2011年12月27日火曜日

Vol.535 ゆり -2-35



「ええ ここの処 銀座もここも売上が良いので筒井さんがご褒美を
下さって それで楽しんでいるんです」
「久保チーフが見えないけど どうしたの」
「ええ 先程帰りましたよ 1時間位前かしら ねえ」
「ええ 楽しそうでしたよ なにか」
神山はそれとなく本社と聞いてみようとしたが考えた
「さあ そうしたら まだ食べられるだろ ご馳走するよ」
神山も輪に入ってきゃあきゃあと楽しませながら自分も呑んで食べた
本社から応援の安田桃子も居て銀座店店長の上野かおりも姿を
見せていた 神山は上野に
「どうですか 銀座店は」
「ええ ご存知のようにここがオープンした時に銀座に流れた
あの勢いが止らないですね 今までと違ったお客様がいらしていますよ」
「そうすると 鈴やの顧客ははっきり言って駄目ですか」
「ええ 外商さんも三分の一は諦めていますね 何とかしたいと
焦っていますよ」
「そんなに悪いんですか 参ったな」
神山はそこまで落ちているとは気が付かなかった
「そうすると 顧客名簿はどんどん増えているのでしょ」
「ええ 増えています 私たちも整理をしているのですが
人数が足りなくて 本社では事務が作業をしていますよ」
「チーフも手伝うのかしら」
「いいえ 一切しない事になっていますよ 筒井から現場を見るように
言われていますから」
「大変だね 嬉しい悲鳴ですね」
「これも神山さんのお陰ですよ 本当に」
聞いていた安田も
「私もそう思います あの時に銀座に流して頂けなければ 上原も
銀座も 今までの売上だったと思います」
「うん ありがとう ところで上原はアンテナの役目は果たしている?」
「ええ 少しずつですがデーターが出来てきましたよ
面白いようにパリの作戦が当っていますね ねえ上野さん」
「ええ 銀座も上原と同じものが売れて来ているんですよ」
「そうか 今 本社は筒井さんは居るかな?」
「筒井は過日の一件でもう終ったら自宅へ直行です 
今 本社には誰もいませんよ つい先程事務が誰も居ないと
確認をしたので帰ると連絡が有りましたから」
「そうか そうしたらまた昼間にでも筒井さんに聞きますよ」
神山はこれで祥子が誰かと会っていると確信をした
料理が足りないのか皆の箸が動かないので神山が女将に注文をした
「良いですよ 神山さん」
「いえ お邪魔したんですからご馳走しますよ
それに若い女性も居る事だし 元気よく食べて呑んでくださいよ」
「済みません 気を使わせて」
「ははは そんな大事なスーツを頂いたんですからこの位安いですよ」
安田桃子が
「素敵でした 写真を見ました 浜野先輩なんて写真見て
何回も素敵な人だ 抱かれてもいいって 言ってましたよ」
「それは 光栄だありがとう そう言ってくれるのは
浜野君と安田君だけか~」
「まあ 私たちおばさんもそう思っていますよ ねえ」

みんなで大笑いしている時に神山の携帯が鳴った
「はい 神山ですが」
「亜矢子です」
「やあ こんばんわ」
「今 大丈夫ですか」
「うん どうしたの」
「ええ 先日の介護福祉の件 どうなったかと思って」
「うん 僕も気にはしているけど 内藤社長から答えが出てこないんだ」
「そう どうしよう」
「うん わかった ここでは話しづらいから部屋から電話をする」
神山は皆に帰る事を詫びて 女将に10万円を渡し
「これで清算してください でないと又一緒に呑めないから」
「はい 良いですよ 神山さんのご馳走ね 大丈夫よ」
「足りるかな」
「また 充分すぎますよ 半分でも大丈夫ですよ ご安心下さい」
「分りました また近いうちに来ますから」
「はい 安心してください ねえ大将」
「おお 神山さん大丈夫ですよ ご安心下さい」
「では お願いしますね」
神山はお金の単位が違うので皆に聞かれる恐れがあると判断して
部屋に戻り亜矢子に電話すると
「さっきはごめん」





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