ウエイターがワインメニューを持ってきて説明をした
「そうしたら その一番人気のあるワインと 一番人気の無い
ワイン それから中間のワインをお願いします」
ウエイテーは畏まりましたと言って戻っていったが 首を傾げていた
暫くすると ウエイターが上司を連れこちらに来て
「いらっしゃいませ お客様ご注文ありがとうございます
只今ウエイターから聞いたのですが 私どもでは 人気の無い
ワインは置いてございません 大変失礼ですが 何かの取材でしたら
お断りさせて頂きたいんですが」
神山はカチンと来たが チャンスと思い 名刺を出した
「申し訳ございません 色々と勉強をさせて頂いているんです」
「鈴やさんにはいつもお世話になっています
ご無礼をお詫びください」
洋子も名刺を出すと 今度はもっと驚き 神山に対し深々とお辞儀をした
上司は 名刺を差し出した
【日比谷パレルホテル 担当支配人 二ノ宮三朗】
「私は この30日が辞令でして 秘書が先に出来てしまい
まあ 仕事優先で 連れています ここが美味しいお肉をご提供
されていると評判でしたので立ち寄らせて頂きました」
「そうだったんですか そうしましたら手前どものソムリエが居ますので
呼んでまいります おい君 ソムリエを呼んで来てくれないか」
ウエイターは厨房に戻りソムリエを連れてきた
お互い名刺交換をし
名刺には【日比谷パレルホテル ソムリエ 矢野 純一】
神山は二ノ宮三朗に伝えた事をはなし
ソムリエ矢野 純一も
「そうですね 難しいですね やはり ライトがお好きな方
ミディアム ヘヴィーがお好きな方 色々ですね」
「分りました 人気があるのは ライトですか?」
「ええ 今はライトボディーが人気があります」
「そうしましたら ライトで 一番呑まれているワイン それと
余り呑まれないワインをお願いします」
「はい 畏まりました たまに御社の時田さんもいらっしゃいますよ
美味しいワインあるかって」
「そうですか 白ですか」
「はい 良くご存知で」
「ええ 次長になるにはその位知っておかないとねぇ」
ソムリエは 神山を見直し深々とお辞儀をして厨房に戻った 二ノ宮が
「ステーキはご用意して宜しいでしょうか」
「うん お願いします」
二ノ宮も深々とお辞儀をして戻っていった 神山は時間をメモった
「先輩 格好いいですね すきっとしました」
「なあ この事は自慢話ではないんだ 忘れろ 小谷さんの夢見て」
「はい 忘れます しかし偉くなると皆秘密なんだな ねぇ田所さん」
「そうよ それが自分を守るの 杉田君は秘密を守ると見込まれたのよ」
「はい 分りました」
そんな話をしていると ソムリエがワインを2本持ってきた
「神山様を試すつもりは毛頭ございません ただ分って頂きたく
お持ちしました どちらが人気あるか分ります」
神山はかちんと来たが 頷き
「わかりました」
ソムリエ矢野 純一はワイングラスに少しづつ注ぎ神山に渡した
神山は 少し明るいほうのワイングラスを傾け色を見た
まだ若かった 口に含むとフルーティーで転がしてもごわ付かなかった
もう一つは グラスを傾けると先ほどより濃く何年か経っていた
味は まろやかで香りも豊富で素晴らしく良く 転がしても
邪魔にならない 美味しさだった
洋子と杉田は心配そうに見守ったが 神山が
「後に呑んだほうがお肉に合うと思います」
「さすがですね 感心しました」
「最初のはライトですがまだ若いですね しかし転がした時
ボジョレーのあの若さではないですね」
「はい 実は この2本は1番人気と3番人気なんです」
「美味しいのは 後から頂いたワイン?」
「そうです 2番人気はこのワインと同じミディアムなので省きました」
「そうか ライトも美味しいけれど ミディアムも美味しいですね」
ソムリエ矢野 純一はみんなのグラスにも注いで廻った
二人は神山と同じ事をして口に含んだ 翔は目を瞑っている
「どうもありがとうございます 勉強になりました」
「こちらこそ申し訳ございませんでした」
「そうしたら これは冷やして呑むとどうなんですか」
「ええ 美味しいですよ」
「ありがとう それでは ステーキを頂きます お願いします」
「では 2本とも置いておきましょうか」
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