2011年12月14日水曜日

Vol.522 ゆり -1-34



祝い袋に現金20万円とチケット1組が入っていた
「おいおい 洋子 どうなっているの いいのかね」
「ほんと 宿泊券だけでなく現金も一緒なんて」
フロント嬢は当選者の神山と洋子にお辞儀をして
「誠に申し訳ございませんが こちらに当選確認のサインをお願いします」
二人は特等の記入欄にそれぞれサインをした
「しかし特等3本しかないのにいいのかね」
「やはり赤いショーツが効いたのね」
神山と洋子は旅行の安全を祈願して赤いショーツを穿いていた

二人は河童橋まで景色を満喫しながら楽しんだ
河童橋は家族連れや会社のグループなど色々な人で賑わっていた
陽射しが強く標高は高かったが汗ばむ午後で神山は
川原に下りて洋子と遊び横になると
「ねえ洋子 少し寝るよ」
「ええ 私が見ているから寝てください」
神山はこれからの運転を考えると少し寝ておきたかった
洋子はその間 文庫本を読みすごした
1時間も寝ただろうか 少し涼しい風が神山を起こした
「洋子 ありがとう よく寝たよ」
「少し 涼しくなったわね」 
神山は寝る時にジャケットを脱いでいたが洋子が涼しくなったので
体に掛けたがやはり涼しかった
「洋子に掛けてもらったけど 涼しいね」
神山は時計を見ると15時30分になっていた
「さあ では帰るか」
「ええ そうしましょう 楽しかったわ」
二人はバスセンター脇のタクシー乗り場に行って沢渡まで帰った
「洋子 どうする 運転は」
「うん 任せていい」
「うん 寝ていていいよ 双葉SAで休憩しようか」
「ええ 出来ればお願いします」
「了解」

神山と洋子は貴婦人に乗車して発進した
左に梓川をみてR158を松本に向った 市街地に入ると渋滞にあたり
長野自動車道に入ったのは16時30分になっていた
神山は高速に入るとスピードを上げて40分ほどで双葉SAに着いた
洋子が寝ていたので起こすと
「もう着いたの 早いわね」
「うん でも松本市内で渋滞に捕まったよ」
二人は展望台に登ってみると富士山の方に太陽が傾いていた
ここでも洋子はデジカメで写真を撮った
缶コーヒーを飲んだあと二人は用を足して貴婦人に乗った
「洋子 あと130Kmだからまだ寝ていていいよ」
「ええ でも1時間掛からないでしょ 覆面を見ているわ」
「ありがとう では発進」
双葉SAを出たのが17時30分だった
神山はスピードを上げ談合坂の長いトンネルに入ったが
トンネルでは追い越しが出来ないので鼻歌を歌った
「ねえ その歌はなんて言うの」
「うん 以前TVのCMで流れていた曲で分らないんだよ
だけど 時々こうやって自然と出てくるんだよ」
「ふーん でもいいリズムね 私も好きよ」
トンネルを出ると神山はどんどんスピードを上げて走ると調布ICを過ぎ
高井戸ICで首都高に入って霞が関で下りた
「あなた飛ばしたわね 今6時よ 凄いわ」
「うん トンネルで少し損をしたかな でもありがとう」
神山は一般道でも巧みに追い越しをして銀座に戻った

車をホテルの地下駐車場に止めると二人は次長室に戻り
「お疲れ様でした」
「やあ洋子こそお疲れ様でした ありがとう」
神山は冷蔵庫からビールを出して二人のグラスに注ぐと
「では お疲れ様で乾杯だね」
洋子はニコニコしながら乾杯をして神山をソファーに座らせて
デジカメを60インチのモニターで眺めた
神山は改めて洋子がまめに撮影している事を知って
「何か さっきまで居たのに懐かしく感じるね 凄く綺麗だよ」
「ありがとうございます」
洋子は全てを見終わると神山にキスをして
「楽しかったわ また連れて行ってね」
「うん この位の距離だと丁度いいかもね」
「貴方が早いからよ 普通の運転だと倍の時間がかかるわよ」




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