「はい 畏まりました」
神山は水を飲んでソファーに横になるとすぐに寝てしまった
祐子は神山が寝ている間に自分の下着や普段着を2階の主賓室へ運んだが
どの引出しに入れていいか分らずとりあえず一箇所に纏めて入れた
時計をみると30分が経過したので神山を起こすと
「やあ ありがとう すっきりした さあこれから仕事だ」
「大変ですね お休みになれないなんて」
「ははは こうやって休んでいるよ
それと 今夜の夕食はいらないよ それで帰れるか否かは連絡します」
「はい 待っています」
神山はガレージから赤いポルシェを出すと銀座に向った
車をホテルの地下駐車場に止めると次長室に行った
本社秘書課に電話をすると御殿場プロジェクトから
封書がきている事を言われ受け取りにいった
秘書課に行くと神山の人気が凄くて他の部署から見に来る女性社員がいた
「まあまあ 凄い人気ね神山次長」
「いや ありがたいことですよ」
秘書係長と話していると人事の安井奈々子が近寄って来て
「次長 今朝の方は何方ですか 凄く綺麗なお嬢様は」
「ああ見られたか 失敗だ~」
「だって 分りますよ 店内では誰だろうって噂が広まっていますよ
私たち神山ファンとしては気がかりですよ」
「そうか 安井君もファンか ありがとうございます
あの人は大切なお客様のお嬢様だよ これで納得した?」
「本当ですか でも美しくて落ち着いていて素敵でしたね」
「そうか やはり僕が感じる所と似ているね よしご褒美だ」
神山は財布から1万円を出して
「これで3時のおやつを買って皆で食べなさい」
「ふぁ~ 本当ですか ありがとうございます」
安井は神山からお金を貰うとお辞儀をして仲間の所に帰った
「ふふふ 神山次長お上手ね で何方ですの」
「イヤー うわてが居たか ほんとお客様のお嬢様ですよ」
神山は再び1万円札を出して秘書係長に
「これで今夜美味しい物でも食べてくださいよ」
「ふふふ よほど言いたくないのね じゃあ頂いておくわ
ねえ この頃洋子が綺麗になったけどどうしてかしら 知っている?」
「いえ 心当たりないですよ」
「ほんと 女の私から見ても惚れ惚れする美しさよ 羨ましいわ」
「ははは そうしたら次長室に来られますか 来年の人事異動で」
「えっ 嫌よ だって休みが無くて大変て言っていたもん」
「だけど 今日は休んでいますよ まあ考えてください
僕は 何人居ても全然気にしていませんから 助かりますよ」
「ふふふ お上手ね」
「では」
神山は秘書課をあとにすると洋子の美しさを誉められた事に嬉しかった
生活環境が変らないで美しくなるのはやはり自分が傍に居る事だと思った
次長室に戻ると神山の携帯がなったので出てみると
「神山さん 私桃子です ごめんなさい お忙しいところ」
「うん どうしたの なんか変だよ」
「ええ 実は今夜 駄目になったんですよ」
「え~ どうしたの」
「ええ 母の具合が悪いようでこれから川崎に帰るんですよ
今 由貴さんがくるのを待っているんです 本当にごめんなさい」
「いや 僕の事よりお母さんが大事だからね 心配しない方がいいよ
きっと元気に迎えてくれるからさ ねっ」
「ええ ありがとうございます」
「うん 大丈夫だよ それと日にちを改めてお誕生日をしようよ」
「ありがとうございます」
安田桃子の声は最後まで聞き取れなかった
「安心しなさい では」
神山は電話を切ると今夜がすっぽりと空き考えた
次長席でタバコを吹かして考え祐子に電話をした
「はい 祐子です」
「やあ 神山ですが」
「どうされたんですか」
「今日 これから熱海に行くよ 仕度をして待っていて 泊まりだよ」
「はい 今 お買い物をしていますから30分くらい掛かります」
「うん 分りました ではその時間に戻るようにします」
電話を切ると伊豆来ノ宮の喜多屋旅館に電話をして TJ会員の番号を
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