2011年3月24日木曜日

Vol.257 青葉 -5-19


奥村はメモをきちんと取っているが今回は長い時間だったのでメモも
一杯になり 探した

「え~ 田所さんについては 明日名刺が出来ますが 引継ぎなどで
あと神山部長のご都合や次長室の関係で 28日から席を移します
田所さんの挨拶は28日から行いますが次長の辞令が30日に
決まっていますので アルタさんニーナ・ニーナさんに限らせて頂きます
以上ですが 何か質問は? それから空き部屋にはいっている
装飾保管品は 早急に隣りにの部屋に移動してください
え~ 長期保管をしていて 使わないのもはこの際破棄するなど
見直しをしてください 後はペントハウスに保管してください」
みな質問はなかったが 神山が
「次長室に作業スペースを設けて頂く事は大変ありがたい話しですが
この部屋にある 私の席はどうなるんですか?」
「全て移動してもらいます」
「へぇ~ 引越しですか」
「ええ お願いします」
「参ったな~」
「こちらに置ける書類はそのままでいいですよ
次長室は現在上原で使用している設備がきます PCからモニターまで」
「おう 山ちゃんいいじゃないか 奥ちゃん冷蔵庫は?」
「はい 準備します でも山ちゃん扉開けたらビールばっかりは勘弁な」
ここでみんな大笑いした
「先輩 そうなんですか」
「うん まあな だってそれしか入れるものがないだろ」
それを聞いていた店長が
「早く いい人見つけろよ」
そう言ったとき又 大爆笑だったが由香里だけは笑えなかった

皆が笑いざわついている時 催事課の扉が開き 田所が入ってきた
「おお ようやく来たな さあこっちへ」
店長に言われ センターテーブルに来て
「本社の 田所洋子です 今 人事でお話しを聞き秘書室で細かい事を
伺ってきました あす辞令を頂きますが こちらには28日から勤務
いたします 分からない事がありますので よろしくお願いします」
お辞儀をして挨拶が終るとみんなが拍手をした 店長が
「こちらが 神山部長だ これから君のご主人様だ さあ握手して」
店長に言われ神山に歩み寄ると 手を差し出してきた
神山も手を出し握手し
「神山です 不束者ですが宜しくお願いしますね」
「いえ こちらこそご迷惑に成らない様頑張りますのでお願いします」
二人はがっちり握手をしていると
「おいおい いつまで手を握っているんだ まったく」
また店長の一言で大爆笑だった

手を離した田所に奥村が
「出来れば今夜 少しの時間でいいのですが空いてませんか
ここで 神山部長の昇進と田所さんの昇進前祝をします」
「ええ ありがとうございます 何時に伺えばよろしいですか?」
「6時過ぎでいいですよ 本社は6時ですから終ったら来て下さい」
「はい 分りました 伺わせて頂きます」
挨拶が終ると由香里のところへ寄って 手を握った
「良かったわね いい所に来て」
「そうね こんなに近いところに来れるなんて久しぶりね」
「抜けるとみんな寂しがるでしょ」
「どうかしら 私の下だけでしょ ふふふ」
「でも 良く本社が手放したわね」
「そうね おばさんのお仕事はお終いね ふふふ」
「まあ そんな事無いでしょ だって今だって人事のエースじゃない
こうみえても ちゃんと知っているんだから」
「ふふふ ありがとう ところでお母様はお元気?」
「ええ 相変わらず元気すぎて困っているわ」
「そうなのね うちの母も元気よ ほんとよく出かけるし 昨日も
泊りがけで 町内会の方とお出かけしているわ」
「へぇー うちの母もよくお泊りをしているわね
もっともその方がこちらも助かるけれどね」
田所洋子は斉藤由香里と同期生で 入社してからずーっと比べられ
才色兼備の二人は銀座の代表といっても過言ではない
以前銀座店に居た時は 総務部人事課だった 経理の由香里か人事の洋子か
以前から言われていて 境遇も似ている
父親を早くに無くし彼女と母親二人で暮らしている
由香里も洋子も家庭環境などお互い知っているので 仲が良かった





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