2011年3月13日日曜日

Vol.246 青葉 -5-19


「う~ん 今のところ気になるところは無いけど
ただ ニーナ・ニーナの久保さんにも話したけど
26日のオープンをする事が大事で 細かい所はあとあと直せると
伝えてはあるんですけどね そこですね
結局 細かい手直し コレは希望を含めてだけどね それを一つずつ
こなす時間は絶対にないんだよだから24日に行ったら
まず自分なりにどうか判断し25日26日と通って聞きます」
「そう山ちゃんの言う通り 例え設計図通り出来上がっても
手直しが出てきた場合 オープンに間に合わない事が発生しますし
まあ私も25日は現場もありますから お聞きしますよ」
「そうだね だけど25日は殆ど無いでしょ あれだけきちんと出来てるし
什器も良く出来上がっているし 問題ないと思いますよ」
「ええ細かい所の微調整だけです なにしろ24日夜引渡しですから」
「了解です では後2日頑張って」
「はい山ちゃんも ゆっくり静養してください」
神山は携帯電話を切ると 静かに部屋に入りベッドに横になった
隣りの亜矢子はすうすうと寝息をたてていた
母親のガンや治療費の事で 精神的に疲れたのだろう
特にホテル業は ストレスが溜まりやすいしそれに輪を掛け
リーダーだ うっぷんを晴らしたくとも 持って行くところが無い
又 ストレスが溜まる悪循環を 繰り返していたのではと思った
自分だったら どうしているだろう
ストレスに潰されてしまうかもしれない
亜矢子は 唯一神山を頼れると思っている
そんな事を考えると 亜矢子と一緒にいる時は他の事を考えずに
限られた時間を 楽しく過ごそうと思った
ある程度自分なりに答えが出たので目を閉じると 睡魔が襲ってきた


4月19日 日曜日 曇り
神山は携帯電話のアラームで起きた
昨日は祥子とカラオケに行き その後自宅で工事の話をしながら呑んだ
60インチのモニターを使って説明したが モニターの大きさに驚いていた
今朝はあいにくの曇り空で 昨日の朝のようにテラスに出て
ゆっくりする気分にはなれなかった
FAXをみてみると何も入っていなかったので 会社の仕事に集中した
7時30分頃 祥子から朝ご飯の連絡があったので 部屋に行った
「おはよう」
祥子は口を突き出しキスを求めてきたので合わせた
「あはよう」
「昨夜は 遅くまで ありがとう 助かるわ」
「何時もそばにいるのに 聞いてよ」
「でもね 何を聞いていいか 分らない時があるの 
だから糸口が見つかった時に きちんと聞かないと理解できないのよ」
「そうだよね 畑違いだし 焦れば焦るほど 闇の中だよね」
「そうそう なにか掴めないの そうすると言われても なに話しているの
もう少し分りやすく説明してよって なる訳 です
だから 昨夜のように糸口が見つかった時は 自分が理解しているから
納得も出来る訳 そうすると誰かに伝える時も 失敗はないわ」
「そうだね 理解して納得をしないと伝える事って出来ないね」
「だから さっきのキスはお礼のキッスよ 分った祥子ちゃん特別よ」
「はい ご馳走様でした」
「では 朝ご飯にしましょ」
「うんそうしよう お腹がすいた」
そう言い冷蔵庫からビールを取り出しコップも用意した
今朝は昨日と同じベーコンエッグの洋食だった
サラダが日替わりで出てきて美味しそうだった
祥子のコップにビールを注ぎ 乾杯をした
昨夜の出来事などを話しながら 食事を進め食べ終わると
「ご馳走様でした」
「どういたしまして 簡単なのでごめんなさい」
「いや 仕方ないよ こうやって食べられるだけ幸せさ者さ」
「今朝は現場に行かれるの?」
「うん 祥子は?」
「私は 直接銀座に行くわ 手配した商品の確認とか
24日に届かないと アウトだもん ねぇ 夕方って6時ごろだったら
バックヤードに入れられる?」
「う~ん 丁度什器が入ってくる時間だな 予定では
逆に3時ごろとかのほうがいいと思う そうすれば荷物をよけながら
置く事は大丈夫だけど アルタがね あちらも撤収でどたばたしているし
そうだな アルタの高橋さんに話すわ 午前中に電話するけど大丈夫?」
「ええ 大丈夫よ」

神山と祥子はマンションを少し早めに出ると





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