2013年1月30日水曜日

Vol.935 紫陽花 -12-57



「あいよー そうそう 美味しい照り焼きがあるけれど どうする?」
「うーん みんなが揃ってからでいいよ そうだ 10分したら焼いてね」
「あいよ 10分したら4つでいいかい」
「ええ 人数分焼いてください」
やり取りを聞いていた桃子が
「神山さんて 良く気が付くのね 改めて感心しました ふふふ」
桃子は神山の顔をまじまじ見つめながら 微笑んだ
「おいおい いつもそのつもりだけどな でも褒められたんだからいいか」
「そうよ いいでしょ こんなピチピチに寂しい思いさせて もう」
「わかった ごめんごめん そろそろ元気になったよ 大丈夫さ」
桃子は神山が元気と言うと 顔を少しピンクに染めて俯いた
「こらぁー 自分で言い出しておいて でもごめんね 時間を作るよ」
「ほんと 嬉しいわ でもね 今日からレディースディーなのよ 残念ね」
「そうか 分かった じゃその後だね」
「祐子さんと一緒でもいいよ 全然気にしていないし 楽しいもん」
「分かった 時間を作ります」

二人の約束が成立した時に 祥子と由貴が店に入ってきた
桃子が直ぐに気が付き由貴に手を振ると 由貴も合図に答えた
「やあ こんばんわ 先に頂いています」
「ごめんなさい お忙しいところ 時間を作っていただいて」
「そんな事はないよ これもお仕事ですからね 僕にとっては大事な時間さ」
祥子は少し躊躇し
「でも 良かったわ 改めてGOLのことを話せるし よかった」
祥子と由貴が落ち着いたところで 女将がビールとおつまみを運んだ
「ではGOL成功を祈願して かんぱーい」
みんなでジョッキをカチンと合わせると祥子が
「それで 早速で申し訳ないのですが メンズをどの様に位置づけし
どの様に展開するか 全然検討が付かないんですよ
あと ブースデザインは先日の打ち合わせで拝見しましたが
商品展開方法など ランニングを考えて行きたいと思っています」
神山は祥子がこの時期からGOLの事を考えてくれている事に
嬉しく思い 出会ったときの祥子を思い出した

「メンズはあくまでも御殿場発進のデザインで 全国展開の様子見と
位置づけする事は 知っていると思います ある部分アンテナです なので
婦人服との関連付けは考えなくてもいいと思います どうだろう浜野さん」
「はい 私も初めての事なので はっきりは分からないのですが
商品構成が全然違うステージなので 無理やり関連付けさせるより
見せていく部分で 例えば小物などで 雰囲気を醸し出す方法とか
逆に アンバランスな商品群を同じステージで展開しても面白いと思います」
「ええ 私も由貴先輩が話したように メンズがどのような形で
出来上がってくるか分からないじゃないですか だったら無理やり
同じステージで見せていかなくてもいいと思いますよ」
「そうだ 浜野さん メンズは僕のファッションが基本になるよ どうかな」
祥子は事前に知っているので クスクス笑い神山の手を取り立ち上がると
「ねえ どうかしら 似合っているかしら ふふふ」
神山以上に由貴と桃子は驚いていると 祥子は更に腕を組み
「こんな感じよ どう 似合っている?」
神山は完全に何もいえない状態だったが 由貴が落ち着いて
「神山さん マネキンの使い方で大丈夫だと思います
例えば 顔のメイクがないものや そうもっとシンプルに 目と鼻がない
シンプルなボディーなんかだと イメージが沸いて来ますよね」
「そうそう 変にメイクや顔の形があるとイメージが 固定されるでしょ
でも 何も無いとイメージが膨らんで ステージの違う商品でも
同じステージで展開しても全然 可笑しくないですよ 大丈夫です」
神山は漸く心に余裕が出来 席に座ると
「久保さん オープニングは僕達が 精一杯演出します しかし
ランニングについては まだなにも決まっていないんです しかし
イベント関係や 各ブースの集客プランについてはGプロで行います
そこで ディスプレイやVMD(ビジュアルマーチャンダイジング)は
まだ はっきりと決まっていません なので今後の課題となります
当然 婦人服の新作とメンズの新作を展開しますが 大規模な構想だと
当然予算が絡んできます そこだけですね」
「そうすると 展開するには 私たちの力では限られた演出しかなく
ランニングを考えていくと 少し無理が出てきます そこで提案ですが
神山さんがポールに掛け合って頂き ランニングの予算捻出を
お願い出来ませんか そうすれば安心して 計画する事が出来ます」
神山は暫く考えたが 祥子のいう通りなので
「分かりました メンズアドバイザーと言う立場とGOLデザイナーと言う
ところで 経費の捻出を相談します 最悪はNNジャパンになり
筒井さんにも報告させていただく事になります 
でも 大丈夫ですよ ポールは分かってくれますよ」
神山の話を聞いた ニーナ・ニーナの面々は一安心した





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