2011年5月6日金曜日

Vol.300 鈴蘭 -1-22


4月20日 月曜日 夜 
「やあ 遅くなって ごめんごめん」
「大丈夫よ 高橋さんと色々とお話をしていたから」
「やあ ようやくお出まし」
「うん すんなり出られなくて」
「何方と一緒だったの」
「うん うちの副社長だよ」
「副社長がなんで 神山さんと?」
神山はお昼 副社長室で起きた出来事を説明した
「あ~ 私も食べたいな 大好きよ~」
「わかった 電話で聞いてみる」
神山は駅前寿司屋に電話をしてまだ残っているか聞いた
大将はまだ大丈夫と言った すぐ行くので残して欲しいと伝えた 
「大丈夫だよ まだ残っているって」
「わぁ嬉しい」
「ねぇ孝ちゃん 今日の終わりって何時頃になる?」
「うん この調子だと あと1時間か2時間でしょう」
「そしたらさ 待っているよ」
「でもいいの?」
「鯖寿司が待っているよ」
「分った 鯖寿司を食べに行く」
神山は祥子に会社で購入した珊瑚の砂などを見せ棚板に実際に飾ってみた
周りに祥子のバッグや自分のバッグを置いて感じを掴んでもらった
「ふぁ 素敵 綺麗でこの砂が珊瑚だから奥深い色を出しているわ」
高橋も近寄ってみて綺麗だと言った
「そうすると 7月に入るとこれ使える?」
「うん 7月8月は白い貝殻を置いて 9月、10月は流木を考えた
余り季節感は出さないけど何処かで 例えば色とか形とかで
つながるように関連付けとけば 見る人も違和感無く観られるよ
肝心なのは これが主役じゃないから そこが難しい」
「そうですね 先ほど副社長があのルーバーをみて
でしゃばっていなく優しい光を出している いいな と言われてましたよ」
「副社長のお墨付き 凄いわ」
「まあ そんなとこです さあ片付けましょう」
「は~い でもこのグラス高かったでしょ」
「うん 一個5000円だったよ」
「え~ そんな出ないわ」
「そこで 領収書は5000円で これだけでいいよ」
神山は鈴やの領収書を渡した
「後は?この珊瑚とか」
「僕からのプレゼントさ 開店お祝いさ」
「いいの ほんとうに?」
「いいさ」
「久保さん もう直ぐ理事ですよ 大丈夫ですよ 今だって
着ているもの違うでしょ 靴も」
「あっ そうだ なんか違うなって思っていたの 格好良くなったわ
前より 素敵 そうしたらお言葉に甘えます」
「うん いつ分ってもらえるかと思っていたんだが 残念でした」
「山ちゃん いいじゃない それだけ着ている物じゃなく中味で
判断してくれている訳だから」
「うん 言う通りだ では孝ちゃん お先に」
神山と祥子は片付けを終え店を出て寿司屋に入った

女将が奥を案内し何も言わず戻った
「ねぇ 次長になるとどうなの?」
「どうなのって?」
「うん 毎日こうやって逢えなくなる?」
「うん 分らないな ほんと しかし分っているのは
今後 構想範囲が広くなる事は確かだ それに毎日上原とはどうかな?」
「そうよね 御殿場アウトレットが中心になってくるもんな 寂しいな」
「そんなこと言ったて 僕だって今のままで仕事を続けられれば
安定しているし 仕事しやすいよ しかしみんなにある程度認められ
乗り越えなければ 負けだと思うんだ」
「そうよね その通りだわ だけどあなた たった3週間ちょとで
凄く環境が変って 私心配しているの だって逢ってから1週間で
部長でしょ 来月は理事 それも副社長直轄でしょ 
なんか 私 だんだんと寂しくなるの 特に今日秘書の方と来られた時
私の手元から離れていくような不安が湧いてきたわ」
「それは表面を見ていれば そう映るよ しかし 今回これから
やって行かなければいけない事は 昨日も話したように
彼女を前面に出し 商談相手に威力をぶつけて行かないと 負けなんだ」
「そうね 昨夜のこと 今日もちょっと考えていたの
当たり前よね女性にとっては 知らない間に媚びを作って商談したり
女を武器にしているのよね」
女将が 鮮魚の盛り合わせとしめ鯖 ビールを運んできた





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