「ええ いいわよ でもどうかしら ねぇ神山常務」
神山は下を向いていたが
「あのね 洋子さん もう苛めなくてもいいでしょ
折角の料理が不味くなるし ねえ 秋山さん」
秋山は突然振られたが クスクス笑いながら
「頼もしいスーパーマンを 苛めると潰されますよ 苛めない方がいいわ」
「おっ さすが秋山さん ありがとうございます」
「しかしね 神山常務 ファンとしては結婚して欲しいし 欲しくないし
凄く 複雑な思いをしているんですよ 分かるかしら」
「はぁー 済みません うぶですから 乙女心が分からず」
「本社の8階では 殆どの女性が神山常務のファンですよ ご存知?」
「えっ 全員ですか、、、知らないです せいぜい人事の子だと
思ってましたが 全員ですか 参ったな ねぇ洋子」
「知りませんよ ご自分が鈍いんです もう 私も大変なんですから」
「へぇー なにが?」
「もう 貴方と話したくて電話が来ても 私が処理をしているの」
「そうか ありがとう へぇー」
時田と権田はニコニコしながら 話を聞き箸を進めていた
食事が終わりに近づくと権田が茶封筒をだし神山に
「山ちゃん これは我が社の株券だ 私からの気持ちだ
受け取ってください 名義は本日付けで変更してある」
「はい ありがとうございます 大切にいたします」
「それから田所さん これは貴女にだ どうぞ」
洋子にも茶封筒が渡され 洋子もお辞儀をして挨拶をした
「ありがとうございます」
神山はそろそろ引き上げ時と察し 女将に
「女将 こちらの分を纏めて欲しいのと しめ鯖だけどつまみと
握って貰って お土産にしてください」
女将が神山に
「あちらの分はどうされますか」
「ああ 一緒でいいですよ 纏めてください お願いします」
時田と権田は神山がNNの分まで持つのが分からなかったが 洋子が
「常務はNN東京支店のメンズアドバイザーに就任されました
なので 筒井さんと会社名こそ違いますが 同じNNの仲間です」
洋子は神山がニーナ・ニーナのアドバイザー就任の経緯を掻い摘んで
説明すると 時田や権田 前田や秋山は驚いていた
「ほー 神山さん 素晴らしいですね 私もモーガン氏とは
2回ほどしかお会いしていないが そうですか 頑張ってください」
洋子が更に支店長直轄職と言うと権田は
「へぇー そうすると 世界でトップ10に入る訳ですね へぇー」
権田は改めて神山の才能を褒め称えた
本社ビルで権田や時田と別れ 次長室に戻った神山は株券を調べた
「洋子 10万株だよ 凄いよ」
「私も2万株あるわ 凄いわね」
「うん 持っている人は 持っているんだね」
「ええ そうね だから鈴や食品のブースにも私財を出せたんでしょ」
神山が次長席に戻り 株券を鍵のかかる引き出しに入れると電話がなった
洋子が取ると
「あなた 亜矢子さんから電話です」
神山は自分の席に電話を廻して貰うと
「神山です ご無沙汰しています」
「ほんと 全然連絡ないし 寂しいわよ」
「まあまあ ちょっとGOLで忙しくて ごめんなさい」
「ふふふ ねえ 今夕ですが 例の不動産屋さんと会うんですが
よかったら 立ち会って頂けないかしら」
「うん いいよ それで何処なの 場所は」
「ええ 御殿場駅前のお寿司屋さん あそこよ」
「ああ 了解です それで明日は」
「ええ 明日は10時から土地を見て 良かったら契約するわ
だから 明日も立ち会って頂きたいのよ」
「うん 分かった そうすると 土地の購入だけで 建物はまだなんだ」
「ええ 建物は2,3プランを持って来ると言っていたわ」
「分かった 何時に寿司屋?」
「ええ 4時半に離れですって」
「そうか 分かった」
「ふふふ 由紀枝さんと逢いたいでしょ」
「しかし 亜矢子の個人的なことだから 不味いよ それより
宿泊先は手配したの?」
「ううん 貴方に任せるわ 但し 自分のホテルは嫌よ そうそう
素敵なコートありがとうございます ブーツやバッグまでも」
「いえいえ 気に入ってもらい良かったよ
それでは遅刻をしないように伺います では」
.