2010年10月14日木曜日

Vol.96 若葉 -1-8

「うん 倉さんから聞いた 大丈夫だ 何とかするよ」
そこへ店長の池上が来て 神山を見つけるとニコニコして
「おう 山ちゃん おはよう また素晴らしいステージだな」
「ええ 春から初夏へのシルクです 素材感を充分出せています」
「うん なかなか出来ない事だ 素晴らしい さすが受賞者だ」
「店長 予算オーバーしました」
ニコニコしていた店長がちょっときつくなり
「うん 理由は」
「はい シルクの素材感を出すのに 時間がかかるんです
これは 私の想定外の出来事です 実際今朝もこのように
入っています なのでオーバーしました」
「そうか シルクってそんなに 難しいのか」
「ええ 他の素材と比べ ピンを打つ事が出来ないんです
穴をあけたら商品価値がなくなりますし かと言って
美しいシルエットは表現したいし そこでデコレーターを増やし
この形に完成しました」
「うん 分かった 10万だな おう奥村君 この分のオーバーは
わしが認めたと会計課長に話をしておきなさい いいね」
「はいっ ありがとうございます」
奥村は深々と丁寧にお辞儀をしていると
「山ちゃん これからオーバーする時は 事前に話してくれ
わしが何とかするから いいね」
池上店長はニコニコしながら神山の肩を叩いて そこを離れた 
驚いた奥村は神山に
「こんな事 初めてだよ 凄いな山ちゃん」
「ははは もうドキドキしながらの 演技ですよ」
「そうか ありがとう しかし倉さんから 話が出なければいいな」
「別に出ても いいじゃないですか 事実だし」
「まあな そうしたら倉さんを探して 口止めだ」
奥村はその場を離れると 倉元を探しに行った
「課長 課長 倉さん そこに居ますよ」
奥村は神山の指先を確認するとウインドーに居た
「分かった」
奥村は駆け足で 外に回って倉元に事情を話した
倉元は頷き聞き終わると ガラス扉のところに来て
「おう 山ちゃん おはよさん よくやった わかったぞ」
倉元はニコニコして神山に話すと 店長がきて話し始めた
その出来事を一部始終見ていた細川は
「山ちゃん 間一髪セーフね でも素晴らしい主張だったわ
私もシルクは大変だと いつも感じているの
なんかデコレーターの意見を 話して頂いたようで 嬉しかった」
「ありがとうございます」
神山は時計を見るともう直ぐ9時30分になるので
「それでは失礼します」
「まぁ お茶をしようと思っていたのよ 残念」
「ええ 他のところで用事があるんですよ ごめんなさい」
「では 月曜日を楽しみにしているわ」
神山はお辞儀をすると 二人に手を振り外に出た
ウインドーに行くと 店長が倉元や奥村と話していたが
「店長すみません 課長 では10時の会議に行ってきます」
「うん 筒井さんによろしく伝えてください お願いします」
店長は笑顔で神山に
「鈴やを代表して しっかりやってきてな 頼んだぞ」
「はい わかりました」
神山は店長にお辞儀をすると タクシーを拾い青山に向かった

青山NNビル
「と言う事で ニーナ・ニーナジャパンを発展させるには
この方法が一番の政策と考えています」
筒井の会議内容概略説明が終った
東京上原出店 静岡御殿場アウトレット出店は皆知っていたが
三重県のアウトレット出店までは誰も知らなかった
と言うよりホットニュースであった
「そこで 人事だが 久保君には上原をオープンまで見てもらう
林君は当分の間 各地の顧客整理を兼ね 情報収集をしてもらう
勿論 御殿場の準備室長兼任だ いいね
高野君と太田君は現在の仕事のほかに林君のサポートをしてもらう
久保君には悪いけど当分の間は
銀座店の仕事と上原の仕事があるが大丈夫かね」
「はい 大丈夫ですけど、、、」
祥子は神山から話を聞いていたので あまり驚きは無かったものの
実際問題 どのように二箇所の現場をこなして行くのか不安が残った
そんな祥子を見て筒井は
「頼もしい助っ人が居るから心配するな」





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