃふんとさせたって凄いわ」
「まあ しかしね そんな事いってもさー まあいいかぁー」
「そうよ 有名税って割り切りなさいよ」
「そうだね やり返すだけ余計なところでエネルギー使うしね」
「そうそう 言わせたい奴には言わせておけばいいのよ」
二人は呑みなおしでアメリカンポップスへ行き 踊り呑んだ
神山も洋子も今日の疲れを取りすっきりとし店を出ると
「洋子 くれぐれも奈々子には気をつけ接してくださいね」
「はーい 分かりました」
「それから 軍資金の件だが 話があったら渡しておいてもいいが
僕には報告をくださいね お願いします」
「ふふふ 大丈夫よ ありがとう」
洋子は神山にキスをすると お互いタクシーを拾い自宅に向った







2013年5月17日金曜日

Vol.1042 百日紅 -1-62



よろしくお願いします」
「ふふふ 大丈夫よ 自然と慣れていくわ それでは失礼するわね」
部屋の入り口で奈々子がお辞儀をしたので洋子は手を振って答えた
ビルの入り口で香織が神山と洋子にお辞儀をして 帰っていった
神山は地下駐車場から車を出すと洋子を乗せ スタジオに戻った
「あれっ 祐子が居ないな そうか夜間練習だ ははは」
「まあ 大したものね どうするの」
神山は外壁の門扉に使う鍵を出し ガレージに車を入れた

「さあ 何を食べようか」
「上原のお寿司屋さん?」
「ははは そうしようか」
神山達はホテルまでいくとタクシーで上原の寿司屋に向った
「ねえ また顧問になられたの」
「うん まあ仕方ないでしょ」
「へぇー 凄いのね」
「でもね 焼肉の美味しい焼き方だって それが機関紙で載るんだよ
参ったね 本当に それだけで顧問だよ もう」
「へぇー 有名なんだ そうすると」
「うん そんな事もあるけれど 逆に苦情処理センターと勘違いする会社も
出てくるしね 困ったものです」
「へぇー 有名になると大変ね 自分が知らないのに相手は貴方の事を
そんなプライベートな事まで知っているわけでしょ」
「うん ほんと怖いね 参ったよ 疲れた」
「でも そのお陰でお給料が入ってくるんでしょ いいじゃない」
「ははは そう考えればね でも嫌な思いもするさ まあ仕方ないけどね」
二人が話していると上原の駅前寿司に着いた

神山が店に入ると 女将がニコニコして向かえ奥の座敷に案内してくれた
何も言わないでも女将が生ビールと鮮魚のおつまみを運んでくれた
「じゃ お疲れ様 乾杯」
「はーい お疲れ様でした」
「ところでさ 奈々子ちゃんって 運転はどうなの?」
「ええ 上手よただし 少し暴走族っぽいところがあるみたい 以前ね
スピード違反して捕まっているんだって」
「へぇー 大丈夫かな」
「ええ それからは慎重な運転を心がけているそうよ」
「うん 中途半端って一番怖いからね」
「ふふふ そうね」
「でも しっかりしているね それに気が強いや」
「上二人が男よ だからじゃない」
「そうか そういえばそんな感じがするね 翔もいい兄になれば良いけどな」
「大丈夫よ あの子ならこなすわよ」
二人が奈々子の事を話していると 店に時田と浮田慶子が入ってきた
「あっ 時田さんだよ 洋子」
洋子が振り返ると時田が
「おお 山ちゃん 洋子も一緒か」
「まあ 慶子さん どうしたの」
「ええ 秋山さんが早くに帰られたので 私が代役です」
「おいおい 浮田君 しめ鯖食べたいって 言っていたじゃないか」
「ははは まあまあ そうか浮田さんは ここは初めてですね」
「ええ いつもお話ばかりです ふふふ」
「じゃ 一杯食べて行って下さいよ 美味しいですよ」

女将が時田と慶子に生ビールを運んでくると改めて乾杯をしたが
時田や浮田がきても話題は奈々子の話だった
神山はお昼 洋子から聞いた情報は知らないことにして
「でも 電光石火ってこの事ですね どうしてそんなに早かったんですか」
時田は洋子を見たがなにも反応しなかったので
「うん ちょっと事情があってな そのうちに分かるから それまで内緒だ」
「えっ 事情ですか はい 分かりました 私も事情があるときは内緒で
話を進めます ねぇー洋子」
時田は困った顔をしたが
「内緒だぞ いいか 浮田君も」
そう念を押し洋子が言っていた様に 権田の親戚にあたる女性が東京に
戻ってくるので 1名プラスになり 本社から出す事が出来たと話した
その話を聞いた時に浮田は時田に
「まあ 副社長 その話はもう皆さんご存知ですよ」
「えっ 知っていたのか 浮田君は」
「ええ 秘書室や秘書課 人事総務では知らない人は居ませんよ」
「へぇー じゃ洋子も知っていたのか?」
「いいえ 私は今日 堀田理事から伺いました」
「へぇー 早いな」
「だって 離婚されたその翌日にはもう知れ渡っていましたし 東京の話も






2013年5月16日木曜日

Vol.1041 百日紅 -1-62



「おお 堅苦しい話は抜きじゃ ほらみんな腹をすかしている 乾杯じゃ」
みんなが乾杯すると もう部屋の中は笑いの渦で一杯になった
杉田が奈々子に
「ねっ 催事課っていつもこうなんですよ ははは 煩くて元気がよくて」
「いいですね 羨ましい環境です 早くなれるようにします」
「うん ゆっくり焦らないでね」
隣に座っている時田が奈々子に
「どうだ 楽しい所だろ」
「ええ 凄く楽しいです」
「これはね 普段仕事がきついから その反動なんだ 覚えておきなさい」
奈々子は急に俯いてしまい ビールも進まなくなった 杉田が
「時田さん 駄目ですよ そんな嘘を言って プレッシャーかけて もう
奈々子さん 大丈夫だよ ほらビール呑んで いつもこんな感じさ」
倉元も
「おう 奈々子ちゃん 時田さんがちょっと苛めたかったんだ 大丈夫だぞ
おれも居るしテツだって居るし なあ翔」
「もう なんで倉さんやテツが出てくるんですか もう 私の秘書です
僕が守ります だから奈々子さん お寿司を食べたり元気出して」

神山は洋子とニヤニヤしながらやり取りを見ていたが洋子が
「ふふふ 大人になったわね もう大丈夫ね」
「そうだね アルタでも部長だろ 大丈夫だ ねえ考ちゃん 翔のこと
お願いしますね まだ頼りない所があるけれどさ」
「ははは 大丈夫ですよ さっきもちょっと話していたんですが 結構と
しっかりした意見を言われてました 安心して付いていけます」
「へぇー 考ちゃんが褒めるなんて珍しいね」
「ほんとですよ ええ うちのデザイナーだって付いていきますよ」
「そうだ 内野君 昇進おめでとう」
「あっ 神山さん ありがとうございます よかったですよ」
「なにが?」
「静岡転勤だと思っていましたから」
「ははは 本当に思っていたんだ 大丈夫さ 頑張ってね」
「はい 頑張ります 杉田部長の足を引っ張らないようにします」
「そうだね お願いします」
奈々子が廻りに慣れてきたのか 明るい顔に戻りみんなを笑わせていた
今夜だけは杉田も奈々子の飾り役に徹している様子で あまりお酒を
口に運ばなかった
香織が神山に
「楽しいのは分かるわ でもお仕事は本当にきついのね でなかったら
こんなに楽しくみんなと呑めないと思うわ」
「うん そうだね デザインと予算って相反しているから妥協点を
探し出すのに大変な努力をしているわけさ その仲間意識がこのように
団結力を生むのだろうね うん」
「そうね 抱えている苦労がみな同じものだから その苦労をこの場で
発散しているってそんな感じね」
「ははは デザインってみんな同じ所があるんじゃないかな 特に商業で
予算が決められているデザインはね」
「そうね 芸術部門だと又違うでしょうしね」
「うん ここは芸術を産むところじゃないから でもそれなりの技術が
無いと置いていかれるけれどね」
「大変な部署ね へぇー初めて見ました 勉強ですね」
「もともと僕もこの部屋に居たんだよ でも何かのきっかけで
あそこに居るようになったんです」
「へぇー 理事がここにいらしたんですか へぇー」
神山は香織やGプロの面々に食べるよう勧めた

1時間くらい経つと時田と池上が席を立ち帰ると言われたので神山は
「社長 店長 本当にありがとうございます 感謝しています」
「うん 山ちゃん頼んだよ ではお先に失礼します」
神山と洋子はエレベーターまで見送りに行った
「洋子 じゃ僕らも帰るか どこかで食べなおしだ」
「そうね 香織さんは」
「うん タクシー代を渡しておくよ」
洋子が頷き神山は香織に先に帰ることを伝え タクシー代2万円を渡した
「そうしたら 私も一緒にお部屋を出ます それでタクシーを拾います」
「うん 分かりました」
神山は運転があるので 殆ど呑んでいなかったが 洋子も最初のビールを
一口呑んで 全然のんでいなかった
神山はGプロの高橋に先に帰ることを話 もっと呑むよう進めた
「山ちゃん 僕らはほらまだお仕事が残っているので ご飯は頂きますが
お酒の方は程ほどにしておきます」
「ははは そうだね お願いします」
神山は奈々子に帰ることを伝えると 席を立ち
「常務 洋子先輩 本日はありがとうございました これからも








