2013年1月22日火曜日

Vol.927 紫陽花 -12-57



「明日が楽しみです 腕のいい先生が直ぐ傍なら 安心できるわ」
「うん 僕もそう思うよ まずは土地を見てからだね」
神山は離れを出ると 女将に挨拶をしてお店を出た
御殿場ICを通り抜け 国道138号線を南下すると乙女峠のトンネルが
あり 抜けると直ぐに箱根だった
仙石原を右にみて 強羅にあるザ ホテル 強羅についた
「神山様 お待ちしていました いらっしゃいませ」
神山がTJカードをフロントに見せると 受付嬢がにこやかに挨拶した
フロント嬢が最上階のスイートを案内し 部屋に入ると亜矢子が
「わぁー 素敵な眺めね うちとは全然違うわね」
「うん 山の中だけど 空気は最高だし 見晴らしがいいね」
「ええ ねえ 遠くに見える海は相模湾なの」
「うん 相模湾だよ テラスで眺めるともっと良く見えるよ
露天風呂でゆっくりしながら 眺めようよ」
神山は亜矢子に露天風呂を勧めると 彼女は目をうっとりさせキスをした
「じゃ 入ろうか」
そう言うと着ている物を脱ぐと 亜矢子が丁寧に畳んだりハンガーに掛けた
神山が冷蔵庫から缶ビールを2つ取り出し 露天風呂に入り暫くすると
亜矢子がタオルで前を隠し 体を流した
「ねえ あなた 久しぶりね」
「そうだね ゴルフの時以来だね ごめんね」
「ふふふ いいのよ」
亜矢子は神山の隣に座ると 頭を神山の肩に預け 景色を見ていた 
夕焼けで赤く染まった雲が 幻想的な空間を演出していた
神山も亜矢子も無言でビールを呑みながら 空間の芸術を楽しんでいると
山肌が漆黒色になり 民家の照明が蛍のように可愛らしく輝き始めた

露天風呂を照らす採光が 亜矢子の肌を怪しく浮き上がらせると神山は
「亜矢子 今夜は特別に美しいよ 輝いている」
「ふふふ もう私駄目なの でもお食事をしてからにしましょうね」
神山は普段と違う亜矢子に少し戸惑ったが 余り考えなかった
今までの亜矢子なら 露天風呂に入ると自分から積極的に求めたり
快楽を楽しんだと思った
しかし 今夜の亜矢子は神山といる事を楽しみ SEXは二の次のようで
二人が過ごす時間を大切にしようとしていた
亜矢子自身 すべすべした肌を温泉でより滑らかになるよう
優しく撫でたり 景色を楽しみ会話する事に時間を割いた
亜矢子が神山の背中を洗い 神山が亜矢子の背中を洗うと
「お願いだから 触らないでね ふふふ」
神山は頷くと それ以上彼女の体を触る事を止めた
露天風呂から出ると 亜矢子と神山は浴衣を着て亜矢子が
「ねえ お食事は何処にするの?」
「うん ステーキハウスはどう 美味しいよ」
「わぁー それだったら 行きましょう うちより美味しい?」
「うーん 難しいね お肉の仕入れで変わるし」
「じゃ コックの腕は同じくらいなんだ」
「うん でも 亜矢子のホテルの方が上だよ」
神山は由紀枝や洋子ときた時の事を 掻い摘んで説明した
「へぇー 由紀枝さん そんな大胆発言したんだ」
「うん 僕も驚いたよ でも結局美味しいステーキを頂けました」
「ふふふ 良かったわね では そこで頂きましょうよ」

亜矢子は神山と腕を組んで ステーキハウスに着くと案内嬢が
「神山さま こちらです どうぞ」
強羅を見渡せる眺めのいい窓際まで案内すると
「神山さま 美味しいお肉がございます 生をご用意できますが、、、」
「おお ありがとう ではお願いします でも なぜそこまで、、、」
案内嬢はニコニコしながら 神山をみて
「はい お客様のご注文を覚えるのが 私たちのお仕事です」
神山と亜矢子は頷き
「では 美味しいお肉を頂きます」
案内嬢は深くお辞儀をすると ウエイトレスに注文を伝え
もう一度 神山と亜矢子に対して お辞儀をして受付に戻った
暫くすると 生ビールと牛のたたきが運ばれ 口にした亜矢子は
「ほんと 美味しいわね」
「よかった 亜矢子に褒めてもらって」
「お肉が美味しいのと お醤油の味がうちと違って新鮮よ」
「そうだね そう言われれば タレの味がちょっと違うね」
「多分 タレ用に作ったんじゃないかしら ふふふ」
「うん そうかもしれないね」

二人が美味しく食べていると 赤ワインや魚介類 野菜を焼いたものが
運ばれ 亜矢子は神山の顔を見つめながら味を堪能した
ステーキを食べると 亜矢子は





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