洋子は松本の市街地を抜けると気持ちのいい山間を走っているせいか
何時もの鼻歌が出てきた
「洋子 向こうに着いたら乗鞍に行ってみようか」
「ええ いいわよ」
神山は更にスピードを上げると左側に梓湖が見えてきた
丁度洋子から見えるので
「ねえ ごめんなさい もう少し行った所で止めて」
神山は言われた通り停車するとデジカメで湖面に映る山々を撮影した
「ごめんなさい OKよ」
「アイアイサー」
神山はも気分が良くて洋子と一緒に鼻歌を歌った
洋子が
「あなた 沢渡はもう直ぐよ」
「アイアイサー」
二人は天候に恵まれ快適なドライブで気分が良かった
沢渡からR300に入ると白骨温泉は直ぐそこにあった
今日宿泊するホテルは岡部屋ホテルで温泉郷でも一番奥に位置していた
案内看板が出ていたので迷う事無くついた
神山の時計は12時丁度を指していた
車を駐車場に止めると二人はフロントに行って
「昨日予約した神山ですが」
「はい お待ちしておりました いらっしゃいませ」
神山はチェックインが15時なのでそれまで乗鞍高原に行きたいので
タクシーの手配を頼んだ
「神山様 直ぐにお迎えが来ますのでそちらの椅子にお掛けになって
お待ちくださいませ」
神山は洋子と椅子に腰掛けてタバコを吹かした
「洋子 おなかが空いた」
「あら 朝ご飯はどうしたの?」
「うん ぎりぎりまで寝ていた あ~ しぬ~ 空いたよ」
「乗鞍まで持つでしょ また大袈裟なんだから もう」
二人が冗談を言っているとフロントで車が来た事を教えてくれて
「では 15時過ぎに戻りますが車をお願いします」
「はい 行ってらっしゃいませ」
神山はタクシーの運転手に乗鞍高原観光センターを伝えると
「お客さんは東京から来られたんですか」
「ええ」
「今日は天気も良いし良かったですね 明日も晴れると言ってましたよ」
「それは良かった」
運転手と話していると観光センターに着いた
二人はタクシーを降りると 涼しく美味しい空気を胸一杯吸った
冬になると一面 白銀の世界をスキーヤーで一杯になる乗鞍高原だが
この時期は高山植物を楽しんだり観光客で賑わっていた
「ふぁ~ いい気持ち 少し温度が低いのかしら涼しいわね」
「洋子 そこに入って 何か食べよう」
「もう 私がいい気分になっているのに」
洋子は口を尖らせたが顔はニコニコしていた
レストランに入ると2階に行って外が見えるところに座った
神山が券売機でビールやおつまみのチケットを買って
テーブルで待っているとアルバイトらしい女の子がチケットの
半分をきって持って行った
「ねえ 本当に高橋さん達 白骨温泉に来たのかしら」
「なんで」
「だって ここは基本的に遊ぶ所だから」
「まあ 良いじゃないか 結果がちゃんと出ればOKだから」
「そうね 結果が出ないと500万円返金があるから大変ね」
Gプロの話をしているとビールとおつまみが運ばれてきた
「では お疲れ様 乾杯」
「はい 乾杯」
洋子はニコニコしてビールを呑んだ
神山も洋子の幸せそうな顔を見てビールを呑んだ
洋子は思い出したようにデジカメを出しては写真を撮っていた
神山はビールが直ぐに無くなるので券を纏めて買ってきておくと
ウエイトレスが
「この分を纏めて持って来ても良いですか?」
「うん いいよ お願いします」
洋子はくっすと笑って
「なんだと思ったんだわ きっと 5本も もう嫌われるわよ」
「いいよ 洋子だけで」
二人は運ばれたビールも呑むとラーメンが欲しくなったので
神山がチケットを買ってさっきの女の子に渡して待った
「久しぶりよ こういう所のラーメンて」
「なんか 原点みたいな感じがするね 銀座で食べると
.