2010年10月15日金曜日

Vol.97 若葉 -1-8

横に座っている筒井を見てみると こちらを向き大丈夫とうなずいた
「浜野君は上原店長を任せるつもりでいる 
安田君は当分の間 浜野君と上原勤務 いいね
上野かおり君は 銀座店店長を任せるつもいでいる
ただし 銀座店店長も期限付きだ いいね」
上野かおり 39歳 現在本社ビルで営業のサポートをしているが
以前は日本橋 横浜など百貨店に入っているブティック店長を
経験してきた人物だった
2年程前から体調を崩し本社勤務になっているが
応援があれば直ぐに現場復帰できる貴重な存在だった
「尚 この6月に中途採用をし人材確保をしながら 
近い将来の三重アウトレットを開店します」
「以上 何か質問は」
筒井は説明を終えたのでスタッフからの質問に答える事にした

「はい」
手を挙げたのは林だった
「私の場合 全国の顧客整理と情報収集という事ですが
具体的にはどうなんですか?」
「うん 林君の場合 業務内容などについては
ここでは発言できない部分が有るので後でいいかね」
「はい 分りました」
「はい」
今度は林と行動を共にする高野から手が挙がった
「僕たち二人が交互に林さんのサポートをする事に
異議はありませんが その分 売上が落ちてくる懸念もあります
そこはどのようにお考えですか?」
「はっきり言って 売上は落として欲しくない
それを見込んで お二人に絞りこんだのだが 難しいか」
「選ばれた事については光栄ですが 
売上をキープするのは果たして分りません」 
「そんな情けない事言うな 
出来なければこのプロジェクトから外れてもいいぞ」
筒井はこのプロジェクトをサポートし
成功を収めたならばボーナスを出す事を約束していた
「はい分りました 精一杯頑張ります」
「次 何もないか?」                             
「はい」
浜野由貴が控えめながら挙手した
「私の上原勤務の時期と安田さんの件で伺いたいのですが?」
「うん どうぞ」
「私の上原勤務はいつからでしょうか?」
「その件は 後日連絡する ただ1ヶ月をめどに考えてくれ」
「はい分りました それと安田さんはいつまで上原勤務なのですか?」
「大体3ヶ月くらいを目安だ」
「以上 何もないか」
スタッフ同士が隣の顔を見合わせながら
首を横に振ったり下を見たりと皆元気が無かった
そんな光景を筒井は見逃さなかった
「さあ 以上で終わりにするが この計画はもう後戻りできないのだ
全員の力が必要とされる大プロジェクトだ
持っている力の120%以上 力を出すよう期待している
尚 10時から再び会議を行う」
筒井は時計を見て
「10分間の休憩」

神山は青山のニーナ・ニーナ本社ビルに着くと
アルタの佐藤も丁度タクシーから降りて 目と目が合った
「佐藤さんも会議に出席ですってね 改まってなんでしょうか?」
「ええ 御殿場の話は決まっているので 何かと思っているんです」
二人は本社ビルに入ると受付が尋ねるので
「鈴やの神山とアルタの佐藤部長です」
受付嬢は予め連絡があったので
「あちらのエレベーターで6階へお越しください」
2人はエレベーターで6階の会議室に向かった
止まったエレベーターの扉が開いた向こうに筒井が待っていた
「やあ 山ちゃん 待っていたぞ」
「どうも 遅くなりました」
佐藤も筒井と握手を交わした
筒井が先導をして会議室を案内した
会議室に入るとやはり祥子は仲間と一緒にいた
ちょうどニーナ・ニーナの祥子と向き合うところに着席した
筒井は皆が席に着いた事を確認してから
「それではこれから 上原出店 御殿場出店の詳細に入る」





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