2011年10月20日木曜日

Vol.467 薔薇 -7-32


「屋敷君は」
「ええ 勿論憧れは有ります あの曲線美は素敵で素晴らしく
よく考えられた曲線で空気抵抗も最小限に押さえていますよね」
「そうか 広場にスーパーカーがあったらシートに座りたいかな」
杉田と屋敷は口をそろえてニコニコして答えた
「勿論 座ります」
神山は御殿場アウトレットにスーパーカーをなんとしても
飾って皆に喜んでもらいたいと思った 
小さい子には運転席であの感動を与えてみたいと思った
「先輩 どうですか あのフェアレディーZは」
「うん 今日も東名を走ったけど大丈夫だよ 気持ち良いよ」
「何キロ出すんですか」
「うん 今のところ210かな」
「へぇ~ 210 凄いですね いいなほしいな なっテツ」
「ええ フェアレディーZって フロントが長い分安定しているんですよね」
「うん 結構 安定しているよ ハンドルがぶれない」
話しているうちに杉田がいつのまにか日本酒を頼んでいて自分で注いでいた
「翔 明日は」
「ええ 出勤です」
「そうしたら その日本酒でお終いだ いいね」
「えっーもう一本来ます 済みません」
「わかった 僕は翔を送らないからね」
「もう 分りましたって」
杉田は少し酔ってきたのか ろれつが可笑しくなった 神山は
「じゃあ 最後にご飯を食べるよ」
神山は消化がいい中華茶づけを3人分頼んだ
屋敷は翔と一緒の量を呑んでいるが平気だった
3人が食べ終わり外に出ると気持ちのいい風がふいていた
翔だけが少し酔っていて屋敷が心配していた 神山が
「屋敷君 家は何処?」
「ええ 先輩と同じ板橋です」
「そうか そうしたらこれで送って下さい」
神山は財布から1万円札出して屋敷に渡した
「はい ありがとうございます では失礼します」
「うん 明日は休むなよ 気を付けて」
そう言い2人の若者と別れ神山はタクシーで上原に帰り部屋に戻った
洗濯機から脱水されたものを出して浴室に干した
神山は冷蔵庫から地ビールを出しタバコを吹かしながらぼんやりした
時計を見ると23時30分を廻っていた神山は携帯電話を見ると
誰からも電話が掛かってきていなかったので祥子に電話をした
呼び出すが繋がらないので多分みんなと食事だと思った
神山は少し疲れたので 湯船に湯を張ってゆっくりと浸かった

5月4日 月曜日 晴れ
昨夜はあれから誰からも電話が無かったのですぐに寝ることが出来た
神山は目覚ましで起きて熱いシャワーで体をしゃきっとさせた
祥子からの連絡が無いのでどうしたのかと思ったがそのままにした
昨日書いたスケッチを見直してバッグに入れた
時計を見ると8時になっていたので洋子に電話をした
「神山ですが おはよう」
「はい 洋子ですおはようございます」
「これから出るけど 大丈夫? もし大丈夫なら迎に行こうか」
「ふぁ~嬉しいわ そうしたら 代々木の駐車場でいい?」 
「うん わかった それでは」
神山はアルタの高橋が早く来るのでなるべく早く行きたかった
仕度をして部屋を出る時に祥子から電話があった
「私です ごめんなさい 電話を貰っていて」
「うん いいよ」
「それと 今朝は何もしていないの ごめんなさい
それから今夜仕事が終ったら実家に帰り6日の夜帰ってきます
ごめんなさい 本当に」
「うん 僕はこれから出かけるから気にしないで では」
神山はたまにはしょうがないと思った
貴婦人を駐車場から出して代々木のマンションへ向った
駐車場に洋子はいなかったが多分ロビーだろうと思って行くと
洋子はニコニコして抱きついて来た
「おはようございます お元気ですか」 
そう言って神山のおちんちんをポンと叩いた
「もう 朝から」

神山と洋子は貴婦人に乗り込むと月曜の朝なので車が込んでいた
すいすいと車をすり抜けて銀座に着き車をホテルの地下駐車場に止めた
「やっぱり 車の中 ニンニク臭いわね あとで消臭剤も買いますね」
「うん 気が付かなかった お願いします」





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