「はい お待ちしています」
神山は洋子に亜矢子との事を伝えると
「へぇー 遂に亜矢子御殿かぁー 凄いわね」
「まあ 上物はせいぜい 1億だね それ以上かけても贅沢だよ」
「そうね お母様の事を第一に考えないといけないし」
神山はもしかして 家が建つのを機会にホテルの仕事を
引退するかも知れないと思った
ソファーで寛ぐと 今夜の宿を決めかねていた
「ふふふ カトリアーナに会って来たらどう、、、」
「うーん それもそうだね、、、でも明日がきついな 近い所がいいな」
神山はカトリアーナのことも考えたが 強羅に泊まる事にした
早速 強羅にあるザ ホテル 強羅へ電話すると部屋を予約できた
神山は祐子に電話をして 今夜は帰れない事を伝えた
「じゃ そろそろ時間なので これで失礼するよ
洋子も切り上げて 明日はゆっくりでいいよ」
「はーい そうそう アレックスJPの軍資金はどうされますか?」
「うん 近いうちに行きます 電話があったらそのように伝えてくれる」
「はい 行ってらっしゃい」
神山は蒼いBMWに乗ると高速に入る前に ガソリンを入れた
首都高から東名高速に入り 御殿場ICまでそんなに時間は掛からなかった
御殿場駅前寿司の暖簾をくぐると 女将が
「離れで お待ち兼ねですよ 今日は何を食べるの」
「うーん ちょっと打ち合わせだから、、、不動産屋は来ているの」
「まだよ 不動産屋はいつも時間に来るから もう直だと思うわ」
「じゃ 先に離れに行きます」
女将に 案内され離れの部屋に入ると 亜矢子がお茶を飲んでいた
「まあ 早い事 ふふふ」
「うん 高速が空いていたからね」
女将が下がると 亜矢子と神山は軽くキスをしたが
「ねえ もう駄目よ これ以上は 分かっているでしょ ふふふ」
神山は仕方なく 亜矢子の隣に座ると
「ねえ ビールでも呑もうか 喉が渇いたな」
「運転は」
「うん 30分も寝れば大丈夫さ」
神山は電話で女将に ビールを注文した
女将がビールと鮮魚のおつまみを運んできて 暫くすると不動産屋が来た
不動産屋の社長は由紀枝のマンション紹介のときを侘び 話が進んだ
亜矢子に紹介された土地は ホテルとは離れていて御殿場駅の東側の場所で
近くに癌治療に精通した病院があるというところだった
「そうすると 県の予定では長泉町に県立ガンセンターが出来るわけですね」
「ええ ですから 桜川様が勤務される ホテルより病院に近い方が
いいと思いますし ここにも腕のいい先生がいらっしゃいます」
「どうですか 桜川さん」
「ええ こちらの方が 普段の生活に不便は感じないわね うん」
「うん そうしたら 明日にでも行きましょう 明日は現場でいいですか」
「ええ この地図で間違いございませんので お願いします」
弟の建築会社社長が建物のプランを提示した
亜矢子と神山が眺めていると 年寄りの生活空間と亜矢子の生活空間を
ある部分融合させ ある部分では切り離したプランだった
例えば庭については 母親の部屋からは 庭に出るのに電動式の椅子が
庭に移動するよう設計され 亜矢子の部屋からは その移動を制御できる
システムになっていた
母親の寝室には 病院が管理できるカメラやマイクなどが設置される予定で
神山もここまで 親身に考えてくれる社長の弟に敬服した
「では 建造物のプランは検討させて頂きます いいね桜川さん」
「ええ 私も大変喜んでいますよ ありがとうございます」
「桜川さん 神山さん 本日はありがとうございます
では 明日10時に現場でお待ちしています」
不動産屋が部屋から出て行くと 女将が部屋に来て
「神山さん 不動産屋が嬉しそうに出て行ったよ よかったね」
「まあ 彼女が気に入ってくれれば 問題ないですよ」
「あの土地は広すぎて 買い手がつかなかったんだよ
でも 直ぐ傍に 腕のいい先生がいて いい場所だよ よかったね」
神山は女将に30分程眠る事を伝え 奥の部屋に用意された床に横になると
「亜矢子 30分したら起こしてください」
亜矢子は頷き 神山の頬にキスをすると 座卓で土地の図面を見ていた
「さあ スッキリした ありがとう」
「どういたしまして」
神山は亜矢子に起こされると 軽くキスをし帰り支度をした
亜矢子も座卓に広げていた図面をたたみバッグに仕舞うと
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