今度は店長が秘密をばらしてしまったらしい 頭をかき 洋子に
「すまん 勘弁」
と謝ったのでまた大爆笑になった 収まったのを機に奥村が
「田所さん 催事課はいつもこんな感じです 仕事の時は
厳しいですが あとは何時もこんな感じです 宜しくお願いします」
今度は洋子が立ち上がって
「先ほど神山さんのスピーチを聞いていて 付いて行ける男だと
決心しました 仰られたように仕事の内容がハードで心配してくださり
優しさは感じていました
しかしその後 お金の事 いわゆる会社のお金ですがそのこともきちんと
考えておられ ちゃんと先を見ているんだと感心しました
しかし 私がいままで見てきた男性には神山さんのような方は
何名かいらっしゃいました がしかし会社のお金を使ったり
うそばっかり通して自分の首を絞める方ばかりでした
そんな中 神山さんはそれまでの男性と違った 芯を見る事が出来
先ほどから考えていましたが 嘘を言わず
話しをきちんとできる そうゆう人物なら 付いていくと
思っていた所 先ほどの件で 決心しました」
「ありがとうございます しかし 山ちゃん 羨ましいな」
「そんな 何も話していないですよ」
店長が洋子のはなしを聞いて
「山ちゃん 田所君が言っている事はうそではないぞ
ワシもいままで田所君が言っていた男を知っている しかしな
嘘をつきとおして 首になったり あとは天狗になり めちゃくちゃな
仕事をしたり 結局会社にとってはマイナスなんだよ
そこで言えるのは そんな男に付いていた秘書はと 後で非難される
だから彼女も 考えていたんだと思う そうかな田所君?」
「はい そうです 嫌ですもの そう非難されるのは」
「山ちゃん そう言う事だ 彼女を悲しませたら首だからな」
「えっ そんな まだ 辞令も貰っていないのに そこまで飛躍ですか」
また大爆笑だ 収まった所で奥村課長が
「よし 改めて 皆起立 お二人の昇進前祝で」
「課長 ちょっと待ってください昇進ではなく二人とも特進です 特進」
またまた 大爆笑になった
「え~ お二人の大特進の前祝で かんぱい」
みんなも かんぱいをして席につき ビールを呑んだ
神山の隣りの店長が
「山ちゃん 凄いな しっかりしている」
「えっ」
「さっき田所君が言っていた活動費を考えるとは なかなか自腹は
考える人間はいないぞ ワシはそうゆう発想をもった男は初めてだ」
「そうですか だけど当たり前ですよね あとで会社で清算して
戻ってくるんですから」
「うん 山ちゃんのような人間ばかりじゃないんだ そこだな
会社はその人間に見合ったお金を出すわけだ 分るだろ」
神山は頷き 奥村も頷いてきいた
「だから 金に目が眩むと悪い事をする訳だ ただ悪い事をしても
嘘をつかなければなんとかなる 対処の仕方もね つき通すと
どうにも成らなくなり 終ってしまう 解雇だな
まあ 山ちゃんの事を調べたが 太鼓判10こ押しても
まだ余るくらい大丈夫な人物とみて 銀座に呼んだんだよ
だから 山ちゃんがこけるとワシもこける 田所君もこける 頑張ってな」
神山はそこまで考えて 銀座に呼んでくれて そして次長までしてくれて
ありがたいと思った 胸が熱くなり 目を潤ませてしまった
ずっと下を向いている神山に田所がハンカチーフを渡そうとすると
「あっ ありがとう 大丈夫さ 店長ありがとうございます」
そう言ってまたビールを一気に呑みほした
シーンとなりかけた所を 杉田が
「店長 そうすると来年のウインドーコンテストに先輩は
出られないですよね 本社だし なんたって次長だし それに
今回最優秀賞を受賞しているし 来年は遠慮しますよね」
そこでようやく皆が笑った 倉元が
「おう そうだぞ 翔が言う通り 来年は遠慮しろよな
仕事でも 追い抜いていくし 役職でも追い抜いていくし
少しは礼儀を心得ているんなら 来年は倉元さん頑張ってください
とかなんとか言っちゃってさ 遠慮して下さい それでないと
オレ自信なくしちゃうぞ 本当に 今だって傷ついているんだ ねぇ」
この倉元の訴えで大爆笑になった 田所も笑いっぱなしだった
神山もようやく普段に戻り反撃した
「倉さんには遠慮しても良いが 翔 君は容赦なく潰す
かかって来たら正々堂々と受けて立とう だけどお手柔らかにな
こっちも翔より年取っているんだから」
又笑った もう笑いが止まらない 店長も田所も
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