2013年5月15日水曜日

Vol.1040 百日紅 -1-62



買うのが大変だったんですから」
「分かった ごめんごめん 奈々子 おいで」
奈々子は神山の席に行くと
「余りもので申し訳ないが これは自分の軍資金にしなさい 例えば
仕事上化粧品を買うとか バッグを買うとか いいね そうそう
正札で購入するんだよ いいね」
「はい 常務 ありがとうございます 早速 明日でも使わせて頂きます」
「へぇー もう決まっているんだ 何を買うの?」
奈々子は顔を真っ赤にして 
「このスーツやカジュアルにあうランファンです」
「おお そうか じゃ 似合うのを買ってきてね 楽しみだね」
それを聞いていた洋子が
「何が楽しみなの もう 変態 ねぇー奈々子ちゃん」
奈々子は顔を真っ赤にしたまま 俯いてしまった
神山は更に奈々子に現金500万円渡し 
「これは 当分の間使えるとおもう 軍資金だよ いいね」
「はい 常務 ありがとうございます あのぉー 杉田部長には報告した
ほうがいいのでしょうか」
「ははは 大丈夫だよ 嫁入り道具と一緒だ 隠しておきなさい いいね」
「はい 畏まりました」
奈々子はGCと現金をバッグに入れると丁寧にお辞儀をした

「洋子 ビールを呑もうよ」
洋子より先に奈々子が立ち上がり冷蔵庫から缶ビールをだし
洋子が用意したグラスに注いでいった
みんながソファーに座ると神山が
「みんな お疲れ様でした かんぱい」
みんなはビールを呑むと一息付き ソファーで寛いだ 神山が
「洋子 ちょっとメモしてね」
「はーい」
「株式会社北陸食品工業 ここを徹底的に洗ってください 明日中に」
「はい 分かりました あのぉー家で良いですか?」
「うん 構わないよ 月曜日に必要なんだ いいね 明日休んでも良いけど
資料は月曜日の午前中に欲しいな お願いします なんでも良いです」
「はい 分かりました ここでプリントアウトできるようにします」
「うん お願い」
このとき香織が
「あれっ この会社って顧問になられた所でしょ どうしたんですか」
神山は香織に村上妙子から貰った手紙を見せた
「えっ 本当ですか でもなんで? はい洋子さん」
洋子も手紙を見て驚いた
「だって 東都さん先日伺った時もそんな事話していなかったわ」
「だろ だからさ 分かった」
「はい 分かりました でもなんだろう、、、」
「洋子 もしかして東都にまた問題が発生したのかも知れない
そうだ 悪いけれど東都も直近で調べてくれるかな お願いします」
やり取りを聞いていた奈々子は全然意味不明で 困惑していた
「常務 私は何をすればいいのですか」
「ははは 大丈夫さ 何もしなくて ただ今は問題提起の時期さ
この後 どの様に動いていくか見ているだけで良いよ 少しずつ勉強さ」
香織も奈々子に
「そうよ 焦っても駄目なのよ 少しずつ自分で勉強するのよ
特に世の中の動きとかをね 今は何も見えないと思うの でもね
少しずつ見えてくるわよ そうそう勉強の方法を近いうちに教えますよ」
「おお 香織 ありがとう でも年からして奈々子の方が上だよ確か
へぇー 最初から秘書だと貫禄が違うんだ へぇー」
香織は改めて奈々子を見ると
「へぇー 一つ違いなんですか 私 同い年か下だと思いました
だって可愛らしいし ふふふ」
「おいおい 何も出ないぞ そうだ そろそろ催事課にいこう」

4人は次長室をでて催事課の部屋に入った 奥村は神山を何処に座らせるか
悩んでいるとき時田副社長と池上店長が入ってきた
「おお 賑やかだな 奥ちゃん いいな元気があって」
奥村は奈々子と杉田を上座に座らせ その隣に時田と池上に座ってもらった
神山はGプロの面々と一緒になって座り 洋子もその中に入った
香織も神山も傍に座り Gプロの面々に挨拶をしていた
「おう 山ちゃん こっちに来ないのか 常務なのに」
「ハハハ 今夜はアルタの副社長です」
「ははは そうか そうだな わかった」
奥村が全員揃った所で
「えー お忙しい所お集まりくださいまして ありがとうございます
実は 杉田部長に秘書が付く事になりましたので 皆様にご紹介を兼ねて
お祝い歓迎会を行いたいと思います まずは時田副社長お願いします」








2013年5月14日火曜日

Vol.1039 百日紅 -1-62



神山が受け取ると 神山がサインをして日時を記入し立会人で香織が
サインをした コピーを取ると山上に渡した
その間 山上は人事命課をに日時など記入していた
【神山 龍巳 殿 右のもの 本日を持って株式会社トウノウ
    本社顧問を任命する
   平成10年7月11日 株式会社トウノウ 社長 岡本 靖】
給与手当て1千万円毎月18日スイス銀行入金 土日祝日の場合は前営業日
賞与6千万円 7月14日 12月14日年2回 14日が土日祝の場合は
前営業日振込みとする
【眞鍋 香織 殿 右のもの 本日を持って株式会社トウノウ
    本社顧問神山龍巳の専属秘書を任命する
   平成10年7月11日 株式会社キングビーフ 社長 岡本 靖】
給与手当て70円毎月18日指定銀行入金 土日祝日の場合は前営業日
賞与250万円 7月14日 12月14日年2回 14日が土日祝の場合は
前営業日振込みとする
山上は給与覚書を鞄にしまうと 更に包みを出し
「これはお礼です 収めてください お願いします」
「はい ありがとうございます」
山上は神山と香織に丁寧に挨拶をして 部屋を出て行った
「凄い 理事 ありがとうございます」
「おいおい 次だよ お仕事お仕事」
香織はニコニコとして 次の面談社を部屋に入れた

次にきた面談社も苦情処理的な話で 神山はどうにも動けなかったが
真剣に話を聞いていた
香織が時間ですといい 神山が気がつき面談社は背中を丸くして部屋を
後にし 神山は辛かった
「ねえ 地方行政で何とかならないのかねぇー 困った問題だ」
何社かのあと 北陸食品工業の面談になった
色々と話 神山は顧問を引き受けた
【神山 龍巳 殿 右のもの 本日を持って株式会社北陸食品工業
    本社顧問を任命する
 平成10年7月11日 株式会社北陸食品工業 社長 宮下 卓】
給与手当て1千万円毎月18日スイス銀行入金 土日祝日の場合は前営業日
賞与6千万円 7月14日 12月14日年2回 14日が土日祝の場合は
前営業日振込みとする
【眞鍋 香織 殿 右のもの 本日を持って株式会社北陸食品工業
    本社顧問神山龍巳の専属秘書を任命する
 平成10年7月11日 株式会社北陸食品工業 社長 宮下 卓】
給与手当て70円毎月18日指定銀行入金 土日祝日の場合は前営業日
賞与250万円 7月14日 12月14日年2回 14日が土日祝の場合は
前営業日振込みとする
株式会社北陸食品工業の担当 村上妙子は包みを置くと神山に手紙を渡し
丁寧にお辞儀をして部屋を出て行った
その後何社か面談をして終わったのが5時半だった

「おお 漸く終わった お疲れ様」
「理事こそ お疲れ様でした ほんとこんなに真剣に面談希望社と相談される
理事っていままで居なかったわ 本当です 凄いです」
「そうか 当たり前だよ この位 さあ コーヒー飲んで行こうか」
香織に5百円玉渡し 自販機でコーヒーを買ってきてもらった
神山は株式会社北陸食品工業担当常務の村上妙子から貰った手紙を読んだ
内容は株式会社東都食品との合併問題が水面下で行われていて
こちらは 条件によっては傘下に入る事も考えているとの内容だった
条件は雇用の件で 今の全従業員の雇用を守る事が第一に挙げられていた
その後の条件は福利厚生面でのことで 組合が絡んでいる様子だった
神山は難しい問題にクビを入れた感じを覚えた
ある部分でゴテンバ アウトレットに影響が出ないとも限らないし
ここは社長の田宮と相談しようと思った
ここで躓くとゴテンバが全部駄目になるように感じ取った
香織から缶コーヒーを貰い飲むと ご祝儀を車に積んで鈴やに向った

次長室に入ると奈々子も居て 神山は香織を紹介した
「こちらが 15日付で部長秘書になる安井奈々子ちゃん こちらは
食品協会を纏めている真鍋香織さんだよ 仲良くしてね」
二人は簡単な自己紹介をすると神山は奈々子をみて
「素晴らしいじゃないか へぇー 素敵だよ 全然印象が違うね ねえ洋子」
「ふふふ 少し大人の女って そんな感じがするでしょ」
「うん 今までの人事の可愛らしい奈々子ちゃんじゃないな ははは」
神山は次長席に座ると洋子を呼び
「で 足りたかな?」
「ええ 充分です はい これは使わなかった分です」
「なんだ 500も使わなかったんだ」
「ええ だってそんなに買えないですよ もう ねぇー奈々子 これでも







2013年5月13日月曜日

Vol.1038 百日紅 -1-62



「あーあ 疲れるね ははは」
「でも ありがとうございます 嬉しいです」
神山は建築協会の安堂が話していないと察し
「この事は 誰にも話しては駄目だよ いいね」
「はーい 分かりました」
神山がコーヒーを飲もうとした時に携帯電話がなった
「はい 神山ですが」
「洋子です 大丈夫ですか?」
「うん どうした」
「ええ 奈々子ちゃん秘書誕生で 今夜催事課でお祝いです それで
おじ様や池上さんも出席なんですよ」
「ほぉー なるほど わかった なるだけ早く行くよ 何時から」
「ええ 18時からです」
「わかった えさは」
「ええ それですがどうしましょうか」
「うーん うちで用意しなよ 大した金額じゃないでしょ」
「そうね そうしたらいせ丸さんでお願いしていいですか」
「うん 何人だろう」
「ええ催事課が全員なんです だから7名でしょ それにプラスです」
「そうしたらさ 特上を15人前でもいいじゃない ねっ それから
今夜は2次会無しだから 中華や洋食のおかずを盛り合わせで買っておいて
そうそう そうしたらさGプロも呼んであげようよ その方が一回ですむし
奥村さんに聞かれたら 神山が言っていたって それですむよ」
「そうね いい機会ですものね わかりました そうしたら御寿司は20人前
くらいでいいですか?」
「うん 直ぐになくなるよ お願いします そうそう缶ビールもうちで手配」
「はーい 了解です 奈々子ちゃん 凄く素敵な秘書に変身よ ふふふ」
「おお 楽しみですね じゃ」
「はーい」

