2011年12月7日水曜日

Vol.515 ゆり -1-34



そう言ってはいるが顔はニコニコしていた
二人の仕度が出来ると神山は
「由貴 毎晩は出来ないけど電話するよ だから携帯番号を教えてくれる」
由貴は頷いて神山と携帯番号の交換をした
「僕も都合で出られない時が有るけど 必ず連絡はするよ」
「ええ お願いね 私 分るもん 神山さんには廻りに女性がいる事は
だけど私と一緒の時は私を大切にしてね お願いします」
「うん わかったよ だけど女性は居ないよ」
「ううん 女の感は凄いのよ 特に私は
だって神山さんを ほおっておく女性は居ないわよ 
でもいいの 私その中に入れたんだから ほんとよ」
「う~ん わかった ではいこうか」
二人は6階のフロントに行き部屋のカードを渡すと
「今回のご宿泊で料金は発生しておりません」
フロントが今度は50%引きのチケットを差し出して
「次回にご利用頂けます ありがとうございました」
チケットを由貴に渡すと二人はエレベーターで1階に下り
タクシーを拾いニーナ・ニーナブティックの相当手前で下りて別れた

部屋に戻ると不在をしていた時のFAXや全てを確認したが
緊急の内容は無かったので熱いシャワーを浴びて体をシャキッとさせた
神山は着替えを出して昨日用意した物をボストンに入れて部屋を出た
丁度8時30分だったので充分間に合う時間だった 
タクシーは10分前に着いたので次長室に入ると洋子が
「おはようございます ごめんなさい こんな格好で」
洋子は家を出る時に気が付かなかったGパンの解れを直していた
神山は
「洋子って 器用だねへぇ~そうやって直すんだ」
「ええ だけど恥ずかしいから 向こうに行っていて」
洋子が真剣に繕っているので神山は冷蔵庫からコーヒーを出し
紙コップに入れて洋子に渡して飲んだ
「さあ 終ったわ あなたがちょっかい出さなかったから」
二人は大笑いして洋子はGパンを穿いて
「さあ 準備OKよ だけど今日は大変な距離ね
ここからだと約270Kmは有るわね」
「うん そうだね」
「そうしたら 私が途中まで運転しましょうか」
「お願い出来るかな」 
「ええ 大丈夫ですよ たまには高速を飛ばさないと腕が鈍るわ」
「ははは では行きますか」

最初に洋子が運転をした 土曜日の朝なので車はさほど混んでいなかった
霞ヶ関で首都高に入ると高井戸ICを抜けて10分足らずで調布ICを
過ぎた 神山が洋子に
「ここから約100Km先に双葉SAが有るからガスと休憩をしよう」
「ええ 今日は天気も良いから富士山が見えるかしら」
「うん 見えるよ 空気が澄んでいるし」
洋子はどんどんとスピードを上げて45分で双葉SAに着いた 
神山は時計を見るとまだ10時10分になったばかりだった
二人は貴婦人から降りて展望台に登ると甲府盆地が眼下に広がり
その向こうには富士山が見え南アルプスの頂も眺める事が出来た
「ふぁ~ 気持ち良いわ 久しぶりよここに来たのも」
神山は自販機でコーヒーを買って洋子に渡した
「いいね~ここからの景色は最高だ」
洋子はデジカメで何枚も風景を撮影していた
空気が綺麗なせいか気分も最高に良かった
二人は缶コーヒーを飲み終わると今度は神山が運転をした
SAの出口でハイオクを満タンにして発進した
「あと約140Km位でしょ」
「ええ そうね」
20分休憩したので10時30分に出た事になる
神山は飛ばしに飛ばした 談合坂のように長いトンネルもなく
左で追いつくと追い越し車線に入って抜いていく
そんな繰り返しをしていると白い乗用車で前に男が二人乗っている
覆面パトに遭遇して神山はスピードを落としたが 諏訪を過ぎて
岡谷JCTで覆面が中央道をそのまま行ったので神山は飛ばした
「ふぅ~ 危なかった」
「そうね 向こうはきっちり95Km位だったわね」 
「うん ああ言うのが居ると狂ってくるんだよね ほんと」

長野自動車道も松本ICが直ぐに迫り降りるとR158に入った
洋子が
「それでも貴方早いわよ 11時15分だから 双葉SAから45分よ」
「やっぱり 覆面がいけないんだよ なんてね」




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