2010年10月7日木曜日

Vol.89 芽吹き -3-7

神山は値段を見て驚いた 3万円はするだろうと思ったが
5千円で販売されていたので もう一度商品を細かくチェックした
「ねえ どうしたの?」
「うん これって普通最低でも3万円以上するんだ だからさ
もう一度調べたんだ でもどこにも不具合が見つからないからね」
神山と祥子が話していると 店員が笑顔で近づき
「ここの商品は 実は倒産された会社の商品でして お値段は
通常価格の1/10でご提供させて頂いています」
「なるほど そうだったんですね 分かりました」
「私 これに決めた」
祥子はその店員に配達を依頼し 手続きを行った
「出来れば 今夜がいいんだけど どうかしら 直ぐそこです」
「いいですよ 近くに配達がありますから 大丈夫です 7時頃です」
「わぁー 嬉しい よかった ではその時間に待っていますね」

祥子と神山はハンズを出ると 家電量販店にいった
TVコーナーに来ると祥子は
「そんな大きなTVは必要ないけれど 大きい方が迫力があるわ」
「うん そうだね でも大きすぎると疲れるよ」
「そうなの?」
「うん 疲れない大きさって言うのが 見る距離で 大体あるんだ
祥子の部屋だと ソファーの前でしょ 置くのは」
「ええ ダイニングからも見えるといいな」
「TVを見るときは ソファーと考えると 大きくても32型だよ」
祥子はTVを見ながら 予算と大きさを検討した
暫く探していると 
「私 このTVでいいです お金を使いたくないし」
祥子が選んだのは26型のTVでまあまあの大きさだった
値段も買いやすく設定してあり 店員に聞くと昨年秋モデルといい
性能的にはこの春に 販売されたものと殆ど差はないといった
祥子は配送手続きの為 カウンターで伝票に住所など記入して
「出来れば 今夜お願いできますか?」
「ええ 大丈夫ですよ 7時ごろでも宜しいですか?」
「わぁー お願いします 待っています」
祥子は精算すると 神山に
「助かりました はいこれ」
祥子は1万円を出し神山に渡した
「いいの 僕は大丈夫だよ」
「平気よ ありがと ふふふ」

二人はハンズを出ると祥子が
「ねえ お腹が空いてきて 死にそうだぁー」
「ははは そうしたらラーメン餃子にしようか」
「あら 先ほどのホテルはどうするの?」
神山はニコニコしながら指を刺すところにラーメン屋があった
「あそこはね 餃子とラーメンがむちゃくちゃ美味しいって
TVで何回も取り上げられているところなんだ
ほら 横浜の時には こっちに来る機会がないでしょ
なので 一回は味わってみたいと思っていたところです」
「そうなの そんなに有名だったら 食べておかないとね」
「そうそう 折角上原に住んでいるんだもん 知らないとね」
祥子は頷いて神山の腕に両手を絡ませ楽しそうに歩いた
ラーメン屋はまだ12時になっていないのに 混み合っていた
神山は生ビールと餃子を3人前注文した
「あとはおつまみだと 野菜炒めでも食べようか?」
「ええ 美味しそうね 頂くわ ふふふ」
祥子はメニューから目を離すと神山を見ながら答えた
「お願いします」
「はーい なーに」
「野菜炒めを1人前ください」
「はいよぉー 野菜1 追加だよ 7番さんね」
「はーい やさい 7番 了解」
威勢のいい若い調理人4人が所狭しと動き調理を進めていた
まずは生ビールと野菜炒めが出てきて
「それでは 家具のセレクト終了ということで 乾杯」
「はーい かんぱーい」
祥子はこれから来る家具を楽しみに 笑顔が絶えなかった
神山も祥子は笑顔が最高に似合うと思っていた
「美味しいね 野菜炒め」
「ええ おうちでもこんなに美味しく出来たらいいのになぁー
そうしたら貴方に毎日つくってあげられるのに」
「ははは ありがとう 楽しみだね」
生ビールを御代りし餃子を食べると いよいよラーメンを食べた
スープはとんこつだがさっぱりしていて 神山はなるほど





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