2010年10月17日日曜日

Vol.99 若葉 -1-8

「はあ 凄いですね こちらこそお手やわらかく」
(何とも 二人だけだったら もっと喜んだ表現が出来たのに、、、)
「神山さん 私は来週から地方へいって来ます」
「えっ どうして」
「地方の情報収集をしながら 準備室に必要な物を集めます」
「そんなに早く、、、」
(おかしいな 筒井さん 
林さんは銀座で後継者を育成って言っていたのに)
神山は筒井がなぜ作戦変更をしたのか分らなかったが
よその人事なので 余り気にしなかった
「そうなんです しかし筒井からの命令は絶対なので従います」
「今まで ありがとうございました」
「待ってよ そんな又 お会いする事も出来るのだし
御殿場の後は決まっていませんから 分りませんわ」
「そうですよね ニーナ・ニーナのために頑張りましょう」
「はい 頑張りましょう」
林を観察していた神山は会社の為とはいえ少し同情をした
注文した料理を皆で分け合いながら
会話が進むほどお皿の上は無くなって行った
最後の杏仁デザートを食べ終わったところで筒井が
「では 食後の会議には 林君と久保君は出席の事」
「はい」
「はい」
両名は起立をして聞いた
神山は祥子と最後まで口を利くことは無かったが
目でお互いの気持ちを通じ合わせていたので気にならなかった
列をなして本社ビルに向かう途中で浜野が
「神山さん これから色々とご指導を宜しくお願いしますね」
「ええっ こちらこそ」
神山は浜野の横顔を伺うようにしながら
すばらしいプロポーションの持ち主だとを確認した
「神山さん 私のほうも色々とご指導くださいね」
どきっとした 直ぐ後ろに祥子がいて話を聞いていたのだ
「はい 分りました」
祥子はくすっと笑い 二人を追い越し前に歩く筒井の側にいった
(なんだよ 脅かすなよ)
(でれでれしないでね 格好悪いわよ)                        

筒井とアルタの佐藤は7階の副社長室に入った
先ほど筒井に呼ばれた林と久保は先に6階の会議室に向かい
神山は会議室の予備室で筒井と佐藤を待つ事になった
筒井と佐藤は神山の経費確認をしたり 出店予算の確認をした
二人は会議室予備室で神山と一緒になり 会議室に入っていった
筒井は御殿場アウトレット出店の概要を説明した
施工業者はアルタ 設計、デザイン関係の監修を神山と発表した
更に祥子が関東地区統括マネジャーになることも発表した
祥子は自分が関東地区統括マネジャーになることは
予想をしていなかったし 聞いたとき不安と期待がこみ上げてきた
肩書きは筒井と肩を並べる副社長ではないが職制表で横に並び
あくまでも筒井が社長直轄だが関東地域では肩を並べるようになった
「さて 林君 3日後から御殿場の事務所と住居を
事務の津田靖男君と探してくれ」
「えっ 3日後からですか」
「うん 3日後からだ」
「そんな 銀座の事も何も引継ぎしていないし」
「うん 時間が無いのだ」
「すでに 津田君がめぼしいところを抑えてあるので
状況を把握し吟味して選んで欲しい いいね」
「はい 分りました」
「すまんが 明日午前中は銀座で引継ぎをしてくれたまえ
そして 久保君」
「はい」
「君は明日 銀座で林君から業務を引き継いで欲しい いいね」
「はい 分りましたけれど、、、」
きょとんとしている祥子に
「実際に上原の店舗が動き始めるのは2週間ぐらい掛かる
それまで 銀座できっちりと体制を固める事
それから 神山さん アルタの高橋さんと上原をお願いしますね」
「はい 分りました」
「それから 神山さん御殿場の件もお願いしましたよ」
「はい ニーナ・ニーナのご期待に添えるよう頑張ります」
(とは言ったものの そんなに奇抜な事は出来ないし、、、)
「さあ 御殿場の会議はこれにて終了するが 質問は?」
筒井は時計を見ながら皆に聞いたが誰からも質問はなかった





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