「ふふふ じゃ そうしましょう」
「そうしたら 部屋に行ってみるね」
神山はガウンのまま自分の部屋に戻ると FAXの受信をみたが
どこからも送信されていなかっら
電話も留守電を再生したが 何も入っていなかった
神山は出かける支度をして 祥子の部屋に戻った
祥子も支度をしている最中で 髪の毛をドライヤーで乾かし
「ねえ 向こうを向いていてよ 恥ずかしいでしょ もう」
神山は女性のうなじが魅力的で好きだった ドライヤーを使い
髪の毛を手で掬っていると 自分が手伝ってあげたくなり
ついつい見入ってしまった
神山は冷蔵庫から缶ビールを出して テラスでタバコをふかし
祥子の支度が出来るのを待った
「お待たせしました」
神山は振り返ると 初夏らしい淡い水色のジャケットに真っ白な
Tシャツ 体にフィットしたジーンズ姿の祥子に驚き
「わぁー ファッションモデルのようだよ うんばっちし」
「ほんと 嬉しいな」
神山は部屋に入ると 軽くキスをして
「では 出かけましょうか」
「はーい ふふふ」
祥子はカジュアルシューズを履くと 神山と腕を組んだ
マンションを出ると 祥子が
「ねえ 道順ってわかる?」
「うん さっき見てきたよ この坂を下って 右に行けば渋谷さ」
「へぇー 近いんだ」
「うん 2Km位だから 30分もあれば大丈夫だよ」
祥子は嬉しくて両腕で神山の腕をからめバストを押しながら歩いた
この時間になると 人通りは殆ど無く静寂な住宅街と改めて
感心させられた
それでも渋谷駅に近づくとだんだんと 人影が多くなり
東急ハンズの周りには 働いている姿が多くなってきた
「ここまで来ると 都会だね」
「そうね ほんとちょっとしか離れていないのにね」
「まずは 何を買うのかな」
「ええ ハンズでソファーとリビングテーブルを買うわ」
祥子と神山はハンズに入ると インテリア用品のフロアにいき
所狭しと並べられている ソファーを探した
「表面は皮素材 それともマンションのエントランスのような
キャンバス素材がいいのかな?」
「皮だと なにか硬いイメージで リラックスできないと思うの
だから キャンバスがいいな」
神山は祥子の部屋に合う色と形を探し
「ねえ こっちに来て これなんかどうかな」
祥子は目を輝かせ 頷くと値段が高くて困っていた
「予算はどのくらいなの?」
「うん 5万までなんだ 実は会社から出るの それが3万までで
不足分は私が出すんです」
神山は折角薦めたので 不足の3万円は自分が出す事でどうか聞くと
「だって そんなにしてもらって 悪いわ」
「いいよ お気に入りでしょ だったら僕が出すよ」
神山は財布から3万円を出すと祥子に渡し
「さあ これで買おうよ ねっ あとはテーブルだね」
「ありがと 嬉しいわ テーブルは ガラスがいいな」
「ははは エントランスと同じになったね でもあの組み合わせは
リラックスできる最高の組み合わせだよ」
「やっぱりそうなんだ 私ね 考えていたんです
皮はさっき話したとおりで キャンバスにしたとき なにが合うか
そうすると エントランスの組み合わせになるんですよ」
「そうだね そうしたらテーブルを見にいきましょう」
ガラステーブルのコーナーに行くとバーゲンセールをしていて
祥子はどれが似合うか探していた
神山も一緒に探していたが 帯に短し襷に長しで
なかなか希望に沿う商品が見つからなかった
そんな時 祥子が神山を呼び
「コレはどうかしら 結構いけると思うんだ」
神山はガラスの天板を触り 安定している事を確認した
「うん 大丈夫だよ デザインもソファーを合うし」
「じゃあ これにする 安いし ふふふ」
「そうだね でもしっかりした作りで 細かい所も安心できるよ
ガラスの厚さが充分あるから ちょっとやそこらで割れませんよ」
「そうなの よかった」
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