「神山理事 お忙しいですね」
「そうだ 香織 新米秘書が今夜誕生なんだ 一緒にお祝いをしてよ」
「えっ 大丈夫ですか?」
「何が?」
「だって 鈴やさんでしょ」
「君は 僕の専属秘書だ だから大丈夫さ ははは」
「はい 伺わせていただきます」
「うん」
「そうしたら そうそう お店の前に花屋さんがあるから そこでお花でも
買っていきましょう 喜ぶと思いますよ」
「おお 優しいね」
「あのぉー 女だったら 気が付きますよ もう いやねぇー」
「分かった ごめんごめん」
神山はタバコをふかしながらコーヒーを飲んだ

「さあ 理事 そろそろ次の面談 よろしいでしょうか?」
「うん」
香織が次の面談社を部屋に通すと 担当者は直ぐに包みを差し出し
「私は株式会社トウノウの販売担当専務をしています 山上と申します」
「はい ありがとうございます それで今日は どの様なご用件でしょうか」
「ええ 実は私ども、、、、、、、、、、、、、で神山理事に是非 本社
顧問を引き受けて頂きたく お伺いしました」
「はい 分かりました そのように加工技術をお持ちで 更なる勉強とは
頭が下がる思いです しかしながら私の技術は家庭料理の範疇ですが
それでもよろしいですね」
「はい お願いします」
「しかし その後の条件を申し上げます まず 顧問就任後 いかなる事が
発生しても私に責任がない事 試食などでそちらの都合で私は動かない
などですがいいですか」
「ええ 充分です 取締役会なども欠席されて結構です お願いします」
神山は暫く考え
「それでは 顧問費として月1千万円 賞与6か月分 年2回」
「はい 大丈夫です」
「それから専属秘書としてここに居る眞鍋香織を秘書とし 月70万円
賞与250万円年2回 それでも良いですか」
「はい お願いします 助かります」
「しかし 私の名誉を汚したりした場合は民事裁判になりますよ」
「はい 大丈夫です そのような事は一切しません」
「香織さん メモでいいですが 今の件を契約書にしてください」
香織は直ぐにPCで契約書を製作すると
「はい 出来ました」
神山は目を通すと 内容がきちんと書かれていたので
「まずはこちらにサインをしてください いいですね」
山上は何回も読み直し 大丈夫ですといいサインをした







2013年5月12日日曜日

Vol.1037 百日紅 -1-62



【眞鍋 香織 殿 右のもの 本日を持って株式会社九州畜産農業
    本社顧問神山龍巳の専属秘書を任命する
   平成10年7月11日 株式会社九州畜産農業 社長 西郷 康夫】
給与手当て70円毎月18日指定銀行入金 土日祝日の場合は前営業日
賞与250万円 7月14日 12月14日年2回 14日が土日祝の場合は
前営業日振込みとする
勤怠契約書に押印すると西郷も社判を押印し コピーをとり鞄にしまった
「神山理事 これは少ないですが お礼です 収めてください」
「うん 名前に傷をつけないでくださいね お願いします」
「はい ありがとうございました」

「神山理事 ありがとうございます」
香織は神山に抱きついてキスをすると神山は
「ほら 次がある 早くしなさい」
香織は仕事に戻り 次の面談社を案内した
この会社も 苦情を話すだけでどうしたら会社を良くするという政策が
聞けず 神山も困った 
その何社か後に株式会社キングビーフとちょっと中堅の会社がきた
「私 キングビーフ販売担当常務をしています 坂田と申します」
坂田は名刺を出し深々とお辞儀をすると
「実は神山理事に牛肉の加工について 製品吟味をして頂きたく伺いました
私どもでは ご存知のようにビーフジャーキーを全国展開しております
そこで新製品開発の為にも理事の吟味をお願いしたく 伺いました」
「ははは ビーフジャーキー新製品の吟味ですか」
「って言うと それまでなんですが 現在色々と 例えば半生ジャーキーや
色々と製品を開発しています そこで是非とも本社顧問で お迎えしたいと
それでお伺いしました 如何でしょうか」
「はい 分かりました 条件があります」
「はい」
「失敗の件では私のミスと認めますがしかし 味が分からない部分での
失敗はどうなりますか 例えば ここと九州 東北など 
味ってさまざまですよ その失敗も私ですか?」
坂田は暫く考えると
「大丈夫です 肉本来の味や硬さなど 基本的な部分のご判断です」
「ははは そうこられましたね 良いですよ ははは お受けします」
「では神山理事 本日付で顧問になってください」
「しかし その後の条件を申し上げます まず 顧問就任後 いかなる事が
発生しても私に責任がない事 試食などでそちらの都合で私は動かない
などですがいいですか」
「ええ 充分です 取締役会なども欠席で結構です」
神山は暫く考え
「それでは 顧問費として月1千万円 賞与6か月分 年2回」
「はい 大丈夫です」
「それから専属秘書としてここに居る眞鍋香織を秘書とし 月70万円
賞与250万円年2回 それでも良いですか」
「はい お願いします」
坂田は持参した人事命課に日付を記入し 香織の分は神山の下に加えた
【神山 龍巳 殿 右のもの 本日を持って株式会社キングビーフ
    本社顧問を任命する
   平成10年7月11日 株式会社キングビーフ 社長 高橋 透】
給与手当て1千万円毎月18日スイス銀行入金 土日祝日の場合は前営業日
賞与6千万円 7月14日 12月14日年2回 14日が土日祝の場合は
前営業日振込みとする
【眞鍋 香織 殿 右のもの 本日を持って株式会社キングビーフ
    本社顧問神山龍巳の専属秘書を任命する
   平成10年7月11日 株式会社キングビーフ 社長 高橋 透】
給与手当て70円毎月18日指定銀行入金 土日祝日の場合は前営業日
賞与250万円 7月14日 12月14日年2回 14日が土日祝の場合は
前営業日振込みとする
勤怠契約書に押印すると坂田も社判を押印し コピーをとり鞄にしまった
「理事 これは顧問のお礼です 収めてください」
「はい ありがとうございます 頂きます ただし私の名前に傷をつけないで
くださいね お願いします」
坂田が丁寧にお辞儀をして部屋を出ると香織は神山に
「信じられないわ ありがとうございます」
「まあまあ 1年くらいかもよ でも貯まったお金は大事にしなさいいいね」
香織は目に涙を浮べ 神山にお礼を言って席に戻った

香織が化粧を直し次の面談社を案内したが現れなかった
「神山理事 次の面談社が不在ですが 如何しましょうか」
「うん ちょっと休憩にしよう」
神山は時計を見ると 15時半時になっていたので10分休憩とした
香織は急いで部屋を出ると事務所の外にある自販機で缶コーヒーを買い
神山に渡すと自分も美味しそうに飲んだ







