2010年10月9日土曜日

Vol.91 芽吹き -3-7

「はい わかりました でも壁などはどうですか?」
壁面の壁紙や塗装する色などで祥子が
「出来れば大きいサンプルがあると助かります」
神山も祥子を納得させるには大きなサンプルが必要と感じ
「高橋さん 原寸でここに置こうよ 3x6でいいでしょ」
「そうですね その方が分りやすいし 手配します」
百貨店のブティックでは各仕様共決まっていたが 上原に付いては
アンテナショップという事もあり多少のアレンジが許されていた
例えば壁面に付いていえば百貨店ではフラットな仕上げだったが
今回はエンボスのストライプ模様を取り入れるなど
イメージは変えないが細かい所で変化をつけて差別化をした
祥子も今まで自分が思っていた事が現実となるので真剣に
話を聞き 納得するまで妥協をしないスタンスだった
しかし初めての事が多すぎるので 一つ一つを神山に
確認をしながら理解し 判断をしていった
「では原寸大のサンプルは明日この現場にお持ちできますが」
祥子は神山を見て
「神山さんは お時間のご都合は」
「僕は 夕方なら銀座から戻れますよ」
「そうしたら 金曜日の朝でも構いませんか 明日は分からないし」
「ええ それでも構いませんよ 考ちゃん 明日中に準備して
それから照明の仮設だけど 壁面のところオープン時の明るさに
してもらうと 凄く助かるんだけど お願いできるかな」
「うん これから手配します そうすれば感じがつかめるものね
そうしたら 床材も一緒に持ってきますよ」
「うん お願いしますね」
3人が話していると 小型トラックが店に着いた
高橋は運転手に もっと店に寄せるよう指示をした
「考ちゃん それでは一回事務所に戻ります また連絡をください」
「了解です」
「それじゃあ」

祥子と神山はマンションに戻ると
「祥子 一旦部屋に戻ってから そちらに行きます」
「はーい 待っています」
神山は部屋に戻ると FAXや留守電を確認すると FAXが一通
【杉田です ニーナ・ニーナの件は間に合いました
ご安心ください ただ倉元部長が呆れていました】
(あーあ 参ったなぁー まったく もう)
留守電には杉田からで 同じ内容が録音されていた
(同じ内容なら わざわざFAXなんか使うな もう)
神山は少し気分を損ねたが 気を取り直して祥子の部屋に行った
「ねえ ごめんなさい」
神山が部屋に入るなり 祥子は泣き出しそうな顔で神山に話した
商品手配ミスがどこで行われたか分った
結局 林店長ではなく事務の津田がミスをしたみたい」
「えっ なんで事務なの」
「ええ 林が持ちまわる分と銀座に収める分を間違えたみたい」
「なんで そんな」
「林はもうすぐ持ち回りをしながら御殿場に行くの」
「えっ 御殿場の持ち回り?」
「ええ 今聞いたんです 明日の会議は人事発表と 出店計画に
関係する会議です 林の件は明日発表されます
それで 持ち回りの商品と勘違いして 事務が倉庫に手続きをしたの
本当にごめんなさい すみません」
「いいよ 誰だってある事だよ 気にするな
FAXが入っていて 無事済みましたって よかったね」
祥子はこらえ切れなくなり 神山の胸の中で泣いた
「さあ 元気出して ねっ ほら」
「うん 折角の貴方の記念になる日に馬鹿な事をしてくれたわ」
「わかったから ほら 顔を上げて」
祥子が顔を上げると 涙で化粧が崩れていて神山は笑ってしまった
「なぁに もう」
「鏡を見てご覧 笑えるよ もう」
祥子は大きな姿見に行って 自分を写してみると 笑ってしまった
「大変だわ Tシャツにも化粧が落ちているわ」
神山はTシャツを見ると 言われるように黒や緑の模様が出来ていた
「ははは 大丈夫さ この位」
「ねえ 脱いでください 直ぐに洗濯します」
神山は言われるとおり Tシャツを脱ぐと洗濯機を回し始めた
「ねえ 祥子 そうしたら 部屋から洗濯物を持ってくるよ
ちょっと待っていて ねっ」
「ふふふ もう わかったわ 早くしてね」
神山は上半身裸で 部屋に入るとTシャツや靴下など洗濯物を





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