2011年3月29日火曜日

Vol.262 青葉 -6-20


「ごめんごめん 驚かすつもりちょっとあったけど 言いそびれて ごめん」
またまた大爆笑になった 
「ごめん知らなかったから それで田所さんもスーツではなくていい
あまりカジュアルだといけないが 任せます」
「だめです キチンと決めてください 神山さん」
また大爆笑 どうしても笑いが止まらなくなった
ぎこちない二人のやり取りを 奥村と倉元は 微笑ましく眺め
大丈夫 この二人ならこの仕事を乗り切ると確信した
「わかった ビジネススーツを作る 田所さんのだ」
「ビジネススーツは持っていますよ」
「いや 仕事着だから 自宅のとは区別する いいね その代わり
直ぐに着られる様 会社に置いておく事になるかな 
今 どのくらいしますか?」
「安いので スリーシーズンだと8万から10万です 
夏物も同じくらいです」
「分った 白いブラウスは?」 
「そうですね 2万円前後だと思います」
「わかった 黒い靴は?」
「1万円位でしょうか」
「ねぇ 由香里姫 大体そんな所でそろう?」
「ええ 余るんじゃない」
「分りました ありがとう」
神山はポケットから札入れをだして 1万円札を30枚を田所に渡し
「このお金で 早速先ほどの ビジネススーツ ブラウス 靴を
揃えてください 出来るだけ高いほうがいい
足りない分は 建て替えておいてくださいね 28日に払うから
そうだ イメージが湧いてきたぞ スカートはストレートではなく
少しタイトがいい 上はオードリーヘップバーンが着ていたような
3つボタン いや 2つボタンのダブルが素敵かな ブラウスは
衿が少し大きい形で開き 靴はハイヒールがいい どうでしょう
皆さんのご意見は」
「先輩 ばっちりじゃないですか いいと思います」
「おう オレもいいと思うな」
「私もいいと思うわ 洋子 綺麗だからますます綺麗になるわ」
「そうだ 生地は多少サテンがあっても良いけど 目立たないくらいだね
そうゆうのありますよね」
「ええ あります」
「イメージは湧きましたか?」
「はい 分りやすく説明してくださったんで OKです」
「そうだ バッグ これは ハンドバッグはだめで
ショルダーバッグがいい デザインは」
神山はテーブルに指で書いてこんな感じでこんな風にと説明した
「はい わかります」
「絶対に安い物はだめだよ 出来れば貯金を一時的に降ろしてでも
買ってください 協力してください」
「ねぇ 山ちゃん さっき自分はスーツ着ないで なぜ秘書を
そんなに着飾る必要があるわけ?」
「うん 僕なりの考えだけど 主役がキチンとしているのは
どこの世界でも一緒でしょ しかし秘書がごく普通だと
主役だけではなくその会社全体まで普通に見られてしまうんですよ
この心理を逆にとって 主役はなんだこの格好はと思わせ
しかしこの大事な会議だから何者だろうと思う訳
そして秘書が洗練された姿 普通品でない物を身に付けていれば
相手はそれだけで引き そこで勝負がつき話しを優位に進める訳です」
「うん 山ちゃんの言う通りだ 俺なんかも良く出かけるでしょ
だけど相手がきちんとスーツなんて当たり前でしょ しかし
女性が素晴らしく素敵だとそこで負けちゃうね」
「おう 良いんじゃないか ちょっと待ってくれ」
倉元は 由香里とはなし 20万円をだした
「おう 山ちゃん オレも賛成だ コレ貸しておく 利息はアルコール」
奥村も財布から5万円出し
「山ちゃん 僕も出します 利息はいらないよ」
「みなさん ご協力ありがとうございます さあ田所さん
皆さんに借用金を書いて下さい 倉元さん 20万円 奥村さん5万円
神山 30万円  由香里姫 これだけ有ったらどうだろう さっき言った
高級品とまで行かなくとも結構な線でいけますか?」
「ええ 充分すぎるんじゃない でも上は高いからな でも大丈夫よ」
「田所さん 社員カードでは買わないように 正札で買ってください」
「はい 分りました」
「なぜ もったないじゃない それに会社で使うんでしょ」
「うん さっき田所さんから聞いたんだけど ある程度
自由なお金が出るんです これは秘密にしてください」
この時 洋子が笑い出した 
「どうしたの?」





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