2011年3月25日金曜日

Vol.258 青葉 -6-20


4月19日 日曜日 夕刻
「奥ちゃん 話しがあるんだ」
「おっかないですね なんですか 倉さん?」
田所の挨拶が終わり いつもの催事課に戻ったころを見て話をした 
先ほど神山と杉田そして倉元が出した提案を伝えた
どうしても造花はこのお中元に欠かせない装飾品で 現状の造花では
出来ない事 誤魔化すとそれをカバーするのにまた予算が追加してしまう
中元予算は現在 対予算イーブンなのでどこから捻出するか
「ええ 私も考えていたんですよ どからか出れば使おうと」
奥村も困っていた どこからも余ったという話しを聞かないし
斉藤も難しいと言っていた 店長に話そうか迷っている所だった
「おう 奥ちゃんさ さっき赤坂センターの見積もりを見たんだけど
看板類を減らせば 造花なんとか買えるかなという感じなんだけど」
「あっ それ行きましょう いいですね そうしましょ」
「おう 奥ちゃん簡単に言うけど 店外催事だから枠が違うんだよ」
「ええ 分っていますよ 何とかします ねぇ由香里姫」
「えっ 知らないっ また 知りませんよ 帳尻併せで残業は嫌ですよ」
「わかった わかった 残業しないから ねぇ よし倉さん買おう」
話しはすんなり済んだ
「おう 山ちゃん OKでたぞ しかし間に合うか 翔の分で」
「僕は10万持っていますよ」
「おう そうか それだけあれば大丈夫だな」
「ええ 鈴や装飾ですがね 一応彼の所に預かって貰いましょうか?」
「おう そうだな そうしよう しかし良く貯めたな」
「まあ 何かの時にと思いまして 内緒ですよ」
「おう 分った オレも10万位あるが使わないでおこう」
二人は見合わせ笑った
神山は仕事に集中をしていると6時になった
祥子に連絡を入れないとまずいと思い外へ出て携帯を使った
「はい久保です」
「神山です ごめん忙しい所 今夜だけど?」
「ごめんなさい ここのスタッフと食事があるの
帰ったらお話しします」
「分った 僕も催事課で呑み会が出来た」
「遅くなっても待っています」
「了解です」
「呑み過ぎないようにね」
電話を切って 店舗の1階周りを色々と見て廻っていると
ニーナ・ニーナの外側に来た
たまたま祥子が外側を見ていたので手を振ると 笑みで返してきた
一通り見回ったので部屋に帰ろうとした時 後ろから声を掛けられた

振り向くと田所洋子であった
「やあ 早いですね 大丈夫ですか そうか6時で終わりですよね」
「ええ 大丈夫です」
神山は時計を見てみると 6時過ぎだったので
「田所さん 少しお茶を飲みませんか」
「はい 分りました」
洋子は何も聞かず 笑みを浮かべて付いてきた
事務所の向かい側にある 喫茶レイに入った
「すみません しかしちょっと話しておきたい事があるので」
「いえ 構いませんよ」
「実はご存知だと思いますが この手の仕事は24時間
フル稼動しなければいけない時が有ります 大丈夫ですか」
「はい 覚悟をしてお受けしました 人事や秘書からも言われました」
神山はほっとして
「な~んだ 知っていたのか 良かった いや男性でもきついです
だから女性だったら余計にきついだろうと思って」
「ええ そうですよね だけど神山部長がいえ次長が
徹夜をされているのに お先に失礼しますは言えませんよ」
「まあ そうだね それと部長や次長は辞めて欲しいな
第三者がいる時でいいよ その他の時は好きに呼んでくれれば」
笑みを浮かべながら
「分りました 神山さんって とても優しいんですね」
「いや そんな事ないよ」
「ちゃんと 調べてありますよ 神山さんのことは上野の時から」
「えっ それはないよなぁ まいったな」
神山は全然困った様子ではなく言葉だけだった
「あと あとあと必要になってくる事だから話すけど
何かあったとき 例えばこちらで会計をしなければいけない時とか
出てくると思うんだ 絶対に その時の為に 田所さんに
僕のお金を預かってもらおうと思っているんだけど どうかな?」
洋子はまた笑みを浮かべ
「大丈夫ですよ 理事の1級になられると お給料とは別に





.