2013年5月11日土曜日

Vol.1036 百日紅 -1-62



「うん ごめんね 明日はゆっくり出来ると思う」
「気にしていないですよ お仕事ですから では失礼します」
安堂は丁寧にお辞儀をすると 有楽町駅に向っていった

神山は食品協会の理事室に入ると時計を見て
「香織 まだ充分に時間があるので 30分寝かしてください」
香織が返事をすると ソファーに横になり直ぐに寝た
13時50分になると香織は神山を起こし
「あーあ ありがとう スッキリしたよ」
香織は缶コーヒーを神山に渡すと自分も飲み
「理事 おトイレに行ってきます」
「おお じゃ 一緒にいこう ははは」
二人が部屋を出ると 既に4社ほどが部屋の外で待っていて 神山は
お辞儀をしながらトイレにはいった
香織が戻ると
「では よろしいでしょうか」
「うん お願いします」
香織の合図で最初に面談に来たところと話していたが 要領を得ないまま
10分が過ぎ 神山は悩んでしまった
「おいおい 何を言っているんだろう 分かった?」
「いいえ 私も良く聞いていたのですが ここって生活保護センターの
苦情処理ではないですからね 困ったものです」
神山も同感と思い 先が思いやられた
5番目に例の九州畜産農業が面談だった
「私は神山理事の料理を紹介している記事を読みまして 是非そのノウハウを
我が社で活かしていただきたいと思いまして 伺いました」
「ははは それは無理なお話ですよ だって料理 加工ってそんなに
易しくない事は存じ上げています 現に私はあるところの顧問をしています
しかし 私に出来る事は うんこれは不味いとか美味しいとそんな所の話で
ノウハウのご提供は無理です」
「はぁー それでしたら 加工品の味見をして頂くだけで良いです」
「あのぉー それでしたら私以外にも沢山いらっしゃるでしょ なぜですか」
「はっきり申し上げますと 神山理事のその記事は間違いなく本物で
それが新鮮なんです 今までどこどこ食品研究所の所長とか 色々と
お話を伺ってきました しかしありふれた一般論で ポイントが無いんです
なのでお願いをしているんです」
「はぁー」
「結局 ああいう人たちはどちらにでも転べるような話なんですよ
ところが理事は ここがこうだから焼き方を変えなければいけないなどと
きちんと理論もわかり そのフォローもされている訳です」
「ええ 自分で食べるので そのくらいは気をつけますよ」
「今まで そのようにはっきりといわない方が多くて こちらとしても
非常に困っていました 加工に失敗すれば自分で責任とらない態度など
それがうちでは限界で この春に辞めて頂いたんです」
神山は暫く考え
「分かりました しかし条件があります 失敗の件では私のミスと認め
しかし 味が分からない部分での失敗はどうなりますか 例えば ここと
九州 東北など 味ってさまざまですよ その失敗も私ですか?」
相手は暫く考え
「神山理事 その部分の失敗は失敗ではありません 要はその加工品の
基本的な味をこちらで提示しますので それが本質の味を出しているか
どうかのご判断で良いと思います 如何でしょうか」
「ははは そうこられましたね 良いですよ ははは お受けします」
「では神山理事 本日付で顧問になってください」
「しかし その後の条件を申し上げます まず 顧問就任後 いかなる事が
発生しても私に責任がない事 試食などでそちらの都合で私は動かない
などですがいいですか」
「ええ 充分です 取締役会なども欠席で結構です」
神山は暫く考え
「それでは 顧問費として月1千万円 賞与6か月分 年2回」
「はい 大丈夫です」
「それから専属秘書としてここに居る眞鍋香織を秘書とし 月70万円
賞与250万円年2回 それでも良いですか」
「はい お願いします」
九州畜産農業のその男は名刺を出していない事に気がつき
「神山理事 私は西郷哲夫ともうします 遅くなって申し訳ありません」
西郷は早速用意した辞令に持参の筆ペンで日付など記入し 香織の分は
白紙の辞令用紙に記入した
【神山 龍巳 殿 右のもの 本日を持って株式会社九州畜産農業
    本社顧問を任命する
   平成10年7月11日 株式会社九州畜産農業 社長 西郷 康夫】
給与手当て1千万円毎月18日スイス銀行入金 土日祝日の場合は前営業日
賞与6千万円 7月14日 12月14日年2回 14日が土日祝の場合は
前営業日振込みとする






2013年5月10日金曜日

Vol.1035 百日紅 -1-62



「じゃ 僕は別な所があるから失礼するよ そうそう
奈々子ちゃんが命課を貰ったら ご祝儀を忘れないように」
「あっ そうですね」
「うん 部長席は施錠できる引き出しがあるので みんなから頂いたお金は
そこに入れておくといいよ」
「全額ですか?」
「まあ 半分くらいでいいよ そうやって廻っているんだよ あのお金は
だから 自分が全部貯金したりすると ご祝儀やご馳走が出来ないだろ
まさか自分の貯金を下ろすことも出来ないし その類のお金は
そのような時に直ぐに使えるようにしておくんだ ほら翔が各理事に
挨拶をした時 お札を数えていた理事はいなかっただろ だから洋子からも
奈々子ちゃんに話があると思うが 軍資金はちゃんと準備しておくんだ」
「なるほど そう言われるとそうですね 分かりました 頂いた半分だけ
貯金しましたが 残りの8千万円は軍資金として引き出しに入れます」
「クリスタルが稼動して入ってくるお金は 自由さ でも会社で貰った
その類のお金については 基本 還元しなければ廻らないんだ」
「はい 良く分かります これから気をつけます」
「うん まあ額が大きい時には半分とか なにしろ軍資金があるか否かで
行動できる半径が変わってくるからね いいね」
「はい 分かりました」
「うん 多分奈々子ちゃんにも同じことを洋子は話していると思う
それから 出来れば軍資金は 奈々子ちゃんと半々して持つといいよ」
「はい 分かりました そうします」
「うん 会社のお金には手をつけない そんな感じかな
それで足りなくなったら 僕に直接言いなさい いいね」
「そうしたら アルタで頂いたお金もそうですね」
「勿論さ Gプロが残業って言えば多少お金を渡すとか そうやって
みんなに還元するんだ」
「はい 勉強になりました ありがとうございます」
「うん じゃ 奥村課長 倉さん 失礼します」
「うん ありがとう」
「おう 頑張ってな 応援しているよ」
神山は催事課をでると 真由美と香織が待つ不二家に行った

一方 奈々子と洋子は軍資金の話をしながら買い物をした
「へぇー 軍資金ってそんなに大切なんですか」
「そうよ だって常務だっていざという時は2億も動かせるのよ」
「へぇー 2億ですか 凄いですね へぇー」
「NNのビジネススーツやカジュアルだって これで買ってきなさいって
1千万円渡すのよ 凄いでしょ」
「へぇー お買い物に1千万円ですか へぇー」
「多分 常務も軍資金の大切さを杉田君に話していると思うわ なので
ふたりで協力して 軍資金を上手に使いなさい いいわね」
「はい 分かりました でも軍資金って 理事にならないと出ないでしょ
私はないし、、、」
「大丈夫よ 部長さんですよ 色々と企業が来ますよ その時の
お金を自分のものにしないようにするのよ そうすると杉田君が
何かあった時 自由に使えるお金が一杯あればそれだけ 信用されるでしょ」
「そうか そうですね 分かりました」
「でも そうかといってケチケチしていても駄目なのよ 時々その軍資金を
二人の食事に使ったり 見聞を広めたり そうやって使うの」
「なるほど 結構 大変ですね ふふふ」
「そうよ だから大切に使いなさい いいわね ふふふ そうそう
足りなくなったら 私に相談しなさい 私も持っているから大丈夫よ」
「へぇー 先輩も持っているんですか」
「ええ 大体 半分くらいは持っているわ なので杉田君が渡して来たら
それを軍資金に廻すようにするの その時のお金を自分のものにしない
でもね あげるよって言われたら ハンドバッグに入れなさい いいわね」
「はい 分かりました」
「じゃ NNのビジネススーツを買いましょうね」

神山は真由美と香織が待っている不二家にいくと
「わぁー 漸く来られました もう 遅いんだから」
「ごめんごめん それで注文したの?」
「ええ パフェは頂きましたが コーヒーをこれからって処です」
神山はウエイトレスにコーヒーを注文した
「理事もお忙しいですね ふふふ」
「うん って言うか ほら自分で蒔いた種だけに ちゃんと育てたいんだ」
「なるほど うーん そこがいい所かな 最後までちゃんと責任持つかな」
「ははは そうかなぁー 自分では良く分からないけれどね」
3人がコーヒーを飲み終わると神山は
「じゃ ビルまでもう少しだから 歩いて帰ろうか」
3人は歩いて食品協会の入っているビルにつくと安堂真由美が
「それでは神山理事 私はこれで帰ります」








2013年5月9日木曜日

Vol.1034 百日紅 -1-62



「うん 凄い子だな ワシも参ったよ 杉田さんを守る秘書になります」
「はぁー それで社長 制服って必要ですか っていうのは洋子と
同じように 活動しやすいような服でも良いと思っているんですが」
「そうだな 要らないな その都度着替えじゃ可哀相だし それに
デザイナーの秘書だ うん 店の制服はなし 決定」
洋子は直ぐにメモを取り 時田に見せると
「まったく もう 分かった サインをするよ でもいい秘書に囲まれて
山ちゃんも幸せだな」
「はい ありがとうございます では早速その事を話して 私が洋子の
時と同じように 制服をプレゼントします ありがとうございます」
「おお そうだね いい考えだ ビジネススーツは持っていないとな」
「ええ そうさせて頂きます ありがとうございます」
神山は時田と分かれると洋子に
「洋子 まず奈々子ちゃんの休みを聞いて欲しい それから NNに行って
洋子と同じビジネススーツ そうだな夏物は2着あればいいね
それから会社で着るGパンやシャツ ジャケットなど一式揃えてあげて」
「はい そうそう資生堂はどうしますか?」
「おお 忘れていた 資生堂もお願いします 自身が買っているから
大丈夫だよね?」
「もう 大丈夫ですよ そうしたらビトロを利用しますか」
「そうか でもビトロってGパンは置いていたっけ、、、」
「そうね ではなるべくビトロを使って 無いものは特選でいいですか?」
「うん カジュアルなものは活動しやすい方がいいね」
神山は時計を見ると まだ充分時間があるので真由美と香織を不二家の
パフェで待っているよう伝え1万円渡した

神山は二人を正面玄関で見送ると 次長室に戻り
「洋子 これを使ってください」
ギフトカード2千万円分を渡すと
「まさか 幾らなんでもこんなに使わないわよ 大丈夫よ半分でも余るわ」
神山は洋子に1千万円分渡すと 催事課に行った
催事課でも突然の出来事で奥村課長や倉元など驚いていて
「山ちゃん 凄い事になったね もう仕事にならないよ」
「ははは 僕は何もしていませんよ そうそう奈々子ちゃん いらっしゃい」
神山は安井奈々子を呼ぶと 洋子の処へいき指示に従うよう話した
杉田は自分が知らないところで 凄い事になっていると思い
「先輩 ありがとうございます 部長席もあんなに立派に作っていただき」
「ハハハ 翔が今後仕事をしやすいようにしただけだよ 頑張ってな」
「はい 分かりました」

一方 次長室に入った奈々子は洋子と話をしていた
「えっ 制服が要らないんですか」
「ええ デザイナーの秘書なのに鈴やの制服は要らないって 時田副社長の
お話よ ほらこれを見て」
洋子は今 時田から貰ったメモを見せると奈々子は
「ありがとうございます でも凄いですね 神山常務って みんなを
動かしているでしょ 凄いわ」
「ふふふ そうね でなかったら私 秘書を辞めているわねきっと」
「へぇー そうなんですか でもありがとうございます」
「そうしたら翔君は大丈夫でしょ」
「ええ 大丈夫です」
「そうしたら 買い物に行きましょうね ふふふ」
「はーい わかりました 杉田に話してきますね」
「あらま ふふふ お願いします」

