2011年12月16日金曜日

Vol.524 ゆり -1-34



だから嬉しくて 神山さんごめんなさいね」
女将が
「良かったわね 私なんかここ20年以上も頂いていないわ
だから30歳のままよ ねえ 大将」
3人は大笑いして由貴の顔にも絵顔が戻った
「ねえ神山さん おかかはああ言うけど あげていい人とねえ有りますよね」
「まあ 大将 そこらへんは 女将と話をしてください」
また大笑いをした
由貴が
「神山さん 久保チーフですけど 昨夜仕事が終って
名古屋に帰られたんですよ それも急に 今までそんな事無かったのに」
「それで 何時帰ってくるの」
「ええ 今夜なんですが まだ連絡が無いんですよ」
「まあ 業務に支障をきたす様だったら筒井さんに報告しなさい
それまでは首を突っ込まない事 いいね」
「はい 分りました 神山さん一つ聞いていいですか」
「うん なに」
「ええ 神山さんてお一人じゃないですか そこで 例えばですよ
お休みの時にはちゃんとご飯を食べたほうが良いなと思っているんです」
「そうだね 何時も感じているよ 作らないしね 結局ここへ来てしまう」 
「そうでしょ だったら私がご飯を作りますよ 
結構自炊はしてきましたから 多少のものは作れますよ
味はちょっと自信が有りませんが」
「ありがとう しかし浜野君の家は何処だっけ」
「ええ 南青山のアパートですよ でももう古い建物だからそろそろ
引越しを考えているんです 社会人になってから変えていないので
大学時代のお友達も呼べなくて そんな事もあって考えているんです」
「そうか 大変だね 引越しをするのは」
「ええ 費用は全然心配していないんですけど 何処が良いか
わからないし 纏まった時間が無いので探せないんです」
「そうだね 休みの日はばたんきゅうだもんね 僕だって同じさ」
「そうでしょ あ~あ 時間が欲しいわ」
「今度の休みはいつ?」
「13日の水曜日ですよ」
「合わないな その日から出かけるんだ ごめんね」
「良いですよ そんな気にしないで下さい ただ今日のお休みが
フリーで残っているんです 久保チーフが休んだので出勤なんですよ
だから久保チーフと休みが会わなければ使えますよ」
「そうか 浜野君の下を早く育てなければいけないな 休めなくなるしね」
「ええ そうです」
「どうだろう 明日は? 僕は午後から難しいから午前中だったらOKだよ」
「へぇ~ 急ですね でも久保チーフと連絡が取れないから難しいです」
「しかし 連絡が取れないのも困ったもんだね」
「ええ そうでしょ もっとタイムリーに連絡をしたいんですよね」

二人は日本酒を呑みながらつまみも食べたので好きなお寿司を
握ってもらった
二人が美味しく食べていると由貴の携帯電話が鳴って出てみると
祥子からで連絡できなくて由貴に謝った
由貴は明日を休みにして欲しいと伝えるとOKだと言って電話が切れた
「神山さん 今久保チーフからでこれから名古屋で新幹線に乗るそうです
それで明日のお休みを欲しいって言ったらOKが貰えましたよ」
「そうか そうしたら食べたらここを出て賃貸物件が載っている
週刊誌を買って調べよう」
由貴は明るい顔になったので
「僕は着替えてくるよ それにこれを持ったままでは何とも重たいから
その間に食べていてくれる 10分で戻ってくるよ」
「は~い 分りました 待っています」
神山は女将に言って清算して貰い寿司屋を出ると部屋まで急いで帰った
着替えを済ませ予備のシャツをバッグに入れてFAXなど調べ何も
無いのを確認し 洋子に電話をした
「神山です お疲れ様でした」
「はい 田所です」
「実は 明日午前中は色々と調べる事が出てきて午後からの
出社になります それで東都食品とは15時以降の約束にして欲しい」
「はい もう少し遅い時間にしましょうか」
「うん そうしてくれると助かる 何かあったら携帯にね」 
「はい 分りました」
「うん 頼んだよ お休み」
「はい お休みなさい」

神山は電話を切ると駅前寿司に行って由貴を誘い
渋谷の駅構内にある売店で賃貸物件の週刊誌を買い求めた
「さあ どこで調べようかな」




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