2011年10月21日金曜日

Vol.468 薔薇 -7-32


神山は次長室へ行って荷物を置くと洋子の帰りを待った
洋子はコンビニでサンドイッチを買って部屋に戻った
「はい お待たせしました」
神山は洋子から受け取るとコーヒーを飲みながら食べて
「これ 昨日スケッチした分さ 見て」
「ふぁ~昨日見たのと又違うわね」
「うん まだ色々とアイディアが生まれると思うけどね」
神山は食べ終わると洋子に午前中アレックスジャパンの
アレックスJrと会うので時間調整を頼み上の部屋へ行った
Gプロジェクトにはすでに高橋が来ていて
「やあ山ちゃんおはようございます もう直ぐ終ります」
「早いね」
「ええ 配線や設定は鈴やさんの電気がすべてやってくれているから」
「うん それでこれがそのカードスキャン?次長室と違うね」
「ええ 機能は同じでも見た目で安くなってます」
扉を加工していた作業員が
「高橋さん 出来ました テストしてください」
そう言われ戸をカチと閉めて高橋のカードをスキャンさせ6桁の
暗証番号を入力すると扉が少し開いた
「孝ちゃん 次長室のように開かないんだ」 
「ええ ここはこの位開けば充分でしょ 次長室のをつけると
高くなるんで節約しました」
「それで 午前中に荷物が運び込まれるわけですね」
「ええ 殆ど新品がきます 机が6台来てその分のPC プリンターは
大きいのが出力できるのが1台 会議テーブルと椅子 あと
ホワイトボードなんかも来ます」
「ここが一杯になるね」
「ええ しかし備品類の落とし込みをすると アルタの仕事場より
倍くらい余裕があって仕事はしやすくなります」
「机が6台と言ったけど」
「ええ 山ちゃんが座ったり 佐藤部長が座ったりと まあ無いより
あれば良いでしょう」
「まあ そうですね」
「そろそろ みんな来ますよ」

Gプロジェクトの部屋は次長室と同じ様に自動扉だが電話機を置いていない
誰かが部屋にいれば開放されていて誰もいなければ鍵が閉まっていて
カードを使わないと部屋に入れなくなっている普通の施錠方法だった
ざわざわとしたと思うと高橋が
「来ましたよ 選抜隊が」
ニーナ・ニーナブース担当 内野誠二 係長
鈴や食品ブース担当 田中幸三 係長 
グラフィックデザイン担当 田辺和也 係長
見積もり資材関係担当 山下智弘 担当課長
4人は神山を見と
「おはようございます 常務」
「まあ くすぐったいから山ちゃんでいいよ」
神山は上野店にいる時から知っている皆が集まって懐かしかった
「孝ちゃん まだ時間有るね」
「ええ 大丈夫です」
「そうしたら 次長室で簡単に話そう」
「ええ お願いします」

神山は電話で洋子にこれから皆で次長室に行く旨を伝えた
階段を降りて次長室に入るとみんな一様に驚いた
「さあ 初めてで驚いたと思いますが 幸三ちゃんありがとう
さあ立っていないでソファーに座ってください」
洋子がお茶を用意し終わると
神山が現状打破のデザインコンセプトは余りにもあやふやな事を
認めた上で説明した
「まず 大人と子供の融合性 それと各ブースが持っている部分と
異業種の組み合わせ ここらへんで考えが纏まってきました
例えばこの部屋が奇抜なデザインで驚くが以外に落ち着くとか
非常に難しいと思います なぜならこの部屋は顧客を相手に考えていない
これからは顧客を考えなければいけない事を頭に入れて欲しい事です」
神山の説明を聞いて5人は大体予測していた事なので頷いて聞いた
「これはたたき台ですが ちょっと見てください」 
神山はここ3日間書いたスケッチをみんなに見せると
「なるほど 楽しいですね」
みんながスケッチに見入っている時 神山が洋子にビールと言い
洋子が冷蔵庫から地ビールを出して皆に配りグラスに注いだ
「では 朝からですが Gプロジェクトの発足を祝って乾杯」
鈴や食品ブース担当する田中幸三から
「神山さん 僕のところは方向性が決まっていますか」 





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