2010年10月3日日曜日

Vol.85 芽吹き -3-7



神山達は今週の什器を 来週も使えると計算していると
急に員数が足りなくなり 次の売場が不足していると騒ぐ
そのような経験を何回もしていると 催事課だけではなく
商品管理課や総務課などが 催事場から移動する什器については
目を光らせ 監視するようになった
それでも過不足が発生するので 什器屋は多少余分に持ってくる

神山は7階催事場は後で見ることにし 各階で展開している
ステージの入れ替えや 模様替えしている売場を見て周り
地下の食品催事場にきた
食品催事場は撤収だけで 売場は明日定休日出勤して
準備をすることになっていた
食品部長が神山を見つけ
「こんばんわ 神山さん」
「こんばんわ」
「いや 凄いですね 受賞おめでとうございます」
「ありがとうございます たまたまですよ」
「いや 大したものです そうそう 美味しいのがあるんですよ」
そういって 部長席に呼ばれると杉田がちゃっかりと食べていた
「あっ 先輩 よく判りましたね」
「うん いい匂いがしてさ」
「この焼酎は美味しいですよ 課長 神山さんに作って差し上げて」
食品課長がポリカップにアイスと焼酎をいれレモンをいれて
「どうぞ神山部長」
神山は一口呑んで
「美味しいですね へぇー」
「美味しいでしょ 先輩」
催事課は売場と仲良くしていると 貴重な情報を貰える事が多い
「先輩 実は初日に別な焼酎を買って 昨日はコレを買ったんですよ」
「へぇー 売り上げに協力してんだろうな」
「勿論ですよ サービスで貰ったりしていませんよ もう」
「ははは 冗談だよ それで今夜は終わりか」
「ええ 久しぶりに早く帰れそうです」
「おいおい 7階はどうするんだよ」
「えっ 先輩が見ていくんでしょ」
「駄目だよ 上原があるから 見てくれよな」
「わぁー そんなぁー」                              
食品部長がまだ封を切っていない おつまみを出し
「翔ちゃん これあげるから 7階をみてよ 課長 もう1杯」
課長は翔のコップにアイスと焼酎をいれ
「翔ちゃん 残業代増えていいじゃん がんばって はいこれ」
翔はしぶしぶ神山の用件をのみ 焼酎を呑むとニコニコした
「僕はもう一回7階にいって様子を見て帰る
1階のステージもあるし 見るところは一杯あるぞ」
「ステージは明日でしょ 明日は出勤しますよ」
「うん 場合によってはこちらに来るが 上原の現場にいる」
「はーい 分かりました」
「部長 ご馳走様でした」
「いえいえ 翔ちゃんには 大サービスしますよ」
「ははは 翔 それじゃ あと頼んだよ」
「はい 分かりました」

神山は地下催事場を後にすると 1階のニーナ・ニーナ
ブティックによったが 飾り付けの商品が来ていなかった
(可笑しいな 何処かに紛れ込んでいるのかな)
探そうにもブティックの中には入る事が出来ず 考えてしまった
神山は祥子に電話をした
「はい 私です」
「こんばんわ 神山です あのさ 1階のステージとウインドーの
飾り付けで使う商品だけど ブティックの前に置いてないんだ」
「うーん まだそちらに届いていないと思います 配送中です」
「そうか ならいいんだけどね」
「ねえ まだ終わらないの」
「うん もう直ぐ出るよ 待たせてごめんね」
「ううん じゃ頑張ってね」
「ありがとう」
神山は7階に行くと什器屋を捕まえ 過不足を聞いた
「大丈夫ですよ 今回は」
「じゃあ 今夜は別件で先に帰るから あとは頼むね
杉田君がここを見てくれる事になっているから なにかあったら
店内呼び出しをかけて 指示を受けてください」
「はい 了解です」

神山は受付で自分のバックを受け取ると タクシーで向かった





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