「うん 困った」
洋子と高橋は顔を見て笑った
「孝ちゃん 今夜は忙しい?」
「うん ちょっとね 今夜は遅くなります」
「うん ではこちらの現場もいいかな?」
「大丈夫ですよ」
神山は洋子と現場を離れ 時計を見ると19時になっていた
「さあ 仕事は終わり 次は食事だ どこに行きたい?」
「私はどこでも付いて行きますよ」
「わかった そうしたらイタリアンでもいい?」
「ええ 大好きです」
神山は『イタリアンレストラン スパ』へ電話をして特別に予約を入れた
タクシーで青山に向かう時に
「ねえ 洋子と翔なんだけどなんか僕に隠していない?」
「えっ 何にも無いわよ」
「うん 昼から可笑しいと感じているんだ まあ何も無ければいいや」
(凄いわ見抜いている しかし翔君にも責任あるし まだ黙っていよう)
神山は聞いてもそれ以上でて来ないだろうと思って 諦めた
二人は次長室の使い勝手など話していると 店に着いた
店内に入ると カウンターにマスターが居て 予約した神山だと伝えた
マスターは
「先月 内藤様のパーティーに招かれた方ですよね」
「ええ 良く覚えていらっしゃいますね」
「はい 覚えるのが商売です ではご案内します」
マスターは奥に仕切りがあるテーブルに案内した
「最初はビールをお願いします その間に決めます」
「はいかしこまりました」
神山と洋子はメニューを見て食べる物を決めていった
ビールは直ぐに運ばれてきて メニューを注文した
「では 乾杯」
「はい 乾杯」
洋子は嬉しくてたまらなかった スーツでなく神山と同じ格好で
一緒に居られる事が幸せだった
「洋子 今着ている格好だけど 普段お休みの時もそんな格好するの?」
「ええ 普段家にいる時はホント色々よ」
「女性は着る物が安いって言うけど それは普段着で仕事着は高いよね
男性の場合 よっぽどでなければ そこらへんの吊るしで間に合うけど
女性はそうはいかないもんね」
「そうよ だから最初あなたを見た時 いいなぁと思いましたよ
だけど 服が仕事をするんじゃないって言った時 なるほど
この人しっかりしていると感心しました」
「やっぱり そうか そうすると戦略作戦が当った訳だ」
「そうね だから嬉しいんです 上司がしっかりしているから」
「そうか よかったよ だけどここまでかもしれないよ」
「そんな事無いわ 大丈夫よ 結構観察してますが確信しています」
「うん 僕もしっかり洋子を観察しているよ ますますセクシーだし」
「それって躰の事でしょ」
「まずは外側から剥していかないとなかまで到達しないんだ
だから なんでも良いから観察をしているのさ」
「まあ でもそうね 突然内からなんか分らないし う~ん」
「ところで 休みは何時取るの?」
「ええ 貴方より早く辞令貰ったけど 仕事が中途半端なので それに
あなたのスケジュールも分らないので 全然入れていないわ」
「そうか それはそうだ 僕が悪いんじゃなくて人事が悪いんだ
そうしたら 明日22日 23日は休んで下さい 24日は午後から
いや 夕方に上原の現場に来てください お願いします
24日はこの格好でOK 現場を手伝って貰うかもしれないので
だから 23日は休んで24日に引継ぎにあてればどう?」
「ええ ありがとうございます 私は引継ぎが余りないので と言うより
席に居れば何かしら仕事は有るんですよ 居なければ何とかなるんです
情報の共有化で仕事が楽になりましたが 私としては部下に頼られない分
少し寂しい思いがありますね だから昨日の翔君を見ていると
貴方が羨ましかったわ 翔君寂しがっていたわよ」
「そうか まあ仕方ないね」
「ところで 明日から24日までどうされるんですか」
「うん 明日はアルタの小田原工場見学 その後は 温泉さ
そして24日は小田原工場に立ち寄るかどうか分らない
夕方に上原の現場です」
「ふぁ~ そんなにお仕事して大丈夫?」
「まあ 辞令貰ったら ゆっくりと骨休みするさ」
洋子は本社人事課に電話をした まだ係長が残業していて
「どうしたの 洋子」
「ええ 23日の木曜日ですが休みにしてください 23日に秘書課に
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