2011年5月12日木曜日

Vol.306 鈴蘭 -1-22


「私ね 今日は倉庫に行くのだから少し早めに行くわ」
「うんわかったよ」
「昨日 上原のリストアップ作業をして どうしても
倉庫で確認をしなければいけなくてね 困ったわ ほんと」
「どうしたの?」
「覚えている 林さん?」
「ああ 店長で今 御殿場アウトレットの下準備で全国行脚」
「そう 彼女がきちんと数字を報告していない事が判明したの」
「うん?」
「薄々わかってはいたの 倉庫と伝票が合わないの」
「大変だ そんな事一大事だね」
「そんな事もあって 上原の事もあって行くのよ」
「上になると大変だね」
「そう あなたも気をつけてね 何があるかわからないわ」
「ところで 昨日買ったスーツだけど あれって夏はどうなの」
「ええ一応 大丈夫だけど 真夏はどうかしら だけど外回りの
営業ではないでしょ」
「うん 自分がこんな格好なんでわからないんだ」
「ええ あるわよ 夏物 そうしたら返品しないで置いておくね」
「うん あとね 普段次長室で着るのにどうするか考えているんだ
結局 お出かけ用で まあ挨拶用で買ったけど 実際部屋にいる時は
私服と言ってもスーツで無ければいけないかなって」
「そうね 鈴やさんの制服でも良いんじゃないの」
「そうか 後は僕と同じ格好をしてもらう」
「うん それもありね あの方プロポーションいいから
何でも着こなせると思うわ」
「そうか 祥子が言うのだから間違いないね 今日相談する
お出かけ用買いました 2着です あと知りませんでは可哀相だよな」
「そうね 部下だし特に女性だし ちゃんと見てあげないと後が怖いわよ」 
「そんなに脅かさないでくれ こっちも大出費さ 困ったよ
ところで祥子が昨日着ていたスーツはパリ?」
「ええ パリよ なんで」
「一昨日の夜 ワンランク下って言っていたでしょ 幾らなのかな?」
「あれは確か正札で30万円かな あれを仕事着にするの?」
「うん 選択肢があったほうがいいでしょ 上の人間としては」
「そうね あれでも日本製よりずーっとましよ 軽いし 違いは
やはり形かな ほんのちょっとの所だけど 普通はわからないわね
私だって 両方を見比べるてわかるくらいで
だって 昨日 彼女が試着したでしょ 私の着ていたのと
どうだった 勿論種明かしをして有ったからそうゆう目で観たと思うの」
「そうだね そう言われれば 変らなかったよ うん」
「でしょ それでね パリではその下のクラスが売れているの
ビジネススーツで それは18万円かな 違いは 袖の付け根が
少し大きいの だから腕が回しやすいし 動きやすいわ
パリで試着した時 絶対これいけると思ったら これが一番売れている
商品だって言われたもん 私はそのほうがいいな 挨拶はあの2着でしょ
次長室のお仕事着は18万ので だって生地は一緒 腰の
絞りが少しだけ甘くなっているわね でないと動けないから」
「うんわかった 2着残しておいて 2着有れば大丈夫だよね」
「ええ 大丈夫よ パリでも直ぐにはなくならないわ それより
靴を考えたほうがいいでしょ 同じハイヒールでもっと安いのを
今日倉庫から出しておくわ 靴は3足くらい合ったほうがいいと思うわ」
「わかった 種類があると思うけど 大体幾ら?」
「大体5万円くらいね そのくらいよ」
「では お願いします ほんと昨日アルタの高橋さんが言っていたけど
すぐになくなりそうだ」
「仕方ないじゃない お仕事の要は先行投資ですもん 倉庫行ったら
お仕事用のを選んで銀座に入れるわ ブラウスも パリの女性が
お仕事する時着る 一番売れているのを準備するわね」
「しかし あくまで選択肢の一つだよ そこはわかってね」
「大丈夫よ」
神山と祥子は食事の片づけをし 出かける格好をすると祥子が
「さあ出ましょうか 早くしなさい」
「お化粧は?」
「うん 今はこのままよ 倉庫を出るとき ちょこっとお化粧かな 
だって商品についたら大変よ だから倉庫の時はしないの」
そう言い かるくキスをした すっぴんでも綺麗だった
神山は部屋に戻り仕度してあったバッグを持ってでた
二人は エレベーターの箱が来るまで唇を合わせた
「だって貴方が帰って来るの24日でしょ 寂しいわ」
祥子は覚えていた 箱が来て扉が開いても抱き合っていた

二人は現場まで手を繋いで歩いた 今日は祥子が現場に寄らないので
別の道を下った 改札口に来ると





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