2013年1月15日火曜日

Vol.920 紫陽花 -12-57



「山ちゃん 驚いただろ ははは」
「もう 心臓が破裂しそうです」
「正式には8月の株主で了承される 問題ないよ ははは」
「しかし 次長常務って始めて聞く言葉だし 実感が沸かないですよ」
「ははは ワシのすぐ下だよ だから池上君より上だ そのつもりでな」
「はあ 店長より上ですか、、、」
「そうだ 全店の店長より上だよ トップ3だ」
「はあー ありがとうございます」
神山と時田が話していると洋子が呼ばれ
「洋子さん どうだ理事は」
「ええ 驚いています ありがとうございます」
「中村君 例のものを用意してくれ」
権田や理事たちが副社長室から出ると時田は神山と洋子にソファーを勧めた
中村部長や秋山がシャンパンを用意し時田が
「権田さんに声を掛けてください」
3人は権田が部屋に入ってくると お辞儀をし時田が
「では 新しい次長常務に乾杯」
4人はグラスをあげるとシャンパンを飲んだ
「神山さん 時田さんから伺いました 私財を鈴やの為に使って頂き
本当に感謝しています 心から御礼申し上げます」
「はい ありがとうございます でも 社員だったら当然ですよ
GOLで早期撤退はしたくありませんからね」
時田が
「社長 お話したとおりの人間です 頼もしいではありませんか」
「そうだね 時田さんが3億 私が4億 神山さんが2億
絶対に潰してはいけませんね 時田さん」
「ええ 鈴や食品の副社長ですから 大丈夫ですよ」
神山は鈴や食品ブースの予算のからくりを初めて聞いて驚くのと
同時に責任感が沸いた
結局 最初から鈴や食品の予算は3億しかなく 10億にしたのは
二人の私財出資でできた数字だった

4人がシャンパンを飲み終わり権田が出て行くと時田が
「洋子 山ちゃん これ少ないけれど気持ちじゃ
それから今日は理事達もはずむだろうから 誰か来て貰った方がいいな」
神山は頷くと催事課の杉田と屋敷を呼んだ
杉田と屋敷は副社長室に入った事が無く 秘書室前で探していると
「催事課の杉田さんですか」
「はい 神山先輩から副社長室に来るよう言われたんですが
副社長室が何処だか 分からないんですよ 何処ですか?」
秋山由実子はつい数ヶ月前の神山とオーバーラップし クスクス笑い
「こちらですよ どうぞ」
秋山に案内され 杉田と屋敷が部屋に入ると秋山は堪えていた笑いを
堪えきれずに 笑い出してしまった 時田が
「どうした 秋山君」
「ええ 数ヶ月前の神山次長とそっくりなんですよ
物怖じしない態度は ほんとそっくりでした ふふふ」
杉田は何を言われているのか分からなかったが
「でも ただ副社長室を探していただけですけどね 可笑しいのかな テツ」
「いいんじゃないですか 可笑しくないですよ」
それを見ていた時田はニコニコして杉田を呼び
「だいぶ力を付けて来たみたいだね 奥ちゃんからもいい報告を聞いている」
時田はそういうと席に戻り 引き出しから50万円出し
「杉田君 ほら こちらに来なさい」
杉田が時田のところに行くと お小遣いと言われ封筒を貰った
屋敷にも手渡しで5万円を渡すと
「山ちゃん いい部下を持ったな そして育っているな いいことだ」
神山はお辞儀をしながら 挙式の事を考え
「実は社長 翔は9月23日にホテルオートモで挙式と披露宴を行います
是非 ご出席をして頂き ご祝辞をお願いします」
杉田本人は信じられずにきょとんとしていると神山が
「翔 ちゃんと挨拶をしろ ほら」
「しゃ 社長 お お願いします、、、」
杉田はそれだけ言うと 神山と同じようにお辞儀をした

「杉田君 おめでとう 分かった出席させて頂くよ
中村君 9月23日は空けてくれ いいな」
「はい 分かりました 行方不明にしておきます」
杉田と屋敷は意味が分からなかったが 神山や洋子は大笑いした
「でも 杉田君 凄いな オートモとは」
「はっ はい 先輩と内藤さんのご協力です はい」
「ははは そうか 山ちゃんの仕掛けか なるほど それで
相手の方は 何処の方だね」
「はい アルタで受付をしています」





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