私も以前頂きましたが 神山様と同じ感触でしたよ 放置時間と
焼き上げる時間が微妙に関係してきますね」
「ありがとうございます 少し勉強させて頂きました」
マスターはお辞儀をして空いた皿を持って厨房に戻っていった
「そうか そうだったんだ そうすると幾ら美味しいお肉でも
その放置時間を間違えると不味くなっちゃんだ」
「良い勉強したわ 機会があったら家で試してみるわ」
「そうだね それがいい」
二人の仕事が少しずつ動いていった
殆ど食べ終ると 洋子も
「おなか一杯です ありがとうございます ほんと
こんなに毎食美味しいもの食べたら 太ります 困るわ」
「大丈夫ですよ すぐに慣れますよ おなかが」
「そんな ほんとですか?」
「うしです」
神山と洋子は顔を見合わせ笑った 神山はロレックスを覗くと
まだ20時30分になっていなかった 洋子に
「ねえ 少し散歩しようか」
「ええ そうするとおなかにいいですね」
神山と洋子は2階に上がり内藤夫妻に御礼を言ってカウンターに行った
マスターが笑顔で迎え
「ありがとうございます またお待ちしています」
そう言って メモを神山に渡した
「企業秘密ですが 公にしている部分を書いてあります」
「ありがとうございます 頂きます」
神山が清算をしその店を出た
今夜も晴れていて 夜空には星が輝いていた
青山の夜はまだまだこれからで 会社帰りの女の子達が楽しそうに話し
男女のグループでは上司が女の子を引き連れて歩いていた
カップルも肩を寄せあってウインドーの光に照らされ歩いていた
洋子は神山の手を遠慮がちに握り
「いいでしょ」
と言って 今度はちゃんと握ってきた
洋子は楽しいのと嬉しいのがいっぺんに来て神山の肩に頭を寄せた
突然神山の携帯がなり出てみると祥子だった
「これから 名古屋に帰ります」
「うん分りました 上原は順調ですよ」
「では 明日気をつけて行ってきてください また帰ったら電話します」
「は~い 了解」
神山が電話を切ると誰なのお仕事ですか 洋子が言うので
「うん ニーナ・ニーナの方ですよ 今日これから実家に帰るって
上原を心配して電話をしてきた」
「大変ね ニーナ・ニーナさんも この後御殿場アウトレットですもの」
「そうだね 僕も大変だ 美味しい食べ物を一杯食べないといけないし」
「そうね 私 インターネットで探すわ」
「お願いします まあどちらにしても30日過ぎに本格的に稼動するので
それまでは 資料集めでいいと思うよ 実際鈴や食堂が
どんなコンセプトを打ち出してくるか判らないからね
基本的にこの短時間に覚えておけば 話が出来るでしょう 知らないより」
洋子も神山の言っている事がその通りと思い頷き手をしっかり握った
そろそろ表参道にさしかかった時に洋子が
「ねぇ ここは美味しいうなぎ屋さんがあるの」
「うん おおたでしょ 時々利用しているよ 美味しいもん
アルタの高橋さんも鰻はここって言っていたよ」
「な~んだ つまんないの知らないかと思っていたのに」
洋子は握っている手を前後に振りだだをこねている子供のようだった
「わたし 絶対にここは知らないと思っていたの だって 駅前の
お寿司屋さんばっかりでしょ 残念でした 洋子です」
よほど嬉しいのか 残念がっている様子は全然なかった
表参道に来るとファッションが変った カジュアルなファッションが
多いがおしゃれに決めている しかし神山と洋子は群抜いて
おしゃれをした仲間に入っていた
Gパンは同じでもジャケットがベーシックなので目立ち 履いてる靴が
そこらの若者と違い皮なので格好良かった
洋子の格好も靴が行き交う女性と違い品がありおしゃれに見える
まだ4月というのにTシャツ姿の若者達は謳歌をを楽しんでいた
洋子がこの近くにカクテルを呑ませるお店が在るから行きたいといい
「何でも揃っているのかな」
「うん 私は年に数回しか来ないけど 結構種類はあるみたい」
「行ってみよう」
神山と洋子はその店に向かった 角を曲がった店は直ぐに判った
入ってみるとジャズが鳴っていて みな楽しそうに踊ったり
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