「へぇー いいよ 洋子先輩がこいって言うなら 一緒に行ってきなさい」
「はい では行ってきます」
「そうそう 何かあったら 携帯電話だよ いいね」
「はい 了解です」
奈々子は杉田と神山 奥村などに挨拶をすると部屋を出て行った
「しかし 翔 なかなか出来た子だって よかったな」
「ええ 先ほど話していたんですが 徹夜勤務があるけれど大丈夫って
聞いたんですよ そうしたら全然気にしていないそうです かえって
こちらが気にしちゃって 参りました」
「そうか でも徹夜は程ほどにしてあげないとね」
「そうですね 毎回徹夜だと 翌日の仕事が出来なくなりますよ
特にアルタのスケジュール管理もあるし 結構大変だと思いますよ」
「そうだね それで この部屋にいるときは鈴やの社員で 部長席に
行ったら なるべく個人のデザイナーって感じで仕事をしてね」
「ええ 分かります なんとなく掴んでいました はい 了解です」
「頼んだぞ クリスタルは翔に掛かっているからね」
「もう 先輩 そんなにプレッシャーを掛けないでください」
「ははは ロボットになるか」
「ははは もう なりません もう」







2013年5月8日水曜日

Vol.1033 百日紅 -1-62



「お邪魔じゃないの 大丈夫」
「うん 大丈夫だよ ほら真由美さんと香織さんだよ」
「へぇー 泰子さんはどうしたの?」
「今日明日は引越し準備でカレンダー通りお休みです」
「わかりました 直ぐに行くわね」
「はーい 待っています」
神山は仲居を呼ぶと 蒲焼などを一人前追加した
「神山理事 どうされたんですか?」
「うん 新任部長の秘書が選出された報告だよ ははは 早いね」
「へぇー 部長さんで秘書が付くんですか」
「うん ここだけの話だよ いいね」

生ビールや鮮魚のおつまみを食べていると洋子が部屋に入ってきた
「こんにちわ 田所理事」
「まあ 洋子でいいわよ ふふふ こんにちわ」
「まずは 乾杯 お疲れ様」
4人は改めて 生ビールで乾杯をした
神山にとってはこれで泰子の話をしなくてすむと思い気が楽になった
「でも 本社人事は良く出してくれたね」
「種明かしは 名古屋からね 東京に来る女の子が居るのよ」
「へぇー そうなんだ」
「来るって言うより 帰ってくる方が正確かしら」
「へぇー 名古屋で使い物にならなかったの」
「ううん 結婚して名古屋に行ったのね でもね離婚したのよ それで
東京に戻ってくるってそういう訳なの」
「じゃ 堀田さんは知っていたんだ でも離婚で東京に戻れるって凄いね」
「でしょ ほら権田社長の親戚のお嬢様なのよ」
「へぇー 知らなかった でも凄いね」
「ええ なのでこの事は一切秘密なの ふふふお願いね 実は堀田さんから
も絶対に内緒って言われているの」
「はーい 内緒です 分かりました で奈々子ちゃんは知っているの?」
「そうそう 大変よ 15日に命課ですって」
「へぇー また早いね」
「ほら部屋が出来るでしょ その時に居た方がいいって」
「へぇー また凄いね」
「それでね 本人がなんと言ったと思う」
「うーん 洋子二世で頑張りますって どうかな?」
「ううん 洋子二世ではありません 杉田さんを守る秘書になりますって」
「へぇー あの奈々子ちゃんが そんな事言うんだ 知らなかったな」
「もっとも私は芯の強い女の子だなって思っていましたよ 上司の言う事を
良く聞き 残業があっても全然へこたれないし かえって楽しんでいたわ
それでね 主任を飛び越して係長よ」
「えっ 係長 へぇー 凄い事になったね」
「ふふふ 時田さんが内藤さんに電話をしたのよ」
「えっ またなんで?」
「ええ 経緯を話したら アルタでも係長なの なので係長になったのよ」
「えっ アルタで係長 大丈夫かな へぇー」
「それからね 車は貴方が用意するって話したでしょ」
「うん」
「そうしたら 山ちゃんの時にプレゼント出来なかったから 今回は私が
準備します 駐車場もアルタで借りますって事になりました」
「へぇー ほんと 凄いなこれは」
「なので堀田さんや本社は大騒ぎで 知らないのは銀座店かな」
「へぇー でも良かったね 早く決まって」
「さあ 報告はお終いでーす 食べましょう ふふふ」

香織と真由美は大体の話は分かり洋子と話をしながら楽しく食べた
「でもさ なぜこんなにスムーズに話が纏まるのかね 不思議だよ」
「ふふふ 貴方がレールを敷いて利益を出そうとしているからじゃない
そのくらい分からないの もう がっかり」
「おいおい 僕は自分の事で精一杯だよ レールなんて敷いた覚えはないし」
それを聞いていた真由美と香織は
「でも 洋子さんの言うとおりだと思います 自分は思い切ってお仕事をし
その事でいい方に進んでいるわけですよ だから廻りも理事を認め
特に発言には強いものがあって みなさんそれに従うんです ほんと
凄く羨ましいと思いますよ ねぇー洋子さん」
「そうよ でなかったらとっくに秘書を辞めていますよ もう」
「おいおい そんな苛めないで もう 折角のうなぎが不味くなるぅー」
3人の女性が大笑いしながら 食事を終えると洋子が精算した
丁度その時に時田とすれ違い 神山は
「今回の件 本当にありがとうございます 心から感謝します」
「おお よかった 部長席に間に合いそうだね それで奈々子ちゃんは
もう 催事課で杉田君と仕事をしているそうだ 今 連絡が入った」
「えっ もう 仕事をしているんですか」







2013年5月7日火曜日

Vol.1032 百日紅 -1-62



「うん お願いします で 僕はそろそろ食品協会に行きます」
「はーい それで帰りはどうされますか?」
「うん 18時だけど 少し廻ります 洋子は仕事が無かったら
帰ってもいいよ 何かあったら携帯まで電話をください」
「はーい 分かりました」
二人は一緒に部屋を出て 洋子は本社ビルへ向い神山は地下駐車場に行った

日本缶詰産業総合協会の理事室に着くと眞鍋香織がニコニコして迎えた
「こんにちわ 今 電話をしようとしていた所です」
「ごめんごめん 鈴やでも次から次と仕事が増えてね 困っています」
「お疲れ様です ふふふ 泰子さんと上手く行っていますか」
「うん ゴルフを教えてもらえるよう 頑張っているよ ははは」
「わぁー いいなぁー それでこれが 今日の面談希望社です
で アンダーラインが顧問をして欲しいっていう会社です」
「そうか でも今回は一流どころが少ないように思えるけれど どう」
「ええ 地方の会社が多いんですが 調べましたら 結構堅実経営で
地方では有名な所が多いですよ」
「へぇー そうか ねえ この畜産 九州畜産農業ってなに?」
「ええ 豚を扱っている会社です」
「へぇー それで僕に顧問なの?」
「ええ そこは熊本を中心に九州で5箇所も農場を持っている大手です」
「へぇー 凄いね しかしね 僕が役に立つのかな まあいいか」
「ほら 向こうがそのような価値を認めているんですよ ふふふ」
「しかしねぇー 困ったものですね」
神山は眞鍋香織が作ってくれた資料に眼を通していると 牛肉農場もあり
少し笑ってしまった
「香織 ここら辺の農場関係って 農林水産でうちとは関係ないでしょ」
「でしょ そこで私も聞いたら 缶詰や加工品会社も持っているんですよ
なので その部分でお願いをしたいと言われています」
「はぁー 加工品かぁー そうするとうちの協会なんだね」
「ええ そうなってきます」
神山は集中して資料を熟読するとなるほど 香織が言っていたように
農場のほかに 自社工場で加工品の製造販売をしていた
暫く集中すると 直ぐにお昼になり香織が
「神山理事 お昼ですよ 例のうなぎが食べたいな」
「おお もうそんな時間か 分かりました じゃ支度をしよう」
神山が席から立ち上がると 香織が
「理事 これは今日まで届いた書留です 礼状は出してあります
それでもう直ぐ 建築の安堂真由美さんがここに来ます」
「うん そうすると引田さんは?」
「ええ 泰子ちゃんは引越し準備で今日明日ってお休みです」
「そうか うん 真由美も書留を持って来るのかな」
「ええ そうですよ」
「だって 明日向こうの面談なのに わざわざありがたい事です」
「ふふふ 一日でも理事と一緒にいたいの 分からないんですか もう」
「ごめんごめん うーん じゃ うなぎを一杯ご馳走するよ」
二人がソファーで笑っていると建築協会を纏めている安堂真由美が現れ
「わぁー 重い こんにちわ 理事」
安堂は祝儀を紙袋に入れ台車で運んできた
香織が降ろすのを手伝おうとした時に神山が
「ありがとう ではそのまま車に運ぶよ ありがとう」
神山は香織から貰った祝儀袋が入った紙袋をその上に乗せると3人掛かりで
蒼いBMWまで運びこんだ
神山が台車を片付けると タクシーで鈴やに向かいうなぎやに入った

