2013年9月29日日曜日

Vol.1177 百日紅 -7-68



祥子は神山に気に入ってもらい嬉しく安堵した
「ねえ これって 着ていてもいいのかな ははは」
「ええ良いですよ 型はありますし 大丈夫です それにニーナ・ニーナの
今後の宣伝にもなりますし お願いします ただジャケットの裏には
まだ正式なロゴやタグがついていないんですよ」
「そうか じゃお返しをして 正式なのを待ちます」
「そうそう このジャケットは初夏ですが 秋口まで着られます 今は
秋物をこのシルエットでデザインしています この秋物にはシルエットを
もう2つ位増やす予定です それもデザインが出来上がりましたら
見て頂こうと思っています」
「うん ありがとう そうするとGOLオープンの時には このシリーズが
ウインドーに並ぶわけですね」
「はい そうです あとはシューズとバッグもなんとか揃えてと思ってます」
「うん 分かりました バッグもそんなに奇をてらったものではなく
ベーシックだけど使いやすくて長持ちするような そんな感じかな」
「ええ 神山さんの事を考えればそのようなデザインが出てきます それで
このセットでOKと言うことであれば ニーナ・ニーナメンズと言うことで
社内的にも発表をさせて頂きたいのですが 宜しいですか?」
「うん OKだよ」
「では 申し訳ないのですが ここで写真を撮らせてください」
神山は背景を考え 色々な場所で注文のポーズを取り撮影に応じた
「神山さん このジャケットとジーンズですが プレゼントしますよ
商品が出来ましたらまたお持ちします その時は契約書通りお願いします」
「うん 分かりました Tシャツやシャツは1枚しかないので ゴメンね」
「はーい ジャケットも毎日だと型が崩れますから 着替えてください」
「ねえ ところでこのテカテカしているのは何?」
「ふふふ 初めての試みですが シルクが入っています」
「えっ シルクなの」
「ええ 麻と綿そしてシルクです なので肌触りが滑らかです」
「へぇー それで軽いんだ」
「ええ 裏地はシルクですよ」
「へぇー そうすると高いでしょ いくらなの?」
「ええ 正式ではありませんが 45万円を考えています」
「うーん その位するだろうね なるほど」
「ええ初夏ジャケットでもシルエットが同じモデルで生地が違うバージョン
も考えています 出来上がりましたら着用をお願いしますね ふふふ」
「うん 楽しみです」

神山のファッションショーが終わると神山は部屋から出て女性群の
着替えを待っていた 随分と待たされると洋子が
「お待たせしました ふふふ モデルさま」
「ありがとう しかし大変だね」
「ふふふ まあ仕方がないでしょ 美しく見せるんだから」
「そうだね」
「でも このファッションって 凄く素敵よ ねぇーみんな」
祐子や香織などみんなが頷いていたが真由美が
「でもねぇー 中身が伴わないとねぇー 祐子さん」
「そうそう 外見ばかりじゃ詐欺だわ」
この言葉にはフランスから来ている2人のデザイナーも大笑いした
「そうすると後は バッグとシューズか どう 似合っているかな」
「大丈夫よ このままで」
神山は少し心配したが みんながこのままで良いと言うので納得した
着替えが済んだ祐子 泰子 香織 真由美たちはそれぞれに戻った
祥子と二人のデザイナーも詰めの打ち合わせをすると会社に戻った
神山はニーナ・ニーナの筒井に電話をして 今日の出来事を報告した
「いやぁー 良かったですよ ありがとうございます」
「いやいや 山ちゃんのお陰です こちらこそありがとうございます」
「今度 メンズが出来上がりましたら 是非着用してくださいね」
「うん 山ちゃんと事情がちょっと違うからプライベートの時にね」
「そんな 宣伝ですよ そのうちスーツも考えましょうよ 素敵な」
「そうだね でも手が出ないよ ははは」
「まあ そこは試着と宣伝で お願いしますよ」
「うん 分かりました でもよかった 喜んでもらって」
「はい では失礼します」
電話を切ると洋子に
「ねぇー 靴を見に行こうか」
「まあ 大丈夫よ でも気になるのね ふふふ いいわよ」

二人が店内を歩くと女性店員が神山に丁寧なお辞儀をした
メンズシューズ売場にいくと古株の女性店員が神山に
「専務 素敵なジーンズとジャケットですね 今日は凄く素敵です」
「おいおい じゃ普段は素敵じゃないのかな」
「うーん 普段の10倍位素敵 ねぇーみんな」
周りにいた若い女性社員も頷いていた