2011年10月5日水曜日

Vol.452 薔薇 -6-31



「なんか 新郎新婦さんだね 決まっているよ」
「先輩 綺麗で格好良いです」
「やあ みなさんありがとうございます」
神山と洋子は受付応援の皆に挨拶をした
「おう 山ちゃん このままどうだ 一緒にすれば 経費安上がりだぞ」
由香里がいる前で言っているので由香里も一区切りついたと思った
神山と洋子を見つけたホテルの担当者が二人を呼んで別室に入った
「神山様 田所様 ご昇進おめでとうございます
本日進行係をさせて頂きます」 
そう自己紹介され 流れの説明が有った
席は全て円卓で神山と洋子のテーブルには内藤社長と時田副社長が
座る事など
始まってから約6名位の祝辞がある事 その後に一旦会場内を暗くして
アレックス氏ご夫妻の登場 神山たちのテーブルに座る
そのあとに祝辞が有るけど全員は無理なのでこちらで選ばせて頂きます
あとは親睦で皆さんと一緒に会食をしてください
そんな内容だった12時10分前になると段々と込みだしてきて
ホテルの従業員も席の案内で忙しくなった 副社長の時田が現れ
神山と洋子は挨拶をすると
「盛大なパーティーだな どうじゃ洋子 このままゴールインは」
洋子は人差し指を口にあて
「だめです おじ様 声が大きいですわ」
笑っているところへ内藤社長がきて
「神山さん洋子さん ご昇進おめでとうございます お似合いですね」
「そうじゃろ 内藤さん 山ちゃんはいい男じゃ」
「ええ 洋子さんも中々の切れ者です 感心しました」
「ほう そんなに切れるか いいのお若いのは」
副社長の時田と内藤社長はホテルの従業員に案内され席に座った
12時の時間になるとさすが遅れてくる人が1人や2人いるものだが
今回 遅れる人は誰もいなかった
会場内ではざわついていたが 進行係の挨拶が始まって入場曲が流れると
外で待っていた二人にホテルの従業員が
「お席まではピンスポットが案内します 上座の円卓です」 
と 説明され 扉が開くと真っ暗でピンスポットの光だけが輝いていた

ここは結婚披露宴ではないので神山が先に歩き始めると会場内からは
拍手が盛大に沸き起こって二人を祝福してくれた
言われたようにスポットライトのなかを歩いているつもりだが
どうしても早く歩いてしまいスポットライトから外れてしまう
なんとか席に付くと会場内の明かりが一斉について眩しかった
祝辞の先頭は催事課の奥村課長からだった
神山の業績や失敗談など笑い有りの楽しい祝辞だった
洋子の方も本社人事部長が奥村課長に輪を掛けて楽しい祝辞を述べた
次は副社長の時田が祝辞を述べ 神山を誉め洋子を誉めている時に
言葉が出て来なくなって 涙ぐんでいた
内藤社長が直ぐに気転を利かせ祝辞を述べた
副社長時田が隣りの洋子に
「すまん ワシとした事が」
洋子は小さい声で
「ありがとうございます 大丈夫ですよ ズーッといますよ」
時田は頷いていたが虚ろだった
内藤社長が終わり席に付くと時田が
「内藤さん ありがとう だめだな 年だな」
「良かったですよ ただし途中までは」
4人は大笑いをしてしまった

ホテルの人から聞いていた時が来た
会場がまた真っ暗になり 
色々な色のスポットライトが会場を交差するなか
アメリカンポップスが流れると進行係りが
「本日 特別に参加してくださる方をご紹介します」
アレックスグループのトップ アレックス氏夫妻が紹介されると
静かだった会場はざわめいた 
このことを知っている内藤社長と神山と洋子は多少落ち着いてはいたが
時田は洋子に
「洋子 なんであんな偉い人が来るんだ わからん」
「ええ お付き合いが有ったのよ」
「へぇ~ 洋子凄いな」
「いいえ 神山さんよ」
「えっ 山ちゃんが はあ あの男は凄いな」
「でしょ だから私じゃだめよ もっと器が大きい女性でなければ」
アレックス氏夫妻が神山たちのテーブルに来ると
神山と洋子は立ち上がって 最初に握手をして抱き合った
「アレックスさん 来て下さってありがとうございます」






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