大好きだった上野を離れ 銀座で頑張っても空回りし それが
ストレスになっていて しかし腹を割って話をすると私を
心配していてくれて嬉しかったです それからウイスキーとかを
訳分らなくなるまで呑んで 倒れました」
「そうそう あれを思えば 昨夜の僕は可愛いもんでしたよ ねぇ先輩」
「うん そうだな 悪かったな しかし今夜はお助けマン誰も居ないぞ」
「えっ 先輩 それはないでしょ」
「これから仕事だ 付き合えない だから呑んでも良いが
自分の力で 帰りなさい いいね」
「はい 分りました 自分の足で帰ります」
「僕が抜けた後 社長のお供をしてしても良い だけどちゃんとしろよ
ところで タクシー代持っているか?」
「ええ だけどぎりぎりかな」
「わかった」
神山は 1万円渡し
「これは 今まで 助けてもらったお礼だ 少ないけどな とっておけ」
「ふぁ ありがとうございます たすかった これで副社長の
ガードマン出来ます ありがとうございます」
「良かったわね 杉田君 ところで お仕事とは?」
「ええ さっきの荷物 ニーナ・ニーナの飾付けの小物なんです
それをシュミレーションしないと行けないので
今夜のうちにやっておいた方が 良いと思いまして
済みません社長 我侭を言いまして」
「いや その気持ちがないと だめだな うん勉強になった
うん 今夜は勉強させられた 杉田君 一つ正直に答えてくれ
それでこれは秘密だ 漏れたら君は左遷だ いいか
君の上司が欲しいか? それとも部下が欲しいか?
上司とは 山ちゃんのような 担当課長だな どうだ?」
「はっきりは分りませんが 僕は甘えん坊なので 先輩が欲しいです」
「わかった ありがとう 絶対に秘密だ いいね」
「はい 左遷なんて絶対に嫌です 銀座に骨を埋める覚悟です」
「ほお 洋子 さっき言っていた通り サムライだ
まだ小さいが サムライだな」
時田が涙ぐんだ すかさず洋子がハンカチを渡すと いらん と断られた
洋子は 昨日の神山を思い出し 胸を熱くした
翔が 時田の涙を見て
「副社長 ありがとうございます」
と 一言いい 時田にお酌をした そして自分の小さいグラスに注ぎ
一口で呑んだ 今度は時田が 神山と杉田にお酌をした
二人とも ありがとうございますと言って 又呑んだ
そこへ女将が日本酒と細巻きを持ってきた
「ここの美味しい細巻きです」
「ほお 美味しいな ほら見ていないで食べなさい」
洋子も神山も杉田もネギトロをつまんだ
「先輩 ここに今度来ても良いですか?」
「うん いいよ 小谷さんを連れてくるんだろ」
「えっ なんで知っているんですか?」
「何も知らないよ このあいだ なんか未練たらしかったじゃん
だから 多分そうかなって 事さ じゃあ 上手く行っているんだ」
「ええ 携帯の電話番号を聞きました だけど誘って来てくれるかな?」
「それとなく聞いてみようか」
「だめです 悪口言われ 破談になります 絶対に駄目ですからね」
「わかった じゃあ 悪口一杯高橋さんに言っておく」
「わかりまし~た 何も言いませ だから グスン グスン 止めて」
「ははは 杉田君は正直もんで 純朴だな いいじゃないか
当ってくだけろ なぁ山ちゃん」
「えっ ええ まあ ええ」
「先輩 言葉になっていないですよ さては 田所さんに
いかれたんでしょ こんなに綺麗になったもんだから」
神山が何も言えず黙っていると 杉田が
「やっぱり 顔を真っ赤にしているし 僕の事苛めるからですよ」
「翔 違うって 言われた意味を考えていたんだよ 顔が赤いのは
翔だって 真っ赤だったぞ 早とちりするな」
「は~い 分りました なんだ違うのか 先輩嘘は駄目ですよ
いつも先輩が言っているんですからね いいですね」
みかねた洋子が
「ねぇ 小谷さんて アルタのかた?」
「ええ 凄く可愛くて あっ もう だめです
大人の人は話が上手だから すぐに引っ掛かってしまう
もう 上手なんだから」
「そう 私にも言えないの 折角情報を集めてあげようとしたのにな
.