2011年10月14日金曜日

Vol.461 薔薇 -7-32



洋子は車に乗ると神山に軽くキスをした
「ねぇ 今日はどこに行くの?」
「うん 富士山」
「へぇ~ 山に興味あるんだ」
「まあ 少しは見ておかないとね」
神山は直ぐにでて渋谷から高速に入って飛ばした
洋子も楽しくてしょうがないのだろう 鼻歌が出てきた
神山も知っているビートルズだったのでよけいに気分が良かった
何時も熱海に行く時に降りる厚木ICをそのまま通り越して
御殿場ICまでの約90kmを30分で降りて富士山スカイラインに入り
表富士宮口五合目を目指した
日曜日のお昼と有って車が多かったが神山はどんどんと追い越しをして
最後の難関である綴れ織りのジグザグを巧みな運転で難なく
表富士宮口五合目にきた 東京を出て丁度1時間掛かってしまった

「ふぁ~ 気持ち良いわ ここ五合目だよ ねぇ いいな 
あなたと一緒だと」
神山はビールを呑みたかったが我慢しておでん屋で少し腹の足しにした
「ねぇ 朝は食べてこなかったの?」
「うん さっき起きたばかりだよ 何も食べていないんだ」
神山と洋子は駿河湾が見えるところでおでんを一緒にたべた 
洋子は幸せ一杯だった 
神山は今度の御殿場アウトレットで使える物は無いか真剣に探していた
洋子もそんな神山の雰囲気を壊さないように手を組んで歩いてた
暫くすると小学生の低学年だろうか神山の車に近寄って
父親に乗りたいとせがんで泣いていた
神山はじっと見ていたが 何かが見え貴婦人に近寄って子供に
「ぼく この車に乗りたい?」
「うん スーパーカーは大好きなんだ こんな小さいけど
一杯持っているよ これはフェアレディーZと言ってぼくが
一番 好きな車なんだ」
神山は両親に
「ここを一周すれば気が済むと思いますから 乗せてあげます」
子供の親は神山に感謝をして神山が乗って子供が座ると
背丈が無いので前を見ることが出来なかった
神山は一旦降りて近く売店でダンボールを貰ってきて
それを子供のお尻の下に置いてあげると見えるようになって子供は
もう それだけでおおはしゃぎをした
神山は両親に挨拶をして駐車場を出て5分くらい走るり戻って来ると
「ふぁ~ すごいな 本物は ぼくはフェアレディーZに乗ったんだ
格好良いし 最高だよ おじさんありがとうございます」
神山も良かったと思い 
「おじさんのように大きくなったら乗れるよ」
「でも うち貧乏だから買えないんだ ねえお父さん」
「でも 君が働けば買えるよ きっと」
「うん 頑張るしかないね」
神山は両親に挨拶をして別れさっきのダンボールをゴミ箱に捨てた
その時神山の脳裏に何かが光った
洋子が 
「やっぱり男の子ね あんなに小さくてもフェアレディーZを
知っていて 一番好きな車って自慢しているんだもんね」 
「うん スーパーカーは大人じゃなくて子供のものかな そうか
わかった 御殿場アウトレットで本物のスーパーカーを子供用に
開放すれば良いんだ その方法だ」
「喜ぶわね 毎週来たくなるわきっと」
「洋子 難題が解けたらおなかが空いた 何か食べよう」
「ねぇ そうしたら亜矢子さんのところで食べましょうよ 近いでしょ」
「うん でもねぇ」
「大丈夫よ そんな事気にしていないわ そこでビールを呑んで
一休みすれば良いでしょ 電話で聞いてみるわね」
洋子は亜矢子に電話をしたら
「洋子です こんにちわ」
「こんにちわ 亜矢子です」
「実はお仕事兼ねて富士の五合目に来ているの 
それで食事をしたいんだけど その後2時間くらい休ませてくれる」
「ええ いいわよ 高いわよ ふふふ」
「いやね そんなんじゃないわ ビールを呑みたいの」
「ええ どうぞ お部屋を取っておくわ フロントで言ってね
私はこれから巡回でお相手できないの ごめんなさい」
「ううん こちらこそ 美味しいお肉を食べるって」
「ええ そちらも話して置きます カウンターで良いでしょ」
「ええ ではお願いします」
「は~い 分りました 気を付けてね」





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