2013年1月5日土曜日

Vol.910 紫陽花 -11-56



「じゃ 行ってきます 何かあったら携帯までね」
「はーい 行ってらっしゃい」
祐子はニコニコし 神山を見送った
神山は赤いポルシェで桃子のマンションへ行くと
「わぁー おはようございます 早いですね ふふふ」
神山は桃子を抱きしめるとキスをした
「神山さん 駄目ですよ もう 今はそのモードじゃないから ふふふ」
二人は宝くじを確認をして 前後賞の宝くじは神山が貰った
渋谷の銀行で換金すると桃子は
「さあ これからゴルフの練習よ ふふふ」
「分かったけれど 余り上手になると 僕の出番が無くなるよ」
神山は桃子を自宅まで届けると 銀座の次長室へ向かった

次長室に入ると洋子が出勤していて
「おはようございます 早いですね」
「おはよう 洋子だって早いじゃないか」
「ええ 連休したから 早く出てきました 早速ですが 警備室に
お中元が届いているのと 秘書室に書留が届いていると言われました」
神山は催事課で台車を借りて 警備室に行くと
「神山さん もうここもお手上げです 見てください」
神山は案内された 待機室に行くと長椅子や床までお中元の山だった
「凄いですね 早速持って行きます 済みません」
神山は10往復して次長室に持って来ると 洋子が
「わぁー どうするんですか こんなに」
「うん 配送課の倉庫に入れるよ 住所を控えてお礼状を出してください」
「そうそう 秘書室だけど 台車で来て下さいって」
神山は洋子を連れ 台車を持って秘書室へ行った
秘書室の秋山が神山を見ると
「凄い量ですよ 一応紙袋に入れておきましたが 初めてだわ」
「いつも済みません では持って行きます」
神山は秋山にお辞儀をすると 洋子と一緒に次長室に戻った
紙袋8個を次長席に置くと 完全に仕事が出来ない状態だったが
洋子と二人でお中元の整理を始めた
神山はお届け伝票を剥がし 配送から借りてきたコンテナに積み込み
鍵のかかる倉庫に仕舞った
部屋に戻ると洋子が書留を整理していて
「全部 住所は控えました」
「ありがとう しかしコンテナ3台分だもの 凄いね」
「わぁー 考えただけで お歳暮が大変だわ あーあ」
「おいおい そんなに嘆かないでしょ お願いします」
「書留は全部で167社です お中元と併せ直ぐにお礼状を出します」
「うん お願いします」
神山は書留をあけて中身を整理した
ギフトカードや商品券が52社で5千万円分あった
現金が115社で1億8千5百万円あった
「洋子 ハイ 夏のボーナス」
神山は商品券8百万円分渡すと
「えっ いいんですか」
「要らないなら 返してもらうよ」
「はーい 頂きます ありがとうございます」
残った4千2百万円分のギフトカードを洋子に
「これを 由紀枝 由貴 桃子 カトリアーナ 亜矢子 祐子に
各7百万円ずつ送って欲しい 速達小包で大丈夫だよ カトリアーナは
ホテルに送ったほうがいいね」
洋子は頷くと 早速小さなダンボール箱に入れ郵便局で手配した

「あーあ 漸く終わったね お昼を食べに行きましょう」
「ほんと 午前中は仕事が出来なかったわ ふふふ うなぎにしましょうよ」
「では 行きましょう」
二人は鈴や店内のうなぎ屋に入ると 仲居がニコニコして奥座敷を案内し
「いつもと同じでよろしいですか」
「ええ お願いします」
暫くすると生ビールやおつまみが運ばれ 
「洋子 ありがとう 助かりました」
「どういたしまして ふふふ でも凄い量ね」
「うん 現金だけでいいのに」
「ふふふ 贅沢な悩みよ」
二人が食べ終えると 神山は商品券で支払いをして店をでた
次長室に戻り 仕事に集中していると神山に電話があった
「はい 神山ですが」
「神山理事 私は日本繊維品質管理協会 東京事務所の引田泰子と申します
実は理事宛の書留が事務所で一杯になり ご連絡を差し上げました」
「ああ 先日の引田さん ありがとう それではこれから直ぐに
伺うようにしますが 他に連絡事項はありませんか」





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