何回も言いながら箸を動かした
ゆっくりと食べているつもりだったが器が空いてしまい
次が来るまで間があいた
お品書きを見てみると
一、先付け 二、前菜 三、吸い物 四、刺身 五、煮物 六、焼き物
七、揚げ物 八、酢物 九、ご飯 十、留椀 十一、香物 十二、果物
と書いてあり バランスよく出されると思った
「そうよねこうやってみると バランスいいわよね」
二人で眺めていると吸い物が出てきた 説明があり今回は分った
「わかったよ今回は」
「誰だって湯葉くらい分るわよ ふふふ」
直ぐに刺身が出てきた 今度は別々に盛られ丸い器と2種類が来た
ウエイトレスが丸い器が 特別料理だと言い説明され
ビールが空いたのでワイン注文した
ウエイトレスは分りましたと言いさがった
「なるほどコレが特別料理か、、、美味しそうだね」
「ええここの板前さん結構腕いいと思いますよ
食材が綺麗に切られているし 盛付けも綺麗だし」
「そうか叔母さんは鮮魚店だものね 分るかやっぱり」
「ええ 今はそんな事聞かないけど 昔教えられたわ」
「あとは新鮮かどうかだね」
「ええ だけどホテルだから 滅多な物は出せないでしょ」
亜矢子はそう言い まず自分の所にある切り身から口に入れた
「美味しいわ叔母の所と同じ さすが良い魚を使っているわ
食べてみて美味しいから」
神山も自分の器から箸を進め
「うん うまいほんと美味しいよ」
「ねぇ この中トロを頂いてみて 私分るわ絶対あなた
うまいって言うわ」
神山は亜矢子が自信をもって言うので中トロを口にした
「ほんとだ うまい」
「でしょ 私ここの板さんすきよ 包丁さばき上手よ」
「なんで分るの?」
「うん ほら魚ってすぐに油が廻る魚と 少し時間がかかるのと
あるの 例えば鯛は切って直ぐに頂いても 美味しいけど少し
時間が経つと 油が廻る前だけどその時が充分に美味しいわ
だから鯛から頂いたの」
「そうか おなじ鯛でもそうすると 美味しさが違うのか」
神山はそう言って 今度は鯛を食べた
確かに亜矢子の言う通り美味しかった
「そうすると 鮮魚じゃないと美味しさが 分らないわけだ」
「そう だからおじさんも鮮魚には 拘っているわ」
話していると ワインが用意され
神山は氷入りのチェイサーを頼んだ
下駄の器はすぐに食べてしまった
「そうすると 活き造りはみなでつつくから時間が経っても
良いように 刺身にしてすぐに盛付けをするんだ」
「ええ あと切る魚の順番ね それも影響すると言っていたわ」
「さすがよく知っているね 勉強になるよ僕なんかそこまで考えて
食べていないから こんどそうゆう食べ方をしてみるよ」
ワインに口をつけながら聞いていた亜矢子は
「そうよ貴方はお魚が好きだから 食べ歩きをしてみたらいいわよ」
「そうだねそうしよう」
神山は上原の寿司屋のことを話した
いつも新鮮で毎日食べても飽きない
「今 現場の直ぐ近くに寿司屋が在ってね 2日に一回或いは
3日続けて食べているけど 美味しくてそれに安いんだ」
「羨ましいわね 美味しいお店が直ぐ近くなんて」
「何言っているんだよ 自分だって叔母さんの所あるじゃない」
「うん でも親戚のところは そうちょくちょくねぇ」
「そうだね 高校生くらいまでなら毎日通っても 今わね」
そう言っていると 活き造りも美味しく食べ 残り少なくなった時
次の焼き物が運ばれてきた 焼き魚に牛肉の朴葉焼きだった
「こちらはさげて よろしいでしょうか?」
「うん~ いやまだ残っているから悪いけど このまま残して」
亜矢子はくすっと笑いながら
「わたし 貴方のように正直に言っている人 大好きよ」
「ありがとうしかし 笑っていたじゃん」
「ごめんごめん」
「この朴葉焼きが特別料理だって よく出てくるね特別料理」
「そうね プラスのところで特別なんじゃない」
神山は刺身が残ったのを食べたり ワインを呑んだりした
朴葉の味噌がぐつぐつといってくるといい香りがした
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