7月1日 水曜日 快晴
神山はいつものように早く目が覚めると 祐子の寝顔をみてテラスに出た
今日は本社とアルタで辞令が発令され また大変な一日になる予感がした
「ねえ 神山さん この頃 洋子さんと上手く行っているの」
「なんで?」
「うん ちょっと寂しそうにしていたから」
神山はその言葉が 朝になっても残っていて考えてしまった
そう言われれば ゴルフをしてからは みんなと余り関係していなかった
洋子と由紀枝は鎌倉と強羅旅行で交わったが由貴や桃子 カトリアーナと
関係がなくなっていた
しかし 自身の元気が無くなっているのも確かだった
神山が考えていると 祐子が起きてきて 朝食の準備をするため
一緒に下がった
神山は久しぶりにゴルフクラブの素振りをし 汗を流した
主賓室でシャワーを浴び 簡単に汗を流し スタジオで朝食を食べ
朝寝をした
「じゃ 行って来ます」
「はーい 行ってらっしゃい」
「今日は 遅くなる 先に寝ていていいからね」
神山は蒼いBMWで銀座の次長室へ向かった
9時に次長室へ入ると洋子が出勤していて
「やあ おはよう」
「おはようございます ねえ 今日はあのスーツに着替えませんか
私は NNのスーツで辞令を頂きますよ」
「そうか、、、うん着替えよう」
神山は祥子から貰ったドレスシャツにNNのスーツを着た
「やっぱり素敵よ ふふふ」
洋子はそういうと神山にキスをした
以前の神山なら抱き返して 交わるところだが 元気がないのと
時間が無いので 支度に専念した
9時15分になると二人はお揃いのスーツ姿で部屋を出ると 催事課の
みんなが 全員で拍手してくれた
「ありがとうございます でも照れるから 止めてくださいよ」
そういい 本社ビルの8階へ行くと フロアのみんながお辞儀をして
迎えてくれた 秘書室の秋山が
「神山次長 お似合いですよ ふふふ どうぞ」
副社長室へ通されると 社長の権田や理事全員が迎えてくれた
秘書部長の中村が
「では 神山次長が来られましたので、、、」
時田が言葉を遮って
「君 田所君を忘れてはいかんな」
「はっ はい 申し訳ございません」
このとき権田や理事も大笑いし
「訂正いたします 神山次長と田所部長が来られましたので
これから 特別人事命課を行います 神山次長どうぞ」
神山は呼ばれて 権田の前に行った
「神山 龍巳 殿 右のもの 本日を持って東京本社次長常務を任命する
平成10年7月1日 株式会社鈴や 社長 権田三朗」
神山は信じられないことが起きたと思いながら命課を手にした
中村部長が田所洋子を呼ぶと
「田所 洋子 殿 右のもの 本日を持って東京本社次長常務 神山龍巳の
専属秘書理事を任命する
平成10年7月1日 株式会社鈴や 社長 権田三朗」
洋子は落ち着き払い 命課を手にした
中村部長が神山を呼ぶと
「神山 龍巳 殿 右のもの 本日を持って鈴や食品副社長を任命する
平成10年7月1日 株式会社鈴や 社長 権田三朗」
神山は再び命課を手にし下がった
洋子はここで終わりと考えていたが 中村部長が呼び
「田所 洋子 殿 右のもの 本日を持って鈴や食品副社長 神山龍巳の
専属理事秘書を任命する
平成10年7月1日 株式会社鈴や 社長 権田三朗」
洋子はこの話を聞いていなかったので 驚き時田を見ながら深くお辞儀をし
辞令を手にして 下がった
列席していた理事たちから拍手が沸いた
社長の権田三朗が近寄ってきて
「神山さん 頑張ってください 期待しています」
「はい ありがとうございます ご期待に添うよう頑張ります」
また拍手が沸いて 神山と洋子の儀式が終った
時田が神山のところに来て
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