2011年5月27日金曜日

Vol.321 鈴蘭 -2-23


「そうだね 入社記念だ 少し早いけど受け取ってください」
「何時もありがとうございます 頂きます」
「一つは田所さんよ」
「ではお邪魔しました ゆっくりしていって下さい」
神山はお辞儀をして挨拶を済ませ内籐を2階に見送った後 席に戻った 
「何かしら プレゼントこの間頂いたばかりでしょ」
「うん このロレックスがそうさ これ普段お店で扱っていない
直売店用で 日本にも余り無いんだって 希少品ですね」
「そうよね わたしも見た事無いもん 開けてみようよ 早く」
神山はなんだろうと思って開けると見覚えのある包装紙が出てきた
「ロレックスだ」
更に包装紙を開けると ロレックスの箱が出てきた
「ふぁ~ ロレックスって 欲しいとは思っていたんだけど、、、」
洋子も神山も一緒に箱を開けた
数字の書体は一緒だが洋子の文字盤にはダイヤモンドが施され
腕にはめてみるとぴったりと合っていた 今の格好でも光っていた
神山のはゴールドとシルバーのベルトでタキメーターがついていた
神山もはめてみたが 決まっていた
「ふぁ~ 素敵よ 帰りにご挨拶すればいいかしら」
「うん 今行って来よう」
神山は洋子と2階に内藤夫妻を探しあがった 直ぐに見つかり
「ありがとうございます いつもお気に掛けて頂きまして幸せです」
「ありがとうございます こんな素晴らしいの頂きまして 大切に
使わせて頂きます」
「ええ 頑張ってね お願いよ」
二人はは挨拶を済ませると自分達の席に戻った
「嬉しいわ」
「うん 素敵だよ 大切に使わないとね」
「ええ 貴方のも格好いいわ コンビが素晴らしいわ 確かこの時計
日本で余り無いはずよ だから取り寄せたのよきっと」
「そうだね 僕も知っているよ オークションなんかでまがい物が
高い金額で取引されていて 一時問題になったもんね 凄いや」
神山はタキメーターをしまい 今のままにしたが
洋子は貰った時計を腕に付けた
二人が時計で喜んでいると ステーキとワインが運ばれてきた
マスターがワインをグラスに注ぐと
「ステーキはこちらがお勧めで こちらが良く注文を頂くほうです」
神山と洋子は取り皿に半分ずつにしてわけた
「さあ では頂きましょう 乾杯」
「さてどちらから頂こうかしら 迷うわね」
「僕は お勧めから頂くよ」
「そうしたら私も」
二人はじっくりと味わいながら食べた ワインを呑み別のステーキを食べた
「お勧めは確かに美味しいね わかった人気があるほうがとろけるんだ」
「そうね そう言われると うん確かに違うわ」
「どう パレルと比べて」
「うん どちらもどちらかしら しかしこちらの人気があるステーキの方が
私は美味しいと思うわ あなたは?」
「うん ぼくもこちらの人気あるステーキが美味しいと思うよ
とろける感じと 歯ごたえ 勿論ジューシーさが必須だけどね」
「そうね あなたが言う通りだと思うわ」
ステーキ談義をしているところへマスターが笑みを浮かべこちらに来た
「どうでした お味は?」
「ええ なんとなくですが 人気が有る方はとろけますね 
それしか分りませんが」
「そうですね しかしお肉はこのお勧めの方が高いんですよ」
そう言って マスターは生の牛肉切り身を二人に差し出して
「どちらが美味しいか 味わってください」
神山と洋子は小さく切られた牛肉を食べた 神山は
「こちらの方が味があって美味しいですね これが人気のお肉ですか?」
「いえ こちらがお勧めです でこちらが人気のお肉です」
神山と洋子はなんで違うのか分らなかった
「お肉は保存状態で違ってきます 次に切ってから焼くまでの時間
そしてご存知のように焼き上げる時間 勿論お肉がいいものですが
お勧めと人気のお肉は倍くらい仕入れが違います」
「そんなに違うんですか 生で頂いたお勧めお肉はどうして
人気のお肉に負けるんでしょうか」
「ええ この人気のお肉は食べて頂いたように 生ですと 特に
冷蔵庫から出したてだと硬いんです そこで放置をして置く事によって
お肉の中が柔らかくなるんです お勧めはそこまで放置しないでも
美味しさが出てくるんです 企業秘密ですがね」
「そうだったんですね なにか少し分りました」
神山は今日パレルでステーキを食べた事を話した
「多分ですが 切ってからの放置時間が少なかったんでしょうね





.