「さあ ではおつまみに蒲焼と鮮魚の盛り合わせと ゆばさしと、、、」
「あと 生ビールでしょ ふふふ」
神山は仲居に話すとクスッと笑いながら注文を聞いていた
最初にゆばさしと香の物 生ビールが運ばれてくると神山が
「では お疲れ様かな 乾杯」
二人は泰子の事を話さないよう打ち合わせをしていて 神山もあえて泰子の
話はしないようにした
しかし話題がゴルフの話になると 神山は泰子のことを思い出してしまい
話をしたくなったが 喉元でとめていた
そこへ洋子から電話がはいり
「やあ お疲れ様」
「ねえ 決まりました」
「えっ 決まったって 秘書の件ですか」
「ええ そうなの」
「早いね で誰になったの?」
「本社人事の奈々子ちゃんよ どう?」
「えっ あの安井奈々子ちゃん、、、へぇー」
「そうなのよ 私もびっくり驚いているわ」
「そうしたらさ 今 うなぎを食べに着ているんだ 来ないか」








2013年5月6日月曜日

Vol.1031 百日紅 -1-62



仕事管理やスケジュール管理 それと今後 増えてくる杉田の外出時の
車の運転 そこを考えた場合 こちらの洋子一人では無理が出てきます
それで 秘書兼纏め役が居れば 仕事が捗ると考えています」
「おう わかった そうだな 対外的な仕事が増えれば 秘書は必要だ
しかし 部長だからな どうしたものかな、、、」
暫くの間 時田や神山 洋子も口を開かなかったが 時田が
「山ちゃんのように 理事部長で外の仕事って事になるとOKだと思うが
杉田君はまだ部長で理事になっていないしな うーん」
以前にも書かせて頂いたが 店長 店次長 部長が理事で 部長には
理事職と部長職に分かれている 店内の部長で理事になっている人は
だれも居ない 杉田も店内の部長と同じレベルの部長職だった
「うーん 困ったな 仕事が優先だ 分かっているがな うーん」
「おじ様 そうしたら来春 杉田君を理事にする事で前倒しってどうですか」
「おいおい 前倒しか うーん」
時田は又 考え込んでしまった
暫くすると 時田が
「よし ワシが責任をもつ 販促部 杉田君の専属秘書 OKだ
ただし 催事課ではなく杉田君と同じ販促部の枠だからね でないと
ほら上野から呼ぶ女の子の事もあり ワシが突かれる いいね」
「はい ありがとうございます 洋子 助かったね」
「おーい 秋山君 堀田君を呼んでくれ 早急にだ」

堀田本社総務部長(理事)が部屋に入ると神山と洋子が居るので緊張し
「神山常務 田所理事 いらっしゃいませ」
「おい 堀田君 堅い話は抜きだ 早速で悪いが これから秘書の人選だ」
「えっ 秘書ですか?」
「おう 杉田部長の秘書だ」
「えっ あの 杉田部長のですか」
「うん そうだ それで責任はワシと山ちゃんが持つ いいかな」
「はい 社命ですから はい、、、」
「これから条件を言うからな メモして 山ちゃん 条件は?」
「はい まず勤務時間外が多い事が一つ 人を纏める事が上手な人物
いつも明るく聡明な人物 外出が多くなるので運転が出来る事かな」
神山は条件提示をしている時に 洋子や由紀枝 泰子を思い浮かべた
「おいおい 山ちゃん そうするとここに居る 洋子二世を探すわけだな」
「あはぁー そうですね そうそう洋子さん二世です お願いします」
言われた堀田は困った顔ではなく ニコニコとして時田に
「副社長 常務 それはもう 大変な事ですよ 田所理事二世なんて
探すのが大変ですよ 田所理事だって砂山からダイヤモンドですよ」
「おいおい だからワシも悩んでいるんだ 杉田君も山ちゃんと同じよう
物怖じしない所があるし 芯はしっかりしている ただし 9月に挙式だ
そこだけが違うがな でも 瓜二つの好青年だ 何とか探してくれ いいね」
「はい 畏まりました」
「それで 探すのに大変だろうから 洋子と一緒に探しなさい いいね
それでこれは 内緒で探すんだよ 8月の移動の時に混ぜるから」
「はい 承知いたしました」
「まあ 杉田君のことは洋子が良く知っている なので洋子に相談しながら
探し出してくれ 洋子もいいね 内緒で探す事」
「はい 副社長 ありがとうございます」
神山は立ち上がって 時田に深々とお辞儀をして挨拶をした
堀田部長が部屋を出ると時田が
「で 車はどうする?」
「ええ 私が何とかしますよ 大丈夫です」
「うん 西野理事に話さないでいいんだな」
「そうですね 地下駐車場はお願いしてもいいですか?」
「うん 分かった でも本社サイドではなく銀座の経費になるぞ」
「でしたら 毎月戻入をしてもいいですよ 要は個人よりも法人のほうが
先方でもきちんと管理をしてくれると思いますし」
「そうだな わかった 車は何時から使う」
「ええ 秘書が決まってからで良いと思います」
「うん そうしたら西野君に話しておくから 後日 西野理事と詰めてくれ」
「はい ありがとうございます」

神山と洋子が次長室に戻ると洋子が
「ふふふ よかったわね」
「うん しかし洋子二世だものな 困ったねぇー」
「なにが?」
「ははは また暴走族の女の子がきたら Gプロのスタッフがみんな
車に乗らなくなってしまうよ」
「ふふふ そんあぁー でも誰を選ぶのかしら」
そんな話をしていると 早速堀田から洋子に電話があり
「はい 分かりました 伺います ええ 大丈夫です」
洋子は電話を切ると神山に
「早速 人選のお電話です 伺ってきます」







2013年5月5日日曜日

Vol.1030 百日紅 -1-62



7月11日 土曜日 快晴
神山は早い時間に次長室に行くと直ぐに杉田の部長室へ向った
アルタの田中幸三が現場で大工の指揮を取っていた
「やあ 幸三ちゃん 早いね」
「あっ 神山さん ええ図面があるので楽ですよ」
部長室は次長室と同じ作りにしたので 小田原工場でも早く作ることが出来
既に床パネルは敷かれていて 建具の墨だしが行われていた
「この床もなかなか素敵だね」
「ええ 次長室の時の最初の配色ですね」
シルバーメタのPタイルを張ったコンパネで床を作り アクセント目地に
ミラーのステンレスが輝いていた
「部屋の幅が5mですが 内寸で4700なんです」
「うん そうすると 次長席よりだいぶ狭いわけですね」
「ええ そうなります」
「しかし 4700あれば充分でしょ 大きな会議はGプロで行えばいいし
この部屋ではせいぜい 5人から8人位入れば良いと思うよ」
「そうですね そのつもりで家具も探し もう直ぐ届きますよ」
「わかった ありがとう でも早いね」
「ええ 渋谷の輸入家具専門店にありましたから そこから入れます」
「ああ あのお店ね 安くていいものが揃っているものね」
「ええ 図面があるので 凄く助かりましたよ 直ぐに選ぶ事が出来て」
「うん ありがとう」
大工が田中幸三を呼ぶと直ぐに大工と墨を確認し 神山に
「神山さん 入り口床ですが 次長室と同じように処理をしておきますね
それと Gプロの部屋との境は 小口を仕上げておいて 扉はGプロに
開くようにしておきます」
「そうだね その方が床の処理が簡単だね いいよ」
床が出来上がったので 後は箱物を備え付けるだけになっていた
「それで 受付カウンターはどうされるんですか?」
「って言うと?」
「ええ 一緒に造っているんですよ なので設置すると思っていたんです」
「そうかー、、、 うん 持って来てよ それで新たに秘書が出来たら
そこに座ってもらうよ それで電話設定も同じにしてね」
「そうすると 入り口のホリゾントも一緒でいいですね」
「うん 一緒で構わないよ そうそう プレートは部長席にしてアルタの
名称も入れて良いよ その方が分かりやすいし」
「ええ そうですね そうしようと思い これがそのデザインです」
【鈴や 販売促進部 専門部長 アルタ 専門部長】と2段で表現された
プレートをみて 神山は
「この部長の後ろに席を入れてください」
「そうですね 部長席ですね 了解です これで直ぐに製作します
それから照明ですが 既存だと暗いので こちらで追加します」
「うん ありがとう 助かるよ」
神山は田中にお礼を言うと次長室に戻り 杉田の秘書の事を考えた

洋子が出勤してきて神山に挨拶すると
「洋子 翔の秘書だけど どうしようか?」
「えっ だって部長でしょ 秘書は付かないわよ」
「うん そこで、、、今 部長席を見てきたら洋子と同じカウンターが
来るようになっていて うーん 考えているんだ」
「えっ カウンターまで来るんですか」
「うん 僕が細部まで検討しなかったから 出来上がっているんだ あーあ」
「まあ 早いですね へぇー」
「それで 今 考えていたんだが アルタの纏めと翔の秘書を兼ねた人物が
一人いると 今後仕事もしやすいと思ったのさ」
「へぇー そんなぁー でもどうなのかしら」
「うーん 何かいい方法はないかな? ほらそうすれば翔のスケジュールや
アルタのスケジュールを把握できている秘書がいれば いちいち本人に
伝えなくても仕事が スムーズに行くでしょ」
「そうね 分かるわよ どうかしら 鈴やでだれか居るかしら、、、」
「そうなんだよ でも秘書兼纏め役が居れば楽になるよな」
「ええ 分かるわよ そうね これから大森さんの所とも緊密な連絡を
するようになるし その度にこちらでは困るし」
「だろ 時田さんに相談してみようか」
「ええ その方がいいわ じゃ私 電話してみますね」
「うん お願いします」
洋子が早速時田に電話をすると 部屋に居るのでOKだと言われた

神山は洋子と二人で時田の部屋に入ると
「おお 山ちゃん どうしたの また洋子といっしょで」
「ええ 実は無理なご相談で伺いました」
「うん」
「杉田君の部屋を作っているんですが 秘書を置く事が出来ないか否か
って申し上げますのは まず杉田君のスケジュール把握 Gプロ面々の







