2013年1月17日木曜日

Vol.922 紫陽花 -12-57



「今 時田副社長から電話で特別人事の話があったんだ」
「ええ 外商でしょ」
「うん 今日の電話は杉田君の進級の話だ」
「えっ 翔が進級ですか、、、はあ、、、」
「9月23日にオートモで挙式だそうだね」
「えっ 何も聞いていませんが オートモですか 翔が、、、へぇー」
「山ちゃんと内藤さんが仕掛けたそうだ」
「はぁー あの二人なら仕掛けますね」
「それで 全理事に出席をお願いしたんだと」
「えっ 全理事にですか、、、はぁー、、、」
「副社長も出席されると言われているんだ」
「えっ 副社長もですか、、、凄い事になりましたね」
「そこで 今 人事で調べたが あと1年で課長なんだ でも副社長は
早く課長にしてあげろ って もうこちらも大変なんだよ 奥ちゃん」
「わぁー そうすると人事考課の変更ですか」
「うん 出来るところまで あげてくれ いいね ほら銀座店の事だろ
本社のように 行かないところがあるから」
「はい ありがとうございます では副社長にお礼の電話を入れます」
「うん 今日は凄く機嫌がいいよ そうそう屋敷君がシャンパンを
がぶがぶ飲んでいたら 杉田君が注意したんだそうだ
それが 山ちゃんとオーバーラップした様子みたいだ
物怖じせず 堂々と話せるところは山ちゃん譲りだとさ よかったな」
「はい わかりました」

池上店長が催事課の部屋から出ると奥村は杉田を呼び
「翔 池上店長からだ 8月1日に課長だ」
「えっ 本当ですか もう うそ言って 僕のお小遣い狙っても駄目です」
「違うよ 副社長命令だよ これは」
奥村は池上との話を掻い摘んで伝え
「なので 副社長の期待を裏切らないよう 行動してくれ いいね」
「でも 普段の行動していれば 大丈夫でしょ わかりました」
「しかし翔も 凄い人をバックにつけたな 大したものだ」
杉田は席に戻ると 現金を鍵のかかる引き出しに入れた

次長室では神山が洋子とご祝儀を見て驚いていた
「凄いお金ね」
「うん 洋子も一杯貰ったね すごいね ほんと」
神山は副社長と全理事から3億2千万円貰い 洋子も1億6千万円貰った
「アルタは11時だから 10時30分に出よう」
「はい 分かりました そうすると銀行にいけないわね」
「うん ロッカーに仕舞っておこうよ」
洋子と神山は現金をロッカーに仕舞い鍵をかけた

アルタに少し早く着くと 洋子が美佳に
「おめでとうございます よかったわね」
小谷美佳は顔を赤らめ 丁寧なお辞儀をした
「でも まだ信じられないんですよ オートモで式を挙げるなんて」
「大丈夫よ そうそうゴルフの時の仲間を呼んであげればいいわ
みんな独身でしょ 羨ましがるかな ふふふ」
「そうですね そうします でも 大丈夫かしら 水曜日って大変でしょ」
「大丈夫よ 早めに連絡すれば ねっ」
「ええ 後で住所と電話番号を教えてください」
「はい ではFAXしますね」
「お願いします」
3人が受付で話をしていると 内藤が来て
「やあ 山ちゃん 早いですね」
「ええ 最初から遅れると不味いですからね」
「そうしたら 会議室に行きましょうか 準備は出来ています」
3人はエレベーターで会議室に行くと 秘書課長の案内で席に座った
会議室は過日の役員が全員並んでいて 内藤社長が辞令を読み始めた
「神山 龍巳 殿 右のもの 本日を持って株式会社アルタ
担当副社長を任命する
平成10年7月1日 株式会社 アルタ 社長  内藤 一哉」
神山が辞令を受け取ると 丁寧にお辞儀をして下がり 洋子が呼ばれた
「田所 洋子 殿 右のもの 本日を持って株式会社アルタ
担当副社長 神山 龍巳の専属秘書理事を任命する
平成10年7月1日 株式会社 アルタ 社長  内藤 一哉」
洋子も深々とお辞儀をすると 辞令を手にし 席に戻った
儀式が終わり役員からは拍手が沸いた

役員が部屋を出て3人が社長室に入ると内藤が
「しかし山ちゃん 味方に付けてよかったです もし敵なら
私の会社は 完全に潰されていますよ」
「そんな事は無いでしょう まずGOLの成功を目指しましょう」





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