神山は熱海を抜けると有料道路に入りスピードを上げた
小田原厚木道路でもアクセルを踏み込んでいた
東名高速も空いていてすんなり渋谷ICで下りると赤坂のスタジオまで
直ぐだった
外壁の門扉を開けると赤いポルシェを玄関に付けて祐子を降ろし
神山も家の中に入り事務所に行ったがFAXや留守電も無かった
2階の主賓室に行くとボストンの着替えを入れ替えてビジネスバッグと
二つのバッグを持って下に行くと祐子が神山に
「気を付けて行ってらっしゃい」
「うん ありがとう 洗濯物は2階の主賓室のソファーに纏めてあるよ
では 僕がいない間 戸締りや火に気をつけてくださいね」
「大丈夫ですよ ご安心下さい 出来れば携帯でも電話くださいね」
「うん タイミングだからね でも携帯は身に付けておいてね
それから 3日夜はどこかに食べにいこう 帰宅時間は電話をします」
「は~い 分りました お待ちしています」
祐子はニコニコして神山を見送った
神山は祐子にキスをすると赤いポルシェに乗って赤坂のスタジオを後にした
次長室に着いたのは9時30分で予定より30分も早く着いた
神山は一昨日の書類を広げ再確認をしていると洋子が出勤してきた
「やあ おはよう」
「おはようございます お休みありがとうございます 早いのね」
「うん」
神山はそう言い書類に目を通していると洋子が着替えはじめたが
今朝の神山には余裕が無かった
「さあ これでほぼ完璧だ 洋子ここを頼むね 上に行ってくる」
洋子はこんなに集中している神山を見るのは久しぶりで
いよいよ大変な時期に差し掛かっていると思った
「はい 分りました」
神山はGプロの部屋に行くと佐藤部長に御殿場プロジェクトチームから
届いた書類と自分が纏め上げた書類を渡した
「山ちゃん 凄いですね 今までのディスカッションが役に立ちますね」
「ええ こうなる事を予測していましたから 進めていたんですよ
しかし はまりましたね 嬉しい事ですよ
どうですか 時間を作って御殿場プロジェクトチームの竹内さんと
お会いするのは?」
「ええ お願いします その方がいいでしょう」
「先方と連絡を取り決めますよ それまでに大枠のデザインを起こして
持って行きましょう」
「それがいいですね」
神山は全員を会議テーブルに集め佐藤部長に渡した書類について
説明をして今後のデザインに生かすように指示をした
現在進んでいる内容の確認と軌道修正を行っていると12時になった
佐藤部長に休み中の有事については秘書の洋子を通す事と
時間も10時から17時に行うよう伝えた
神山はGプロジェクトの部屋を出ると由紀枝に電話をした
「わぁ~神山さん お久しぶりで~す」
「どうだい 準備は」
「ええ ありがとうございます でも殆ど無いのよね ふふふ」
「わかった ランチは済んだ?」
「いえまだよ」
「わかった これから行くから そうだな山中湖で食べようか」
「ほんとですか わぁ~嬉しいわ 待っていま~す」
電話を切り次長室に戻ると洋子に
「僕はこれから御殿場に行きます それで仕事の指示は全て佐藤部長に
伝えてあるので 何か有ったら洋子の所に話が来ます
そうしたら携帯に電話をくださいね それから4日から出ます
それで洋子の2、3日については10時17時でいいよ
佐藤部長に聞いて何も無ければ早く帰っていいし
その場合はメールを下さいね お願いしますよ」
「はい 分りました 気を付けていって来てね」
「うん ありがとう ほんと分らない事が起きたら電話を下さいよ」
「はい 分りました 行ってらっしゃい」
神山は次長室を出るとホテルの地下駐車場に止めてある
赤いポルシェに乗ると銀座を後にして飛ばした
東名高速に入ると月曜日なのに空いていて
御殿場ICまで行くのに時間は掛からなかった
由紀枝のマンションに着くと駐車場に由紀枝が待っていて
「わぁ~神山さん きた~」
「やあ由紀枝 元気だね さあ乗って」
由紀枝は赤いポルシェに乗るとすぐに発車したが途中ガソリンスタンドに
寄ってハイオクを満タンにした
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