神山は洋子と顔を見合わせ笑った
タクシーに乗り込むと
「先輩 そうすると帝国屋にも行くんですか 何時かは?」
「うん そうなるかな 分らないけど」
「そうしたら 味見しますから呼んでください お願いします」
「こんどは どっかの受付嬢がいいかな ねぇ洋子さん」
「それも良いかもね」
「なんで そこで小谷さんが出てくる訳ですか?」
「小谷さんなんて言ってないぞ さては何か約束したな 洋子さん?」
洋子は
「いえ なにも ほんと 隠していません」
「ほら 隠していませんは 隠していますだよ ぼろが出た
翔 はっきり言え でないと左遷だ」
翔は困って 洋子を見た
「洋子さん 副社長の左遷と 先輩の左遷って どっちが強いんですか?」
「ほら 翔 言っちゃった 知らないぞ」
洋子が
「翔君 仕方ないわね 私が白状するわ 実は昨夜行った所は
副社長の2号さんが経営している所なの だから絶対に皆に
知られたくないって 隠しているの だからこの話が
周りに知れ渡ると大変な事になるの だから黙っていて お願いします」
「なんだ そんな事か 黙っているよ 翔も忘れろいいか」
「はい 分りました」
「結局さ その場で得意がっていても 最後に損をするのは自分だぜ
わかる 翔 だから忘れれば 怪しい言葉は出てこないよ 忘れなさい
さっき課長から尋ねられた時は 上手かったじゃないか
僕もひっやっとしたけどな 知らない事は知らない」
タクシーはパレルホテルの車付けに付き3人がおりた
最上階まで行くと荷物預かりがありそこで預けた
ウエイターが窓際に空き席があるので案内した
神山はメニューを見て 最上級のステーキとビールを頼んだ
ランチメニューではないので サラダと簡単なおつまみも頼んだ
翔はワインが無い事に気がつき
「先輩 ワインが無いですよ」
「うん 分っているさ ビールを呑んでからだ 慌てるな それより
美味しいお肉を五感で味わってな あとで感想文を貰う いいね」
「はい」
一番最初にビールとおつまみが出てきた 神山は小さい紙にメモをとった
「では 美味しいお肉に乾杯」
みんなで乾杯した 神山は呑み始めた時間を記入した
普通に食べ 普通におしゃべりした 翔がビール追加を聞いたのでOKと
答えると翔がウエイトレスを呼びビールの追加を注文した
神山はまた時間を記入した 暫くしてビールが届いた 今度は神山と洋子の
分を注文した それもメモった 神山は洋子に
「今は6,70%の入りでしょ 後でいいけど ここの席数と出来れば
従業員 ウエイターやウエイトレス 厨房の人数を把握して欲しい」
「はい 分りました」
洋子は言われた事を手帳にメモした 暫くして神山と洋子の
ビールが運ばれてきた 神山はメモった
杉田は自分だけ早くビールを呑んではいけないと思ったのか
余り呑まなくなり おしゃべりも減った
「翔 呑んでいいんだぞ 好きに呑めよ それもデーターになるし
但し書きが必要だがね」
「なんですか その但し書きって」
「うん 小谷さんに思いを寄せている呑み助って」
「うぇ~ そんな事さっきから書いているんですか 参ったな~」
そう言って翔はビールを注文した 神山は時間をメモった
「翔 今度 築地へ行くか」
「ええ 先輩と」
杉田は余り嬉しそうでなかった
「いや 催事課全員と 私たち2名と小谷さんだ どうだね?」
「嬉しいですけど なんかお役に立てるんですかね」
「わからない 翔 御殿場アウトレットに鈴やが出るだろ
その時の準備なんだ 全ては だから全然役に立たない
資料も有っても仕方ないだろう 僕は辛いけどな 仕事だから」
「いいですよ それで感想文ですね」
「うん そうだ 全員に書いてもらう ほんの些細な事までな
それと この話は一応倉さんには概要を話しただけだ
翔は 忘れてくれ いいね」
「そうよ 翔君 事前に伝わると 小谷さん来ないわよ 分った」
「はい 分りました 今度こそ忘れます 今夜小谷さんの夢をみて」
翔のビールが運ばれ 神山はワインメニューを頼んだ
洋子にメモを頼んだ
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