2013年5月4日土曜日

Vol.1029 紫陽花 -16-61



神山はレースで出来たスケスケのロングドレスや キャミソールを見せると
泰子は黒いドレスやハーフドレスを選び 穴あきのショーツを発見すると
顔を真っ赤にして神山に
「ねえ これも買うの? なんか可笑しいいわ」
神山は泰子のお尻を撫でると ピクンと背筋を真っ直ぐに神山を睨んだ
「これは 安くなるのかな?」
「はい お客様 こちらも20%OffでOKですよ」
「そうしたら この商品をお願いします」
店員が丁寧に包装紙で包むと 先ほどの紙袋に一緒に入れてくれた

輸入ランファンのお店を出ると神山は最上階のラウンジに行った
泰子はパフェを注文し神山はカクテルを注文した
「ねえ 泰子 その荷物だけど新しいマンションに置いていこうか」
「ううん いいわ そうすると神山さんと別れるの辛いもの
だからお家に持って帰ります ふふふ」
「ねえ ジャケットとか普段着はどうしているの」
「うーん そういわれると 余り気にしていないわ ほらユニクロとか
安くて丈夫な商品が出回っているでしょ だから気にしていないの
それに そんなにお出かけもしていないし ふふふ 普段はGパンよ
そうそう お仕事だって 性格上あまり派手な格好は出来ないでしょ
だからビジネススーツで充分だし ふふふ 余りお金をかけていないわ」
神山はギフトカードがまだ充分あるので モテリコで普段着を買っても
いいと思った
泰子がパフェを食べ終えたので 神山は再びブティックモテリコに行った
「さあ 泰子 普段着や通勤着を選ぼうよ」
「えっ 普段着って だってGパンだし」
神山は由紀枝や祐子が持っている 7分丈のスパッツやサンダルを見せると
「わぁー 素敵ね 格好いいわね ふふふ でも私に似合うかしら」
店長がニコニコして試着を勧めると 泰子が着替えて神山に
「どう 似合っているかしら?」
「うん 大丈夫さ ねえ店長」
「ええ お似合いですよ」
泰子はサイズを確認すると スパッツ2本とサンダルをレジに置いた
「ジャケットはどう この色が素敵だよ」
神山は淡いピンクの綿麻混紡ジャケットを選ぶと ニコニコして
「ふふふ ちょっと着てみますね」
「ほら似合うよ それでさっきのスパッツ 絶対に決まりだよ そうしたら
このTシャツも一緒に買えば良いよ 汚すだろうから3着くらいどう」
泰子が頷くので ジャケットとTシャツもレジに置いた
神山は麻100%のジャケットを探すと 泰子に
「ねえ さっきのジャケットも良いけれど こっちは麻100だよ どう
それに 麻らしく光沢があって素敵だよ」
神山が選んだのは淡いライトブルーで 泰子にぴったり似合った
店長も似合うと思い ジャケットを泰子にかけると
「大変 お似合いですよ 素敵過ぎます」
「まあ お上手ね ふふふ そうしたらこれもいいかしら」
店長がジャケットをレジに持っていくと バックスキンのバッグを持ち
「お客様 このショルダーバッグは如何ですか あのジャケットにお似合い
ですし 秋冬のファッションになっても充分利用できますよ」
神山が頷いていると泰子はニコニコして
「ふふふ じゃこれもお願いします」
ショルダーバッグが高かったが それでも73万円で収まった
精算する時店長が30%Offにしてくれたので51万円ですんだ
泰子は先ほどのコートと一緒に届けてもらうよう店長にお願いをした

店を出ると泰子は神山と腕を組み嬉しそうに歩いていた
「さあ 欲しいものはもう無いのかな」
「うーん 一杯あるけれど 今夜はこれでいいわ だってもう一杯よ」
「うん 分かった じゃ そろそろ帰るとするか」
「はーい そうね もうこんな時間ですもの」
神山はホテルのタクシー乗り場で泰子にタクシー代を渡し見送った
自分も次のタクシーでスタジオに戻った
スタジオでは祐子が待っていると思ったがまだ帰っていなかった
簡単にシャワーを浴び スタジオでビールを呑みながら寛いでいると
祐子が帰宅し神山に
「遅くなって ごめんなさい」
「ううん いいよ 楽しかった」
「ええ 今夜はナイターの打ちっぱなしに行ったの そしたら由貴さんや
桃子ちゃんと一緒になって 新しいお寿司屋さんを教えて頂きました」
「ああ 安くて美味しい所だろ でもよく入るね」
「まぁ でもほら今夜は練習場に行く事を先に決めていたから パスタを
軽く食べただけなの ふふふ お寿司も一杯食べたわ そうそう
桃子ちゃんが凄く上手になったわ 驚いたぁー ほんと 泰子さんが
レッスンしたからだって そう言っていたけれど あんなに上達するんだ」
「へぇー 楽しみだね そんなに真っ直ぐに飛ぶんだ」
「うん 真っ直ぐだけじゃなくて 左や右も自由に飛ばせるわ もう私
負けるわ わぁー どうしよう」
「おいおい これから毎晩 練習すればいいでしょ 大丈夫だよ」
「ほんと 練習ですね うん お昼はプールで体を鍛えて 夜はゴルフ」
「へぇー プロだよ それって でも時間があればいいじゃないか」
「ほんと ありがとうございます」
神山は冷蔵庫から缶ビールとおつまみを持ってくると祐子に勧めた
「よし そうしたら来週にでも身内だけでゴルフをするか?」
「わぁー 私頑張るわ よーし絶対に80を切るんだ」
「おいおい そんあぁー しかしみんなが上達するっていいよね」
「そうね でもね 余裕がないと出来ないわよ お金と時間かな」
「まあ そうだね」
「それに あのクラブだって 余裕がないと使えないでしょ」
「うん」
「だから私たち 嬉しいなぁー ふふふ」
神山はビールを呑み主賓室のバスルームで祐子と戯れるとベッドに入り
直ぐに寝てしまった







2013年5月3日金曜日

Vol.1028 紫陽花 -16-61



「はい 畏まりました」

お店を出ると泰子は嬉しくて
「ねえ 本当に夢じゃないよね ふふふ 嬉しいわ」
神山は無邪気な泰子が少し羨ましかった
「さあ そろそろ食事にしようか」
「はーい ふふふ 何を食べようかなぁー シュウマイでしょ うーん」
「泰子はシュウマイが好きなの?」
「ええ 大好きよ 特に横浜の崎陽軒のシュウマイは大好き ふふふ
でもね げっぷをすると これまた臭いんだぁー ほんと」
「ハハハ 可愛い女の子がゲップをしても臭いかぁー」
「もう でも美味しくて 横浜の帰りには良く買うわね うん」
「へぇー 横浜に良く行くの」
「うん ほらクリアランスとか 行事があるでしょ その時に
買い物じゃなくて 覗きにいくの それで満足していまーす ふふふ」
「ウインドーショッピングか」
「まあ 似ているわね ふふふ」
二人は中華料理店に入ると ウエイトレスが席を案内してくれた
「まずは 生ビールと小龍包子 えびシュウマイ 焼餃子 蒸し鶏の辛し
ゴマソース 青椒牛肉絲 芝エビのチリソースかな 
各 1人前づつお願いします ご飯は後で注文します」
「わぁー 食べられるかしら デブになちゃう ふふふ
でもね 聞いて ここの小龍包子って有名で ほら新宿の高島屋の中華と
良く比較されているんですよ どちらが美味しいとかって」
「へぇー いままで知らなかったよ」
「ふふふ だって女性週刊誌のネタですもの 私は買っていないけれど
事務所の女の子が読んだあと そこら辺においておくでしょ
それを読むの ふふふ」
「そうだね 僕は殆ど週刊誌って読まないな って言うより読む時間が無い」
「そうなんだぁー それでもデザインできちゃうんだぁー すごい」
「ははは その代わり 色々と目新しい事は頭の中に入れているよ」
「ふーん 凄いなぁー」
話していると生ビールや 注文した料理が次々に運ばれてきた
「では かんぱーい」
泰子はニコニコと神山を見ながら生ビールを呑んだ
「わぁー 美味しいわ」
そう言うと 色々な料理を取り皿に盛り付け 神山に渡した
自身も 神山と同じように盛り付けると 半分以上のお皿が空になった

泰子は丁寧に空のお皿を重ねると 自分の方にずらしウエイトレスに
片付けるようお願いをした
「泰子 小龍包子美味しいね もう少し頂こうか?」
「はーい」
泰子はニコニコしてウエイトレスを呼ぶと小龍包子を追加注文した
「神山さん 紹興酒を呑みたいな 暖かいのが良いわ」
「うん 僕もお願いしよう」
泰子は暖かい紹興酒の2合と酢豚を注文した
二人は点心など美味しく食べると泰子は麺類が良いと希望したので
ノーマルなラーメンを注文し 二人で分けて食べた
「美味しかったです ご馳走様 ふふふ」
神山は店を出ると祐子やカトリアーナを連れて行ったことのある 輸入
ランファンを取り扱っているお店にはいった
泰子は目をキラキラさせブラジャーを探していると 店員が新作といい
商品を紹介してくれた 早速試着すると 日本製と全然違う事に驚き
「神山さん このブラ欲しい 全然違うよ いいでしょ」
神山は泰子が手にしているブラを見せてもらうと 生地が柔らかく 日本の
ようにカップが厚くなく 透けていた レース刺繍も可愛らしく神山は
「そうしたら これに合うお揃いのTバックショーツも買おうよ」
「お客様 こちらの商品はTバックが付いています 大丈夫ですよ」
神山は値札をみるとセットで7万円した
「泰子 だったらさ 1週間分買おうか ほら色々な色が揃っているし」
「わぁー これからの時期にもいいし ありがとうございます それから
このブラにあった スタンダードかハイレグショーツってあるの?」
店員がビニール袋に入ったショーツを出すと泰子は
「そうすると シリーズで揃える事が出来るのね」
「ええ お買い求めできますよ」
泰子がショーツを選んでいる時 神山は店長に
「ギフトカードって使えるのかな」
「ええ 大丈夫ですよ 使えます」
神山はショーツは泰子に任せて ナイトウェアを探した
泰子が呼ぶのでレジに行くと店長が全て20%Offにしてくれ精算した
ブラセット49万円を39万2千円 ショーツ16万円を12万8千円
合計52万円をギフトカードで支払った
「泰子 ちょっときて」








