2011年10月11日火曜日

Vol.458 薔薇 -6-31

女将が
「香りが良いのと 辛口と有りますがどうされますか」
「うん 2種類持ってきて 温まらないように氷を入れた器に入れて」
暫くするとどんぶりの大きい器に氷を入れて冷酒が運ばれた
アレックス夫妻は2種類呑んでどちらも美味しいと言って
2種類の冷酒を楽しんで呑んでいた
アレックス氏はしめ鯖を気に入った様子で美味しいと言って
一人で半分近く食べてしまった 夫人から
「皆さんで食べるのに少し自重しなさい」
と注意されたので
「大丈夫ですよ ご安心下さい まだ一杯有りますから」
アレックス氏は夫人の言葉が効いたのか 返事が無かった
静かになった雰囲気を洋子が和やかにしてまた呑んだり食べたりした
神山はタイミングをみて女将にネギとろの普通巻きを頼んだが
「どうやって作りますか」
「うん 細巻きの倍にして作って そうね2本じゃ足りないから6本」
「はい 分りました でも大丈夫ですかそんなに食べられるかしら」
「うん 僕らも食べるから それから今日のイクラは美味しい」
「ええ 結構美味しいですよ」 
「そうしたら イクラの軍艦を10個貰える」
「はい 分りました」
女将は本当に食べられるか心配したが
注文したネギとろも美味しいと言ってよく食べイクラの軍艦巻きも食べた
神山と洋子は少し飽きれ
「しかし どこに入るのかしら 彼女は太っていないのに凄いわね」
アレックス夫妻が元々神山と洋子より大きいので分るが
夫人のたべっぷりには驚いた
神山と洋子もつられて話をしながら食べていたが少し限界に近かった
アレックス夫妻がアルコールのせいか食が落ちて来たので
神山と洋子は少し安心した
アレックス氏が
「山ちゃん 凄く美味しいよ 初めてだよありがとうございます
いい記念になるよ」
「ええ 私もニューヨークでよく食べるけど 全然違うわね
オートモより美味しい ほんとよ 幸せだわ」
アレックス夫妻が満足してくれたので神山と洋子はホッとした
神山と洋子は残っている食べ物を食べて綺麗にすると
「山ちゃん 洋子さん 今度は私が招待する 付いて来てね」
神山は頷いて洋子が清算をしてタクシーで赤坂に向い
外人専用のカクテルバーに入った

このお店は世界各国大使館高官など重要人物が出入りすることで
有名な『アフターシックス』という店だった
受付でアレックス氏を確認するとバギースタイルの女性が
アレックス氏の専用席に案内した
このお店は民間日本人は勿論 一見の外国人も入店できない規則があって
神山は民間日本人で最初に入った人物だと説明された
暗くてよく分らないが 政府高官の姿も確認できた事で
アレックス氏の言うようにチェックが厳しい事は分った
「山ちゃん なにを呑む?」
「そうしたら ドライマティニーでお願いします」
洋子はトマトジュースベースのカクテルを注文した
ここは洋子が良く行く表参道にあるカクテルバーの上級クラスだった
流れる音楽やセンターがステージになっていて構成は一緒だった
違うのはテーブル席で衝立で仕切りが施され隣りのブースとは
切り離され隣同士で楽しむ雰囲気ではなかった
注文したドリンクが運ばれるとアレックス氏が乾杯をした
みんなで楽しく呑んでいると流れている曲がポップスに変り
「山ちゃん 洋子さん 踊ろう」
アレックスの先導で4人はセンターでみんなと一緒にツイストを踊ったが
外人より上手な神山と洋子に廻りは見とれていた
次々に曲が流れ4曲目に二人とも席に戻るとアレックス氏が
「二人とも元気だ 私は2曲でリタイアしたよ
ここは面白いゲームが有るんだ 今のツイストを二人で5曲踊ると
非常に楽しいプレゼントがある」
アレックス氏が教えてくれた時に 場内は沸いた
5曲を踊ったカップルがいたのでその表彰式だと案内があった
センターにカップルが並んでその時を待つと 正装した紳士が
二人にクリームピザを渡し その紳士の顔にちゃんと当てれば良いと
非常に簡単なゲームだった
そのカップルはちゃんと顔に当てて見事今日の会計を無料にした
「どうだね ワシのために今度挑戦してくれれるかな」
「ええ ここが無料になるんだったら ねぇ洋子」
「ええ ピザを投げてみたいわ」





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