2013年5月2日木曜日

Vol.1027 紫陽花 -16-61



「もう 先輩 苛めないでくださいよ」
泰子が一言
「ふふふ おちんちんからお漏らししているわ 嫌だぁー きゃぁー」
それを聞いた杉田は はっとなり下を向いたが
「なに もう 嫌だなぁー 漏らしてなんかいないよ もう」
「おーや ちゃんと動いているぞ ロボット君」
杉田も気が付いて 頭をかいて泰子にお礼を言った

次長室に戻ると神山は洋子に
「じゃ そろそろ時間だから 帰りましょう」
「はーい じゃ祐子さんとご飯を頂いてきますね」
「うん お願いします」
神山は蒼いBMWの鍵を洋子に渡すと 部屋を出た
銀座通りでタクシーを拾うと渋谷のシブヤ ハイアット ホテルへ向った
少し時間が早かったので 地下のショッピングモールへ行き
ロレックスのお店に入ると店長がにこやかに神山達を迎えた
「ほら 時計が壊れたって どう ロレックスは」
「わぁー 憧れよ 実はね あの時計って社会人になったときに 最初の
お給料で買ったものなんだけれど ほら時刻が分かる程度で良いと思って
ほんと安い時計なのよ 学生時代からロレックスって素敵だなと
ずーっと思っていたわ でもね私のお給料じゃ買えないから 諦めたわ」
「ねえ このロレックスは素敵だよ」
文字盤が少しピンクで 数字の所にプチダイヤがはめ込まれていた
「わぁー 素敵 でもお金が無いわ いいわよ 見るだけで」
神山は店長にギフトカードが使えるか聞くと 快くOKとウインクされた
ロレックスをケースから出して貰い 手に取ると泰子は目が潤んだ
神山は代金370万円分をギフトカードで支払いをした
店長は枚数を勘定する機会に掛け 3回数えると
「神山様 確かに370万円ございました ありがとうございます」
ロレックスを包もうとするので バンドの調節をしてもらい そのまま
腕にはめて店を出た
「わぁー 素敵だわ ありがとうございます ふふふ」
神山は泰子が子供のように無邪気に喜んでいる姿に癒された
暫く歩くとブティック「モテリコ」に着いた
店内に入ると店長が
「神山様 いらっしゃいませ」
丁寧なお辞儀で挨拶をした
神山がコートを見ていると
「おお よかった 泰子 どうこのコート」
「えっ だって」
そう言いながら袖を通し着てみると 着やすいのかニコニコとした
「どう 軽くて暖かいでしょ」
「ふふふ うん 凄く軽いわ いいなぁー」
神山は店長にOffを聞いてみると
「大丈夫ですよ こちらは30% ブーツも30%Offです それで
神山様 新作なんですが如何でしょうか」
「えっ だってこれも新作でしょ」
「ええ このコート 新作ですが アンテナコートなんです」
「アンテナって あのアンテナ?」
「ええ 神山様以外にも随分と人気がございまして 世界中で反響が多く
このコートのもう一つ上のグレードのコートが発表されました
それが こちらのコートです 如何でしょうか」
泰子は店長が勧めるままに袖を通すと 軽さは先ほどと変わりなかったが
暖かさが若干違うと感じた
「ええ このコートの裏地の部分にダウンが入った裏地が縫いこんであり
なので暖かさは先ほどのコートより全然暖かくなっています」
「ねぇー こちらのコートのデザインがいいなぁー ほら少しカジュアルで
それに私に 似合っているでしょ」
神山はそういわれると なるほどと思い値段を聞いた
「こちらは 980万円ですが 30%OKですよ」
神山はブーツもどうかと思い泰子に勧めると気に入ってもらい
あとハンドバッグのデザインがこのコートに似合わないので探した
店長が新作だといい コートに似合ったというかシリーズのブーツと
ハンドバッグを出してきた
泰子はブーツを履きコートを羽織り ハンドバッグを手にすると
子供が一番嬉しい時に見せるくしゃくしゃな笑顔で喜んだ
神山は金額を聞き ギフトカードで支払う事にした
全て30%Offでコートが980万円が686万円 ブーツ120万円が
84万円 バッグ200万円が140万円 合計910万円分のギフト
カードを店長は受け取り 機械にかけ 金額を確認した
「神山様 確かに910万円ございました ありがとうございます」
「それで 自宅に送ってください お願いします」
泰子はお届け伝票に記入すると
「済みませんが 14日以降のお届けでお願いします」






2013年5月1日水曜日

Vol.1026 紫陽花 -16-61



秋山は直ぐにグラスと乾き物を用意すると時田がソファーを勧めた

「杉田君 山ちゃんはな昨日 御殿場の仕事を纏めてきたぞ」
「はぁー」
「副社長 その話はまたでお願いします」
「おう そうだな ところで杉田君 クリスタルはどうだね
グラスのデザインが色々とあると思うが」
「ええ 私が好きなのは先日 先輩から見せられたグラスの形が好きです」
「うん」
「って言うのは 絵を見せていく事を考えると あれ以上大きいと
絵のポイントが分からなくなり 小さいと描ききれません」
「ほぉー なるほど そうか そうするとあの形のグラスがいいと」
「ええ 自身そう思っています ただし 飲みくちのところが 少し
厚く出来ているので もう少し薄く出来ると飲みやすくなると思います」
「うーん そうか ありがとう 山ちゃんはどうだね?」
神山はもしかして 権田から情報が入っていると思い
「経費が掛からなければ 権田社長の意向に沿ったほうが賢明ですが
消費者やコレクターのアンケートを参考にしてもいいと思います」
時田はさすが神山と思い
「さすが良く読んでいるね ははは 権田さんは 杉田君が言ったとおりの
事を話されていた それでワシが本人に聞いておきますと答えたのさ」
杉田はブランデーを呑みながら 乾き物を食べていた
「よかったな 翔 これで仕事がしやすくなったな」
「はい ありがとうございます 先輩や社長のお陰です はい」
杉田の顔がどんどんと赤くなってきて 時田が
「おい 杉田君 大丈夫か?」
「はい 大丈夫です お祝いですから せめて顔だけでも赤くしています」
「ははは 山ちゃん 参ったなぁー おーい秋山君 水」
秋山はやり取りを聞いていて 直ぐに氷と水を用意し杉田に渡した
「洋子 頼もしい部下が出来たわね ふふふ ほんと昔の常務みたい」
「そうね 頑張って欲しいわ ふふふ」

「山ちゃん 権田さんが えらく大森さんを気に入ってね」
「ええ」
「ゆくゆくは 販売全てをうちでやりたいと言われているんだよ」
「うーん 駄目ですね ARXとの契約違反になります」
「そうか 何かいい方法はないかな」
神山は暫く考え
「これはリスクを伴いますが いいですか」
「うん」
「うちの傘下にする事です そうすればARXとの契約も大丈夫です
ただし 人件費やマシンのランニングなど リスクが発生します」
「そうだな 困ったものだ」
その話を聞いていた杉田が
「でも先輩 そのリスクって 会社を一から立ち上げるより安いし
クリスタル大和ってブランドを残せば経費は半減できないですか」
「うーん 大森社長が はいそうですかって 応じないと思うし それに
あそこは親族でグラス製作所やガラス粉製作所など持っているんだ
なので 一番下から傘下にしないと 弊害や問題が出てきて 運営事態が
上手くいかなくなる可能性は大いにあるんだ」
「そうか そこまで調べているんだな わかった」
「ええ なのでクリスタルは鈴やの販売ラインで売り上げを
伸ばして行こうと考えています 他の百貨店には多分入らないと思います」
「そうか 分かった 権田さんから連絡があったら そのように伝える」

時田は席に戻り引き出しから包みを取り出し杉田に渡した
「おう 頑張ってくれ 頼んだぞ」
「はい 副社長 ありがとうございます」
杉田は丁寧にお辞儀をすると 包みを受け取り 神山たちと部屋をでた
秋山が杉田に紙袋を渡し
「部長 この中に入れてください」
「はい ありがとうございます」
杉田は真っ赤な顔をして 各理事に挨拶に廻った
全員の理事からご祝儀を貰った杉田は神山に
「先輩 先輩の時もこんなに頂いたんですか?」
「ははは 全然 貰っていないよ ねぇ洋子」
「ええ 部長さんの時には全然 頂いていないわ だから部長さんで
副社長や理事から頂いたのは杉田君が始めてよ ふふふ」
杉田は喜んでいいのか 緊張していて段々と体の動きが鈍くなり
両足と両手が思うように動かなくなった
その格好を見た洋子が
「神山さん この格好よ 今朝 ふふふ もう ロボットよ」
神山や泰子もみて大笑いしたが 本人は笑えずにぎこちなく動いていた
「おい 翔 美佳さんにこの事話てあるのか 僕は緊張するとロボットです」